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令和8年6月の処遇改善加算、何が変わった? 対象職種の拡大、上乗せのⅠロ・Ⅱロと特例要件、訪問看護などへの新設、6月分の支払い時期を国の資料で整理

約8分で読めます2026-10-18 更新制度お金
この記事の要点

「処遇改善で最大月1.9万円」。この数字を見て、自分の給料も1.9万円上がると思った人は少なくないはずです。国の資料を開くと、1.9万円は「介護職員で、上乗せの対象になる職場にいる人」の上限で、しかも国の措置の目安です。個人の金額を決めるのは、事業所の配分です。

令和8年6月、介護職員等処遇改善加算が見直されました。この記事では、何が変わったかを厚生労働省の概要資料、Q&A(第1版)、通知の3つで確かめた範囲だけ並べます。国が決めたことと、事業所が決めることを分けて書きます。

自分の取り分の計算の仕方は、別の記事にまとめています。この記事は、その前提になる「6月に何が変わったか」の整理です。

この記事の内容
令和8年6月の処遇改善加算の変更3つ(対象の拡大、上乗せのⅠロ・Ⅱロ、訪問看護などへの新設)を並べた図

変わったことは3つ#

変わったこと中身出典
対象の拡大介護職員のみから、介護従事者に。加算率の引上げ概要資料
上乗せの区分加算Ⅰ・Ⅱに上乗せした「Ⅰロ」「Ⅱロ」を新設。条件は令和8年度特例要件概要資料、Q&A 問8
新しく対象になったサービス訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援など概要資料
変わったことは3つ

概要資料は、介護従事者に月1.0万円の賃上げ、生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員には月0.7万円の上乗せ、と書いています。合計すると、介護職員について最大月1.9万円(定期昇給0.2万円込み)です。

順に見ていきます。

1. 対象が「介護従事者」に広がった#

今回から、処遇改善加算の対象が介護職員のみから介護従事者に広がりました。加算の配分を誰にするかについて、Q&A(問2-1-2)は、介護職員以外の全職種が含まれるとしています。例として挙がっているのは、医師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、生活相談員・支援相談員、管理栄養士、栄養士、調理員、その他の事務職などです。

ただし、同じQ&A(問2-1)は、事業所内で柔軟な配分を認めつつ、介護職員、特に経験・技能のある介護職員の処遇改善が重要であることに留意する、とも書いています。対象に入ることと、同じ額が配られることは別の話です。

Q&Aには、ほかにもこんな整理があります。

  • 改善前の賃金が年額440万円以上の職員も、対象に含めることができる(問2-2)
  • EPAによる介護福祉士候補者、介護職種の技能実習生、介護分野の1号特定技能外国人も対象になる(問2-3)

2. 上乗せの区分「Ⅰロ」「Ⅱロ」と、令和8年度特例要件#

区分の名前が変わりました。今までの加算Ⅰが「Ⅰイ」、加算Ⅱが「Ⅱイ」になり、上乗せの区分として「Ⅰロ」「Ⅱロ」が新しくできています。概要資料によると、上乗せは加算Ⅰ・Ⅱを取った事業者の、介護職員分の加算率に乗ります。

ロに進む条件が「令和8年度特例要件」で、次のどれか1つを満たします。

区分サービスの種類満たすこと
ア訪問、通所サービスなどケアプランデータ連携システムに加入し、実績を報告する
イ施設サービスなど生産性向上推進体制加算ⅠかⅡを取り、実績を報告する
ウ法人社会福祉連携推進法人に所属している
2. 上乗せの区分「Ⅰロ」「Ⅱロ」と、令和8年度特例要件

押さえておきたい点が4つあります。

  • 加算の申請時点では、加入や取得の誓約で算定できる(概要資料)
  • ケアプランデータ連携システムは、加入だけでは足りず、利用が必要。実績報告書に利用実績を書く(Q&A 問8-2)
  • ケアプランデータ連携システムと同等の機能とセキュリティを持つと認められたシステムでもよく、令和8年3月13日時点で4つが挙がっている。最新の状況は厚生労働省のページで確かめる(Q&A 問8-1)
  • 特例要件は、基本的には6月以降の算定のための要件(Q&A 問8-3)

概要資料の図には、加算ⅢやⅣ、未取得の事業所が、特例要件を満たして加算Ⅱロへ進む道も描かれています。その場合、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳと職場環境等要件は、令和8年度中の対応の誓約でもよいと、図の注にあります。

3. 訪問看護、訪問リハ、居宅介護支援などに新設#

これまで処遇改善加算の対象外だったサービスにも、加算ができました。概要資料に載っている加算率は次のとおりです。

サービス加算率
訪問看護(介護予防も同様)1.8%
訪問リハビリテーション(介護予防も同様)1.5%
居宅介護支援、介護予防支援2.1%
3. 訪問看護、訪問リハ、居宅介護支援などに新設

加算率は、処遇改善加算を除いた加減算後の総報酬単位数に掛けるもので、事業所に入る額の計算に使います。職員一人ひとりの給料が1.8%上がる、という意味ではありません。

新設のサービスは、加算Ⅳに準ずる要件(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件)か、令和8年度特例要件のどちらかで算定できます。加算Ⅳに準ずる要件は、申請時点では令和8年度中の対応の誓約でもよいと、概要資料の注に書かれています。

居宅のケアマネにとっては、今回が初めての処遇改善加算です。

「月1.0万円」「最大1.9万円」と、自分の給料の関係#

ここが一番取り違えやすいところです。

国が決めたのは、加算率です。事業所に入る加算の額は、サービスの報酬に加算率を掛けて決まります。月1.0万円や最大1.9万円は、その加算率を決めるときの、国の措置の目安です。

