ケアプラン第2表の文例30|長期・短期目標の書き分け方
居宅サービス計画書「第2表」の長期目標・短期目標は、老企第29号の記入要領にある「誰にもわかりやすい具体的な内容」と「実際に解決が可能」という2つの条件を満たしているかどうかで、書き分け方が決まります。この記事では、生活場面別の文例30本と、長期・短期を分ける基準表をまとめました。
持ち帰るもの:生活場面別の長期・短期目標の文例30本と、長期・短期の書き分け基準表
読了の目安:約13分
読まなくていい人:すでに施設・事業所内で長期・短期目標の書き分けルールが統一されており、運営指導でも指摘を受けていない方には、この記事は不要です。
先に確認する言葉
生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 利用者の自立を阻害している要因のうち、解決すべき優先度が高いものを指す言葉です。
長期目標 ニーズが解決した状態、つまり最終的にどうなっていたいかを示す目標です。
短期目標 長期目標に至るまでの段階として、期間を区切って設定する目標です。
この記事が扱うのは、居宅介護支援(ケアマネジャーが作成する)の「居宅サービス計画書(2)」です。特別養護老人ホーム等の「施設サービス計画書」にも同じ「第2表」という呼び方の様式がありますが、記入要領は別紙で分かれています。施設サービス計画書の第2表を探している場合は、様式名を確認してください。
この記事は、平成11年11月12日老企第29号の別紙1「居宅サービス計画書標準様式及び記入要領」をもとに整理しています。個々の記載は、必ず所属事業所・保険者の確認を経てください。
第2表の4つの欄と、公式の記入要領
第2表(居宅サービス計画書(2))の記入要領は、平成11年11月12日老企第29号の別紙1で示されています。まず、この通知が各欄をどう定義しているかを確認します。ここを押さえておくと、後述の文例やチェックリストがなぜその形になっているかが分かります。
ニーズ欄の書き方
「利用者の自立を阻害する要因等であって、個々の解決すべき課題(ニーズ)についてその相互関係をも含めて明らかにし、それを解決するための要点がどこにあるかを分析し、その波及する効果を予測して原則として優先度合いが高いものから順に記載する。」
(老企第29号別紙1)
- 複数のニーズがある場合は、相互の関係を整理してから書く
- 優先度が高いものから順に並べる(思いついた順に書かない)
- 「なぜそれが課題なのか」の分析を経てから記載する
長期目標欄の書き方
「「長期目標」は、基本的には個々の解決すべき課題に対応して設定するものである。ただし、解決すべき課題が短期的に解決される場合やいくつかの課題が解決されて初めて達成可能な場合には、複数の長期目標が設定されることもある。」
(老企第29号別紙1)
長期目標は、原則として1つのニーズに1つ対応させて設定します。ただし、複数のニーズが揃って初めて達成できる目標であれば、1つの長期目標に複数のニーズがぶら下がる形もあります。
短期目標欄の書き方
「「短期目標」は、解決すべき課題及び長期目標に段階的に対応し、解決に結びつけるものである。」
(老企第29号別紙1)
短期目標は、長期目標に向かう途中の段階です。長期目標と同じ内容を短い期間で書き直しただけでは、段階になっていません。この違いは第3章の書き分け基準表で具体的に整理します。
期間欄の書き方
「「長期目標」の「期間」は、「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」を、いつまでに、どのレベルまで解決するのかの期間を記載する。「短期目標」の「期間」は、「長期目標」の達成のために踏むべき段階として設定した「短期目標」の達成期限を記載する。また、原則として開始時期と終了時期を記入することとし、終了時期が特定できない場合等にあっては、開始時期のみ記載する等として取り扱って差し支えないものとする。なお、期間の設定においては「認定の有効期間」も考慮するものとする。」
(老企第29号別紙1)
期間は「開始日〜終了日」で書くのが原則で、終了時期が読めない場合だけ開始日のみでも構いません。そして必ず、その利用者の認定有効期間を確認してから期間を決めます。認定の残り月数より長い期間を短期目標に設定すると、更新のタイミングで目標と認定区分がずれます。
長期目標と短期目標の書き分け基準
記入要領には、目標そのものの質について次の条件も書かれています。
「抽象的な言葉ではなく誰にもわかりやすい具体的な内容で記載することとし、かつ目標は、実際に解決が可能と見込まれるものでなくてはならない。」
