介護休業給付金の額は、休業を始める前6か月の賃金を180で割った「休業開始時賃金日額」に、支給日数(原則30日)と67%をかけて出します。月の賃金が30万円なら1か月あたり約20万1千円、93日すべて使えば約62万円が目安です。1か月あたりの支給額には上限366,222円があります(2026年8月1日からの額)。ただし、3つの場合は1円も出ません。被保険者期間が足りない、最初から休業後に辞めることが決まっている、休業中に賃金が8割以上支払われている、の3つです。この記事では計算式、月収別の早見表、もらえない3つの場合、申請の手順と会社に出す文例までまとめます。内容は2026年10月10日時点の制度です。
この記事の内容
- 介護休業給付金はいくら? 計算式は「賃金日額 × 支給日数 × 67%」
- 数字1: 休業開始時賃金日額は「6か月分÷180」
- 数字2: 支給日数は原則30日
- 数字3: 支給率は67%
- 1か月の上限は366,222円、下限は64,380円
- 月収別の早見表: 1か月分と93日分の目安
- 手取りで見ると67%より目減りしない部分もある
- もらえない3つの場合と、見分け方
- 金額より先に、ここを確認する理由
- ① 休業前2年間に「11日以上働いた月」が12か月ない
- ② 休業の始めから、終わった後に辞めることが決まっている
- ③ 休業中に賃金が8割以上支払われた
- 3つのNGの早見表
- 申請の7手順と、会社に出す文例4本
- そのまま使える文例4本
- 会社への申し出は「日付」で書く
- 休業に入る前のチェックリスト
- 家族に説明する時の言い方と、職員が家族に渡せる3つの情報
- よくある質問
- まとめ
- 出典
介護休業給付金はいくら? 計算式は「賃金日額 × 支給日数 × 67%」#
結論。覚える式は次の1本だけです。
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
ハローワークインターネットサービスは、支給額をこの式で示しています。使う数字は3つしかないので、順に見ていきます。

数字1: 休業開始時賃金日額は「6か月分÷180」#
休業を始める直前6か月間に支払われた賃金を180で割った額です(東京都の家庭と仕事の両立支援ポータルサイト)。賞与のように臨時に支払われるものは入らず、基本給と毎月の手当が中心になります。
この賃金には上限と下限があり、毎年8月1日に改定されます。2026年8月1日からは、賃金月額の上限が546,600円、下限が96,090円です(ハローワークインターネットサービス)。月の賃金が55万円でも60万円でも、計算に入る額は546,600円で止まります。
数字2: 支給日数は原則30日#
支給は1か月ごとの区切り(支給単位期間)で計算し、日数は原則30日です。休業の終わりの日が入る期間だけ、その期間の実日数になります(同上)。
数字3: 支給率は67%#
支給率は67%です。2016年(平成28年)7月31日以前に始めた休業は40%でした(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークの案内)。古い情報を見て「4割しか出ない」と思っている人がいますが、現在は67%です。
1か月の上限は366,222円、下限は64,380円#
賃金月額の上限546,600円で計算した1か月の支給上限は366,222円です(ハローワークインターネットサービス)。下限の96,090円で計算すると64,380円になります。つまり、どんなに給料が高くても1か月36万6千円台で天井を打ちます。
月収別の早見表: 1か月分と93日分の目安#
下の表は、賃金月額(直近6か月の平均月額)から計算した目安です。実際の額はハローワークが決定するので、あくまで見通しを立てるための数字として使ってください。93日分は30日+30日+33日で計算しています。
| 月の賃金 | 1か月の額 | 93日分の目安 |
|---|---|---|
| 15万円 | 約10万500円 | 約31万1千円 |
| 20万円 | 約13万4千円 | 約41万5千円 |
| 25万円 | 約16万7千円 | 約51万9千円 |
| 30万円 | 約20万1千円 | 約62万3千円 |
| 40万円 | 約26万8千円 | 約83万円 |
| 54万6,600円以上 | 36万6,222円(上限) | 約113万5千円 |

手取りで見ると67%より目減りしない部分もある#
給付金に所得税はかかりません。雇用保険法第12条は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として租税その他の公課を課すことができないと定めています。
一方で、休業中も止まらない支払いがあります。住民税は前年の所得に対してかかるので請求は続きます。健康保険と厚生年金の保険料も続きます。日本年金機構が案内している保険料の免除は産前産後休業・育児休業等期間のもので、介護休業はそこに含まれていません(2026年10月10日時点)。給与から引かれていた保険料を休業中どう納めるのか、会社の担当者に休みに入る前に聞いておいてください。
