介護休業は、対象家族1人につき3回、通算93日まで。介護休暇は、1年度に5日まで(対象家族が2人以上なら10日)で、時間単位でも取れます。数字だけ並べると似た制度に見えますが、役割は別です。休業は「体制を整える期間」、休暇は「短い用事のための休み」。この記事では、2つの違い、どちらを先に使うか、対象外になる人、令和7年4月に変わった点を、2026年10月12日時点の厚生労働省の資料で確認した範囲だけでまとめます。
この記事の内容
2つの制度を、1枚の表で比べる#
| 介護休業 | 介護休暇 | |
|---|---|---|
| 役割 | 仕事と介護を両立できる体制を整える準備期間 | 通院の付き添いや手続の代行など、短い用事のための休み |
| 日数の上限 | 対象家族1人につき、通算93日 | 1年度に5日(対象家族が2人以上なら10日) |
| 回数 | 対象家族1人につき3回まで | 回数の定めなし(日数の範囲内) |
| 単位 | まとまった期間 | 1日単位または時間単位 |
| 収入 | 雇用保険の被保険者で一定の要件を満たせば、休業開始時賃金日額の67%相当の介護休業給付金 | 有給か無給かは会社の規定 |
| 対象外にできる人(労使協定がある場合) | 継続雇用1年未満の人、申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな人、週の所定労働日数が2日以下の人 | 週の所定労働日数が2日以下の人。時間単位は、取ることが困難な業務の人だけ対象外(1日単位は取れる) |
(出典は末尾。日々雇い入れられる人は、休暇の対象から除かれます)
介護休業は「自分で介護する休み」ではなく「体制づくりの期間」#
名前が「休業」なので、仕事を休んで親のそばにつく期間だと思われがちです。厚生労働省の案内は、休業期間を、自分で介護を担う期間と捉えるのではなく、仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間と捉えるよう示しています。
休業中にやることの例として、案内には次のものが挙がっています。
- 市区町村、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどへの相談
- 介護サービスの手配
- 家族での介護の分担の決定
- 民間事業者、ボランティア、地域サービスなど、利用できるサービスを探す
上限は、対象家族1人につき3回・通算93日です。93日に達した家族については、それ以上取れません。途中で使い切ると、あとで状況が変わっても、その家族の分は残っていません。最初の1回は必要な日数に絞り、残りを後に回す考え方もあります。
要件を満たして申し出れば、事業の繁忙や経営上の理由で会社が休業を妨げることはできません(育児・介護休業法 第12条第1項)。ただし、労使協定で対象外にされている人は別です。

介護休暇は「付き添い・手続・短い打ち合わせ」にも使える#
介護休暇の「世話」には、例として、通院等の付き添いと、介護サービスの提供を受けるために必要な手続の代行が示されています。厚生労働省の案内も、通院の付き添いや手続の代行にも使える、と書いています。
ケアマネジャーとの打ち合わせは、法令の例示には出ていません。ただし厚生労働省の「介護休暇」のページには、ケアマネジャーなどとの短時間の打合せにも活用できる、と書かれています。会社ごとの運用は、就業規則や担当者で確認してください。
時間単位の数え方#
時間単位で取るとき、休暇1日分の時間数は「1日の所定労働時間数」で、1時間に満たない端数は切り上げです。所定労働時間が7時間30分の人は、8時間分で1日になります。所定が8時間なら、年5日は40時間分です。
法令が定める時間単位の取り方は、始業の時刻から連続するか、終業の時刻まで連続する形です。仕事の途中で抜けて戻る「中抜け」まで認めることは、法令は求めていません。認めている会社もあるかどうかは、就業規則で確かめます。
年次有給休暇とは別に与えるもの#
介護休暇は、労働基準法の年次有給休暇とは別に与える必要があります。有給が残っていなくても、介護休暇は取れます。給料が出るかどうかは会社の規定です。
令和7年4月に変わったこと#
2025年(令和7年)4月1日から、次の点が変わっています。
- 介護休暇について、継続して雇用された期間が6か月に満たない人を労使協定で対象外にできる規定が廃止されました。いま対象外にできるのは、週の所定労働日数が2日以下の人です(休暇の場合。時間単位が困難な業務の人は、時間単位だけ対象外にできます)
- 介護に直面したことを申し出た従業員に対して、会社が介護休業などの制度を個別に周知し、利用の意向を確認することが義務になりました。周知する内容は、制度の内容、申出先、介護休業給付金です。面談や書面などで行われます
- 介護休業などを利用しやすい雇用環境の整備(研修、相談窓口、利用事例の提供、方針の周知のうちいずれか)が、会社の義務になりました