(老企第29号別紙1)
この条件を、長期目標と短期目標それぞれに当てはめると、次のような書き分け基準になります。
| 観点 | 長期目標 | 短期目標 |
|---|---|---|
| 役割 | ニーズが解決した最終状態 | 長期目標に至る途中の段階 |
| 期間の目安 | 認定有効期間に合わせて6か月〜1年 | 長期目標までの中間地点。1〜3か月ごとに区切る |
| 書き方の軸 | 「〜できるようになる」という到達点 | 「〜するために、まず〜する」という行動 |
| NG例 | サービス内容をそのまま書く(例:デイサービスを週2回利用する) | 長期目標をそのまま短くしただけの文 |
生活場面別 長期・短期目標の文例30
ここからは、記入要領の条件(具体的で、実際に解決可能)を満たす形で、生活場面別に長期・短期目標の文例をまとめました。実際の記載では、目の前の利用者の状態・意向に置き換えて調整してください。数値や頻度は「〇〇の場合」という条件の形で示しています。
食事に関する場面
| 場面(ニーズ) | 長期目標の例 | 短期目標の例(期間の目安) |
|---|---|---|
| 誤嚥が心配で、食事の量が減っている場合 | 誤嚥を防ぎながら、食事を楽しめるようになる | 食事の姿勢と一口の量を、家族と支援者が共通の方法で介助できるようになる(3か月) |
| 糖尿病があり、食事管理が必要な場合 | 血糖値を安定させ、合併症を予防しながら生活できる | 1日の食事量と間食の記録を、本人と支援者が一緒につけられるようになる(1か月) |
| 義歯が合わず、噛めていない場合 | 自分の歯やあった義歯で、必要な栄養をしっかり摂れるようになる | 歯科受診の予約を取り、義歯の調整を受ける(2週間) |
| 偏食で、栄養バランスが崩れている場合 | 栄養バランスの取れた食事を、無理なく続けられる | 苦手な食品を刻む・混ぜるなど、食べやすい形に調整した食事を週3回試せる(1か月) |
| 経口摂取の継続を本人が希望している場合 | 本人の希望どおり、口から食べる生活を継続できる | むせ込みの回数と量を、毎食後に支援者が記録できるようになる(1か月) |
排泄に関する場面
| 場面(ニーズ) | 長期目標の例 | 短期目標の例(期間の目安) |
|---|---|---|
| 頻尿で、トイレに間に合わないことがある場合 | 尿意を感じてから、間に合ってトイレで排泄できるようになる | 日中の排泄パターンを1週間記録し、誘導のタイミングを決められる(2週間) |
| 便秘が続き、苦痛を訴えている場合 | 自然な排便のリズムを取り戻し、苦痛なく過ごせる | 水分摂取量と排便の有無を、毎日記録できるようになる(1か月) |
| おむつからトイレでの排泄に移行したい場合 | 日中はトイレで排泄できるようになる | 決まった時間にトイレへ誘導し、成功した回数を記録できる(1か月) |
| 夜間のトイレ移動で、転倒の不安がある場合 | 夜間も安全に排泄を済ませられるようになる | ポータブルトイレの位置と手すりの配置を、本人と一緒に確認し固定する(2週間) |
| 排泄の失敗をきっかけに、自室にこもりがちになっている場合 | 失敗への不安を減らし、居室の外でも安心して過ごせるようになる | 失禁対応の衣類・パッドを試し、外出時にも使える組み合わせを1つ決める(2週間) |
移動・活動に関する場面
| 場面(ニーズ) | 長期目標の例 | 短期目標の例(期間の目安) |
|---|---|---|
| 歩行が不安定で、外出を控えている場合 | 歩行器を使って、施設内を自分の足で移動できるようになる | 歩行器を使った移動を、支援者の見守りのもと1日1回試せる(2週間) |
| 立ち上がりに介助が必要な場合 | 手すりを使って、自分の力で立ち上がれるようになる | 手すりを使った立ち上がりの練習を、支援者と一緒に1日2回行える(1か月) |
| 閉じこもりがちで、活動量が減っている場合 | 日中の活動量を増やし、生活リズムを整える | 食堂やホールなど居室以外の場所で過ごす時間を、1日30分作れる(1か月) |
| 趣味活動を再開したいと希望している場合 | 趣味を通じて、生活に楽しみを取り戻せる | 以前していた趣味の道具を用意し、支援者と一緒に1回試せる(2週間) |
| 転倒後、動くこと自体への不安が強い場合 | 転倒への不安を減らし、以前と同じように移動できるようになる | 見守りのもと、安全な範囲での歩行を1日1回試し、不安の程度を記録する(1か月) |
認知症・見守りに関する場面
| 場面(ニーズ) | 長期目標の例 | 短期目標の例(期間の目安) |