一方、誰にいくら配るかは事業所が決めます。通知は、加算額に相当する賃金改善を実施すること、新しく増えた分はベースアップを基本とし、難しい場合は手当や一時金と組み合わせてもよいこととしています。Q&A(問2-6)は、一部の職員に集中させるなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分は行わないこととしています。

つまり、同じ介護職員でも、職場の区分と配分のルールによって、増え方は違います。「1.9万円上がっていないからおかしい」とは、この材料だけでは言えません。

6月分は、何月の給料に入るのか#

Q&A(問1-8-1)は、賃金改善を支払う月は、加算を算定する月と同じでなくてもよいとしています。6月に算定する加算の配分を例に、次の3つから事業者が選びます。

パターン支払う月中身
16月6月の労働時間に基づき、見込みの額で払う
27月6月の労働時間に基づき、7月中に払う
38月6月サービス提供分の報酬が7月の国保連の審査を経て8月に振り込まれるので、8月中に払う
6月分は、何月の給料に入るのか

パターン3の職場では、6月の明細を見ても変化は出ません。6月分が入るのは8月の給料です。どのパターンにするか、配分のあり方について、あらかじめ労使の合意を得るよう努めることとも書かれています。

6月分の処遇改善が6月・7月・8月のどの給料に入るか、3つのパターンを示した図

職員への説明は、どう決まっているか#

通知(第8項)は、賃金改善の方法を、処遇改善計画書を用いるなどして職員に周知するよう事業者に求めています。Q&A(問2-6)は、職員から照会があった場合、その職員の賃金改善に係る内容について、書面を用いるなど分かりやすく回答すること、としています。

聞くこと自体は、国の資料が想定している行動です。

自分の職場で確かめる順番#

  1. 自分のサービスの種類(施設か、訪問・通所か)と職種を書き出す
  2. 職場が取っている加算の区分(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ)を聞く
  3. 6月分を何月の給料で払っているか(6月・7月・8月)を聞く
  4. 5月分の明細と、8月以降の明細の項目名を並べる
  5. 分からない所が残ったら、自分の賃金改善の内容を書面でもらえるか聞く

聞くときの言い方の例は、こうです。

「6月からの処遇改善の分は、何月の給料から入っているんでしょうか。明細のどの項目を見ればいいかも教えてもらえると助かります」

よくある質問#

事務職や調理員も、処遇改善加算の対象ですか。

Q&A(問2-1-2)は、配分の対象に介護職員以外の全職種が含まれるとし、その例に事務職や調理員を挙げています。対象に入るかどうかと、いくら配られるかは別で、配分は事業所が決めます。

最大1.9万円上がらないのは、違反ですか。

1.9万円は、上乗せの区分の職場の介護職員についての、国の措置の上限の目安です。個人への支給額の約束ではありません。事業所に求められているのは、加算額に相当する賃金改善を行うこと、著しく偏った配分をしないことです。自分の職場が適切かどうかは、この記事の材料では判断できません。

居宅介護支援のケアマネも、6月から対象ですか。

概要資料では、居宅介護支援・介護予防支援に処遇改善加算が新設され、加算率は2.1%です。ただし事業所が算定しているかどうか、どう配分するかは、事業所に確かめる必要があります。

生産性向上推進体制加算を取っていない施設は、上乗せが無いのですか。

施設サービスなどの特例要件は、生産性向上推進体制加算ⅠかⅡの取得と実績報告です(申請時点は誓約で可)。社会福祉連携推進法人への所属でも満たせます。どの区分を取っているかは、職場に聞くのが確実です。

この記事の情報は、2026年10月17日時点のものです。Q&Aは追加・改定されることがあります。

次に読む#

明細のどの行が処遇改善なのか分からないときに。明細、計画書、就業規則を見る順番と、そのまま使える聞き方の文例3本を、noteにまとめています。

6月からの処遇改善、自分の明細のどこにある? 国の通知から並べた、確かめる順番と聞き方の文例3本(無料)https://note.com/logical_kaigo/n/n1a62edc44e54

職種ごとの取り分を自分で計算したいときは、こちらの記事です。

介護従事者処遇改善加算は職種別にいくら上がる?取り分の計算手順https://andmimics.com/kaigo/money/%e4%bb%8b%e8%ad%b7%e5%be%93%e4%ba%8b%e8%80%85%e5%87%a6%e9%81%87%e6%94%b9%e5%96%84%e5%8a%a0%e7%ae%97%e3%81%af%e8%81%b7%e7%a8%ae%e5%88%a5%e3%81%ab%e3%81%84%e3%81%8f%e3%82%89%e4%b8%8a%e3%81%8c%e3%82%8b/

個別の職場の扱いが決まりどおりかどうかは、この記事では判断しません。社会保険労務士、自治体の介護保険の担当、労働基準監督署に相談してください。

出典#

出典・参考
  • 厚生労働省老健局「令和8年度介護報酬改定について」(処遇改善加算の拡充の概要、令和8年度特例要件、新設サービスの加算率。2026年10月17日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf
  • 厚生労働省老健局老人保健課 事務連絡「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」令和8年3月13日(問1-8-1、問2-1、問2-1-2、問2-2、問2-3、問2-6、問8-1、問8-2、問8-3。2026年10月17日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675711.pdf
  • 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」令和8年3月13日 老発0313第6号(第2項、第8項。2026年10月17日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675724.pdf


この記事を書いた人:ミミ介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護施設で生活相談員・ケアマネジャーとして勤務。現場の職員研修と介護現場でのAI活用の推進に携わっています。記事の数字・制度は一次資料の原文を開いて確認してから書いています。誤りに気づいた方はお問い合わせから教えてください。 運営者情報

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