注意したいのは入金の時期です。申請の期限は介護休業終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日までで(ハローワークインターネットサービス)、手続きと審査を経てから振り込まれます。休業に入った直後の生活費は、別に用意しておく方が安全です。
もらえない3つの場合と、見分け方#
金額より先に、ここを確認する理由#
金額は後から増やせませんが、3つのNGのうち2つは休業に入る前なら手を打てます。被保険者期間は休業の開始日をずらすことで満たせる場合があり、休業中の賃金の払い方は会社と相談できる余地があります。休業に入ってから気づいても戻せません。だから確認の順番は、金額ではなく「資格 → 賃金の払い方 → 金額」です。この順番を逆にした人が、計算だけして安心し、後で0円を知ることになります。
① 休業前2年間に「11日以上働いた月」が12か月ない#
対象は、介護休業を開始した日の前2年間に、賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある月が12か月以上ある人です(ハローワークインターネットサービス)。11日以上の月が12か月に足りない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月として数える扱いがあります(2020年8月1日以降に開始する休業)。
引っかかりやすいのは、転職して1年たっていない人と、月の勤務日数が少ない働き方の人です。11日に届かない月が続いた理由(病気、事業所の休業など)がある場合は数え方が変わることがあるため、休業の相談と同時にハローワークへ確認してください。
② 休業の始めから、終わった後に辞めることが決まっている#
厚生労働省のQ&Aは、介護休業給付は介護休業終了後の職場復帰を前提とした給付金であり、介護休業の当初からすでに退職を予定しているのであれば支給対象とならないとしています。
これは申請書の書き方で変わる話ではありません。制度の設計そのものです。辞めずに続けるために休む。その前提が外れると給付は出ません。休業に入ってから事情が変わって退職する場合、どこまでが支給の対象になるかは個別の判断になります。退職日を決める前にハローワークへ確認してください。
関連記事: 介護休業給付金の条件と申請|仕事を辞める前に使う順番7手順
③ 休業中に賃金が8割以上支払われた#
厚生労働省のQ&Aは、休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が支払われている場合は支給額が0円になり、80%に満たない場合でも収入額に応じて減額される場合があるとしています。東京都の両立支援ポータルサイトは、この調整を次のように整理しています。
| 休業中の賃金 | 給付金の額 |
|---|---|
| 13%以下 | 67%相当額を支給 |
| 13%超〜80%未満 | 80%相当額との差額を支給 |
| 80%以上 | 0円(不支給) |
もう一つ、就労日数の決まりがあります。同Q&Aは、就労日数が10日以下でなければその支給単位期間は支給対象とならないとしています。「人手が足りないから週2回だけ出てほしい」と頼まれて月に11日出ると、その月は丸ごと対象外になります。
注意: 会社が気づかって給与を多めに払うと、給付金が0円になることがあります。会社の制度を調べたら、賃金と給付金を合わせた合計額で比べてください。給与を8割以上もらえるなら給付金は要りませんが、7割だけ払って給付金も減らされる形がいちばん損になります。
3つのNGの早見表#
| もらえない場合 | 確認の物差し | 休業前に打てる手 |
|---|---|---|
| 期間不足 | 前2年で11日以上の月が12か月 | 開始日をずらす、時間数80時間の扱いを確認 |
| 退職予定 | 休業後に復帰する前提か | 復帰を前提に申し出る、退職判断は休業後に |
| 賃金8割 | 会社から出る賃金の割合 | 合計額で比べ、支払い方を会社と相談 |
申請の7手順と、会社に出す文例4本#
- 要介護状態かを確認する。負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態が対象です(厚生労働省・介護休業制度特設サイト)。該当するか迷う時は、主治医・かかりつけ医に相談してください。
- 対象家族かを確認する。配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫が対象です(同)。
- 残っている回数と日数を確認する。対象家族1人につき3回、通算93日までです(同)。
- 休業開始予定日の2週間前までに、書面などで会社に申し出る(同)。日付を決めて出すのがコツです。
- 休業中の賃金の有無と、社会保険料の納め方を会社に確認する。ここが③のNGを避ける分かれ目になります。