|---|---|---|
| 物忘れで、服薬管理ができなくなっている場合 | 服薬の飲み忘れ・飲み間違いなく、決められた薬を継続できる | 服薬カレンダーを使い、支援者が声かけで服薬を確認できるようになる(1か月) |
| 昼夜逆転がみられる場合 | 日中に活動し、夜間はまとまって眠れる生活リズムに整う | 日中の離床時間を記録し、活動を促すタイミングを1つ決められる(1か月) |
| 徘徊による事故が心配される場合 | 安全な環境の中で、落ち着いて過ごせるようになる | 居室から出た際の動きを、センサーと記録で把握できるようになる(2週間) |
| 家族の介護負担が大きくなっている場合 | 家族が休息を取りながら、介護を続けられる体制になる | ショートステイの利用を1回試し、家族の休息時間を確保する(1か月) |
| 本人の混乱や不安な言動が増えている場合 | 混乱する場面を減らし、落ち着いて過ごせる時間を増やす | 混乱が強まる時間帯と状況を、支援者が1週間記録する(2週間) |
社会参加・役割に関する場面
| 場面(ニーズ) | 長期目標の例 | 短期目標の例(期間の目安) |
|---|---|---|
| 家庭内での役割を失い、意欲が低下している場合 | 自分の役割を感じられる場面を持ち、意欲的に過ごせる | 施設内での簡単な役割(配膳の手伝い等)を、週1回担当できる(1か月) |
| 地域とのつながりが薄れている場合 | 地域の行事や人とのつながりを取り戻せる | 地域のサロンや行事の情報を、支援者と一緒に1つ確認する(2週間) |
| 就労的な活動を続けたいと希望している場合 | 本人の希望に沿った形で、就労的な活動を継続できる | 希望する活動先の情報を集め、見学の予定を1件立てられる(1か月) |
| 他者との会話の機会が減っている場合 | 他者との会話を通じて、孤立感を減らせる | 他利用者や支援者との会話の時間を、1日15分持てるようになる(2週間) |
| 趣味の仲間との交流を維持したい場合 | 趣味を通じた仲間との交流を維持できる | 以前の仲間との連絡手段(電話・面会等)を、月1回試せる(1か月) |
医療・服薬管理に関する場面
| 場面(ニーズ) | 長期目標の例 | 短期目標の例(期間の目安) |
|---|---|---|
| 服薬の飲み忘れ・飲み間違いがある場合 | 処方どおりに服薬を継続し、体調が安定する | 一包化・服薬カレンダーなど、間違いにくい仕組みを1つ導入する(2週間) |
| 通院の付き添いが必要な場合 | 必要な受診を継続し、体調管理ができる | 次回受診の予定と付き添い方法を、家族・支援者間で確認できる(2週間) |
| 血圧・体重の変化を継続して観察する必要がある場合 | 数値の変化に早く気づき、体調悪化を防げる | 血圧・体重を、支援者が週2回測定・記録できるようになる(1か月) |
| 複数の医療機関にかかっており、情報共有が必要な場合 | 医療機関どうしの情報が共有され、一貫した治療を受けられる | お薬手帳や情報共有シートを使い、受診のたびに記録を残せる(1か月) |
| 入退院を繰り返し、在宅生活の継続が課題になっている場合 | 入退院を繰り返さず、安定して生活を続けられる | 退院時カンファレンスに参加し、在宅での注意点を1つ以上確認する(2週間) |
「抽象的」と指摘されないためのチェックリスト
運営指導で目標の書き方を指摘された経験がある場合は、次の項目を提出前に確認してください。
- □ 目標の主語が利用者本人になっているか(支援者側の行動になっていないか)
- □ 「〜できるようになる」など、状態の変化が書かれているか
- □ 数値・頻度・場面など、具体的な言葉が入っているか
- □ サービス内容(通所介護を利用する、等)をそのまま目標にしていないか
- □ 短期目標が、長期目標と別の文になっているか(コピーになっていないか)
- □ 期間が、認定の有効期間の範囲内におさまっているか
- □ ニーズ欄の内容と、目標が対応しているか
よくある書き方のミスと直し方
| NG例 | 何が問題か | OK例への直し方 |
|---|---|---|
| 目標=「デイサービスを週2回利用する」 | サービス内容が目標になっている | 「デイサービスでの入浴介助を通じて、清潔を保てるようになる」のように、利用した結果どうなるかを書く |
| 長期目標=「安全に生活できるようになる」 | 抽象的で、達成したかどうかを誰も判断できない | 「見守りのもと、日中は自室から出て食堂で過ごせるようになる」のように、誰が見ても同じ判断ができる状態まで具体化する |