入社して半年たっていない人も、「継続雇用6か月未満」という理由では、介護休暇の対象外にされません。
使い分けの目安#
| 予定 | 向いている休み |
|---|---|
| 認定調査の立ち会いなど、数時間で済む予定 | 介護休暇(時間単位) |
| 契約、退院の日など、丸1日かかる予定 | 年次有給休暇、または介護休暇の1日 |
| 退院前後など、数日続けて動く週 | 介護休業 |
| 相談先を探す、サービスを手配する、家族で分担を決める期間 | 介護休業(体制づくりの準備期間) |
この表は、上で確認した制度の役割を予定に当てはめた目安です。会社の就業規則で、取り方の細かい決まりが違うことがあります。

よくある質問#
介護休業を93日使い切ったら、もう取れませんか。
その対象家族については、取れません(厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」)。対象家族は1人ごとに数えるので、別の家族に介護が必要になった場合は、その家族について改めて数えます。
介護休暇の期間中、給料は出ますか。
有給にするか無給にするかは、会社の規定によります。厚生労働省の案内もそう書いています。就業規則か人事で確認してください。
介護休業中の収入は、まったくありませんか。
雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす人は、休業開始時賃金日額の67%相当の介護休業給付金が支給されます。「一定の要件」に当たるかどうかは、会社の担当者かハローワークで確認してください。
会社に伝えるのが不安です。何と言えばいいですか。
「親の介護が始まりました。介護休業と介護休暇について教えてください」で足ります。令和7年4月1日から、申し出を受けた会社が、制度の内容・申出先・介護休業給付金を個別に知らせ、利用の意向を確認する必要があります。聞くのは次の3つです。
- 介護休暇は有給か無給か。時間単位は何時間から取れるか
- 申出先はどこで、いつまでに、書面とメールのどちらで出すか
- 介護休業給付金は、自分の場合は対象になりそうか
持ち帰り#
次の一歩は、就業規則の「介護休暇」のページを開くことです。見るのは3か所だけ。有給か無給か、時間単位は何時間からか、対象外にする協定があるか。その3行をメモしておけば、認定調査や面談の日程の電話が来たときに、どの休みで取るかをすぐ決められます。
あわせて2点だけ覚えておきます。介護休業の対象は「要介護状態」(けがや病気、障害で、2週間以上にわたって常に介護が必要な状態)の家族です(育児・介護休業法 第2条第3号・則第2条)。休業を始めたい日の2週間前より後に申し出ると、会社が開始日を後ろにずらせます(同法 第12条第3項)。自分が対象になるか、いつまでに出すかは、会社の人事か、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で確認できます。
出典#
- 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和7年4月1日、10月1日施行対応)」(2026年10月12日閲覧・介護休業は第11条・第12条・第15条、介護休暇は第16条の5・第16条の6、除外できる労働者は則第24条、介護休暇の時間単位は則第40条) https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355354.pdf
- 厚生労働省 介護休業制度特設サイト「介護休業」(2026年10月12日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/leave/
- 厚生労働省 介護休業制度特設サイト「介護休暇」(2026年10月12日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/shorttime-leave/
- 厚生労働省 介護休業制度特設サイト「法改正のポイント」(2026年10月12日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/law-amendment/
- e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(2026年10月13日閲覧・要介護状態の定義は第2条第3号、休業開始日の指定は第12条第3項) https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000076
- e-Gov法令検索「同法施行規則」(2026年10月13日閲覧・要介護状態の期間「2週間以上」は則第2条) https://laws.e-gov.go.jp/law/403M50002000025