- 給付金の手続きの窓口を決める。申請先は在職中の事業所を管轄するハローワークです(厚生労働省のQ&A)。会社が手続きを進める場合が多いので、担当者に確認してください。
- 休業が終わったら期限内に申請する。介護休業終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日までです。
そのまま使える文例4本#
- 【介護休業の申出について】お疲れさまです。○○部の○○です。母の介護のため、○月○日から○月○日まで(○日間)介護休業を取得したいと考えています。復帰を前提とした休業として申し出ます。必要な書式があればお送りいただけますか。開始日の2週間前までに正式な書面を提出します。
- 【介護休業給付金の手続きについて】介護休業給付金の申請について確認させてください。当社では会社経由で手続きしていただく形でよろしいでしょうか。私が用意する書類(通帳の写し、申請書への記入など)があればお知らせください。申請の期限が休業終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日と聞いています。
- 【休業中の賃金と保険料について】休業中の給与の扱いを確認したいです。就業規則で有給・無給のどちらになりますか。もし一部支給される場合、休業前の賃金に対して何割程度になるか教えてください。給付金が減額される基準があるため、合計額で確認したいです。あわせて、健康保険と厚生年金の保険料を休業中どのように納めるか(給与からの控除か、振込か)もご指示ください。
- 【ハローワークへの電話での聞き方】介護休業給付金について確認したいことがあります。1つ目は、私の被保険者期間が要件を満たしているかです。2つ目は、休業の開始日を○月○日にした場合と○月○日にした場合で、要件の判定が変わるかです。3つ目は、休業中に月○日ほど出勤する予定がある場合の扱いです。
会社への申し出は「日付」で書く#
親の介護が大変なので、しばらく休ませてください。落ち着いたら戻ります。
母の介護のため、○月○日から○月○日までの○日間、介護休業を取得したいと考えています。復帰を前提とした申し出です。残りの取得回数は○回、通算日数は○日です。
ビフォーの書き方だと、会社は休職なのか欠勤なのか介護休業なのか判断できません。給付金は介護休業に対して支給される仕組みなので、制度名と日付を書いて初めて手続きが動きます。
休業に入る前のチェックリスト#
チェックはこの端末に保存されます。印刷して現場に貼る場合はそのまま印刷してください。
家族に説明する時の言い方と、職員が家族に渡せる3つの情報#
私はケアマネ・相談員として家族と話す仕事をしていますが、専門職の目線で本人にとっての実害や利益を説明すると、「そういう視点で考えたことがなかった」「言われないとわからなかった」と言われることがあります。知識がないことが悪いわけではありません。情報が届けば、見え方が変わります。介護休業給付金も、届いていない人の多い制度の一つです。
家族に説明する時、職員が渡せる情報は3つに絞ると伝わります。
- 介護休業は対象家族1人につき3回、通算93日まで分けて使える。全部まとめて使い切る必要はない。
- 給付金は休業前の賃金の67%で、1か月の上限は366,222円。全額ではないが0でもない。
- 手続きの窓口は平日の日中にしか開いていない。だから休む日をまとめる段取りが必要になる。
説明の順番も決めておきます。先に「辞めなくても休める」を伝え、次に「お金はこれくらい出る」を伝えます。逆にすると、金額だけを聞いて「67%では無理だ」と退職の話に進んでしまいます。
2025年4月1日施行の育児・介護休業法の改正で、介護に直面した旨を申し出た労働者への個別の周知と意向確認、40歳等の早い段階での情報提供が会社の義務になりました(厚生労働省)。会社から何も案内がない場合、こちらから「介護両立支援制度の説明をお願いします」と言ってよい話になっています。
家族の側で先に決めておくことは1つだけです。介護休業の93日は、自分が介護を担う日数というより、介護の体制を作る日数だという前提に立つこと。誰が、どの事業所と、いくらで支える形を作るのか。そこを決めずに休むと、93日が終わった時点で何も変わっていない状態になります。
関連記事: 要介護認定は申請から原則30日|働く家族が平日に休む日は2日
よくある質問#
年5日の介護休暇でも給付金は出ますか。
出ません。給付の対象は介護休業です。年5日の介護休暇は別の制度で、介護休業給付金の対象ではありません。短い通院の付き添いは介護休暇、体制づくりのまとまった休みは介護休業と、使い分けてください。
パートや契約社員でも対象になりますか。
雇用保険の被保険者で被保険者期間の要件を満たせば対象です。期間を定めて雇用されている人は、申出時点で、休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了して更新されないことが明らかでないこと、という要件があります(厚生労働省・介護休業制度特設サイト)。契約の更新時期が近い場合は、会社とハローワークの両方に確認してください。