| 短期目標が長期目標と同じ文 | 段階になっていない | 短期目標は、長期目標に至る前段階の行動・頻度に分解する |
| 期間が「未定」のまま | 認定有効期間との整合確認ができない | 少なくとも開始時期は必ず記載し、終了時期が読めない場合のみ開始時期のみとする |
期間の決め方と認定有効期間との関係
記入要領は、期間の設定において認定の有効期間を考慮するとしています。次の手順で確認すると、期間の設定で迷いにくくなります。
- 第1表の「認定の有効期間」を確認する
- 長期目標の期間を、認定有効期間の範囲内、またはその区切り(更新時期)に合わせて設定する
- 短期目標の期間は、長期目標までの間を1〜3か月ごとに区切る
- 更新認定の結果、要介護状態区分が変わった場合は、期間・目標とも見直す
よくある質問
第2表の長期目標は、いくつまで設定していいですか?
記入要領には上限の定めはなく、ニーズの数に応じて設定します。ただし、優先度が低いニーズまで無理に長期目標化すると、短期目標との対応が崩れやすくなります。
短期目標の期間は、必ず3か月にしないといけませんか?
記入要領に固定の月数の定めはありません。長期目標までに踏むべき段階として妥当な区切りであれば、1か月でも6か月でも設定できます。
長期目標と短期目標が、結果的に似た文になるのは問題ですか?
ニーズが短期的に解決する場合は、記入要領もそれを想定しています。似た文になること自体が誤りではなく、段階として機能しているかどうかが判断基準です。
目標の主語は、利用者と支援者のどちらで書きますか?
記入要領は主語を明示していませんが、目標はニーズが解決した状態を指すため、利用者本人を主語にする書き方が実務上一般的です。
期間の終了時期が読めない場合、書かなくてよいですか?
記入要領は、終了時期が特定できない場合は開始時期のみの記載でも差し支えないとしています。ただし、開始時期は必ず記載します。
令和3年に第2表の様式は改正されましたか?
老企第29号は令和3年3月31日付で一部改正されています(介護保険最新情報Vol.958)。この記事は、平成11年の別紙1原文にもとづいて第2表の基本項目(ニーズ・長期目標・短期目標・期間)の記入要領を解説しています。個別の様式が最新の改正内容に対応しているかは、所属事業所・保険者が使用している最新の様式で確認してください。
要点サマリー
- 長期目標はニーズが解決した状態、短期目標はそこに至る段階という役割の違いを崩さない
- 目標は「具体的」で「実際に解決可能」という2条件を満たす必要がある(老企第29号)
- 期間は開始時期が必須。終了時期が読めない場合のみ開始時期だけでよい
- 期間の設定は必ず認定の有効期間を確認してから決める
- サービス内容をそのまま目標に書かない
目標の文言を練り直す作業は地味で、時間もかかります。書類に追われる感覚は、記録や調整に時間を取られるどの介護の仕事にも共通しています。ただ、地道な言語化の先に、利用者の変化が言葉として残っていく瞬間があり、そこに介護の仕事のおもしろさがあります。
出典
- 介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について(平成11年11月12日老企第29号)厚生労働省老人保健福祉局企画課長通知 別紙1「居宅サービス計画書標準様式及び記入要領」/2026年8月22日確認/https://www.wam.go.jp/wamappl/bb05kaig.nsf/eae881fd1cf24631492568f20024859b/9c78a7f227cab8284925689a003b875b/$FILE/Kyotaku-2.PDF
- 介護保険最新情報Vol.958(令和3年3月31日・厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課)「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」の一部改正について/2026年8月22日確認/https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2021/0401101809839/ksvol.958.pdf
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筆者について 現役の施設ケアマネジャー。特別養護老人ホームでの介護職を経て、施設ケアマネジャーとして勤務しています。ケアプランの作成・見直しを日常的に行っており、制度の解釈は厚生労働省の通知の原本に当たって確認しています。