3回に分けても67%のままですか。
支給率は変わりません。対象家族1人につき3回、通算93日までの範囲で分けて取れます。支給額は支給日数に応じて計算されるので、合計の日数が同じなら総額の考え方は変わりません。
いつ振り込まれますか。
申請の期限は介護休業終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日までで、そこから手続きと審査を経て支払われます。入金の具体的な時期は個別の審査によるため、会社の担当者とハローワークに確認してください。休業の初月から振り込まれるお金ではない、という点だけ押さえてください。
給付金に税金や保険料はかかりますか。
所得税はかかりません。雇用保険法第12条が、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として租税その他の公課を課すことができないと定めています。ただし住民税は前年の所得に対してかかるため請求は続き、健康保険・厚生年金の保険料も続きます。
介護休業を使うと職場に居づらくなりませんか。
法律上は、休業の申出や取得を理由とする不利益な取扱いは禁じられています。実際の空気の問題は残りますが、2025年4月からは会社に個別の周知と意向確認の義務があるため、制度の説明を求めること自体が想定された行動になっています。言いにくい場合は、書面やメールで日付を書いて出す方が話が進みます。
まとめ#
- 計算式は「休業開始時賃金日額 × 支給日数(原則30日) × 67%」の1本。賃金日額は休業前6か月の賃金を180で割った額
- 1か月の支給上限は366,222円、下限は64,380円(賃金月額の上限546,600円・下限96,090円で計算。2026年8月1日からの額)
- 月の賃金30万円なら1か月約20万1千円、93日で約62万円が目安
- もらえないのは、前2年間に11日以上の月が12か月ない場合、休業の始めから退職が決まっている場合、休業中に賃金が8割以上出ている場合。就労日数が11日以上の月も対象外
- 確認の順番は「資格 → 賃金の払い方 → 金額」。休業に入る前なら手を打てる
- 介護休業は介護をする93日ではなく、介護の体制を作る93日
次の一歩は1つだけです。今日のうちに、直近2年間の給与明細か勤務表を出して、11日以上働いた月が12か月あるかを数えてください。足りていれば、次は会社に休業中の賃金の扱いを聞く。足りていなければ、開始日をずらす相談をハローワークにする。どちらに転んでも、休業に入る前にしかできない確認です。制度は2026年10月10日時点の内容なので、金額の上限は毎年8月1日に変わる点に注意してください。
出典#
- 厚生労働省「Q&A〜介護休業給付〜」(2026年10月10日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html
- 厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付(介護休業給付)」(2026年10月10日閲覧) https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_continue.html
- 厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」(PL080801保06・2026年8月1日版) https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/kaigokyuugyou.pdf
- 厚生労働省「介護休業|介護休業制度特設サイト」(2026年10月10日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/leave/
- 厚生労働省「2025年施行 育児・介護休業法の改正」(両立支援のひろば・2026年10月10日閲覧) https://ikuji-kaigo.mhlw.go.jp/?p=11381
- 東京都「家庭と仕事の両立支援ポータルサイト|介護休業給付金」(2026年10月10日閲覧) https://www.katei-ryouritsu.metro.tokyo.lg.jp/kaigo/jinji/jinji-6/w/
- 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第12条 公課の禁止(厚生労働省法令等データベース・2026年10月10日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=75161000&dataType=0&pageNo=1
- 日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」(2026年10月10日閲覧) https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20140122-01.html