本文へ移動

令和8年度の最低賃金、介護職は何を確かめる? 全国1,177円、県ごとの発効日、月給の人の時給の出し方

約9分で読めます2026-10-21 更新制度お金
この記事の要点

1,177円。

令和8年度の地域別最低賃金の、全国加重平均です。前の年度は1,121円だったので、56円、率にして5.0%上がりました(厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」)。

ニュースで見る数字は、この平均か、いちばん高い東京の1,280円のどちらかが多いと思います。でも、あなたの給料と比べるのは、平均ではありません。働いている事業所がある県の額と、その県の発効日です。

月給で働いている介護職は、自分の時給を一度も出したことがない人も多いはずです。基本給と手当が並んだ明細から、時給は直接は見えません。

この記事では、令和8年度の47都道府県の額と発効日を表にし、月給の人が自分の時給を出す式と、計算に入れない手当を、国の資料と条文で確かめた範囲で並べます。給料が正しいかどうかの判定はしません。数字を自分の手で出すところまでが、この記事の役目です。

この記事の内容

県ごとの額は1,085円から1,280円。発効日は12月2日までばらつく#

令和8年度の地域別最低賃金の全国加重平均1,177円(前年1,121円、56円・5.0%の引上げ)と、県ごとの最高1,280円・最低1,085円、発効日が10月1日から12月2日まで分かれることを並べた図

令和8年度の額は、いちばん高い東京が1,280円、いちばん低い宮崎が1,085円です。

発効日は県ごとに違います。10月1日に変わったのは15の都道府県で、いちばん遅い沖縄は12月2日です。地域別最低賃金の改正は、公示の日から30日を経過した日か、決定で別に定めた日から効力を持ちます(最低賃金法第14条2項)。

この記事を出す2026年10月21日の時点で、発効日がまだ来ていないのは次の15県です。

青森10月29日、岩手12月1日、山形10月30日、山梨11月1日、京都11月16日、徳島11月1日、愛媛11月1日、高知10月29日、佐賀11月15日、長崎11月2日、熊本12月1日、大分11月1日、宮崎10月24日、鹿児島10月25日、沖縄12月2日。

この15県で働いている人は、発効日の前に働いた分は前の額、発効日からの分は新しい額で見ることになります。

47都道府県の額と発効日(令和8年度)#

厚生労働省の一覧に「答申された改定額」として載っている額と、括弧で示された前の額、発効日を写しました。発効日はすべて令和8年(2026年)です。

都道府県令和8年度の額前の額引上げ額発効日
北海道1,131円1,075円56円10月1日
青森1,090円1,029円61円10月29日
岩手1,090円1,031円59円12月1日
宮城1,098円1,038円60円10月1日
秋田1,090円1,031円59円10月14日
山形1,092円1,032円60円10月30日
福島1,094円1,033円61円10月16日
茨城1,136円1,074円62円10月18日
栃木1,125円1,068円57円10月1日
群馬1,120円1,063円57円10月3日
埼玉1,196円1,141円55円10月1日
千葉1,195円1,140円55円10月1日
東京1,280円1,226円54円10月1日
神奈川1,279円1,225円54円10月1日
新潟1,108円1,050円58円10月1日
富山1,119円1,062円57円10月1日
石川1,113円1,054円59円10月3日
福井1,112円1,053円59円10月4日
山梨1,113円1,052円61円11月1日
長野1,117円1,061円56円10月2日
岐阜1,121円1,065円56円10月1日
静岡1,154円1,097円57円10月15日
愛知1,195円1,140円55円10月1日
三重1,143円1,087円56円10月1日
滋賀1,136円1,080円56円10月3日
京都1,180円1,122円58円11月16日
大阪1,231円1,177円54円10月1日
兵庫1,172円1,116円56円10月1日
奈良1,107円1,051円56円10月4日
和歌山1,101円1,045円56円10月3日
鳥取1,090円1,030円60円10月3日
島根1,092円1,033円59円10月10日
岡山1,104円1,047円57円10月2日
広島1,141円1,085円56円10月11日
山口1,101円1,043円58円10月8日
徳島1,103円1,046円57円11月1日
香川1,092円1,036円56円10月1日
愛媛1,093円1,033円60円11月1日
高知1,086円1,023円63円10月29日
福岡1,114円1,057円57円10月4日
佐賀1,095円1,030円65円11月15日
長崎1,087円1,031円56円11月2日
熊本1,092円1,034円58円12月1日
大分1,096円1,035円61円11月1日
宮崎1,085円1,023円62円10月24日
鹿児島1,090円1,026円64円10月25日
沖縄1,086円1,023円63円12月2日
47都道府県の額と発効日(令和8年度)

全国加重平均は1,177円(前の額1,121円、引上げ額56円、5.0%)です。

自分の給料で確かめる順番は4つ#

1. 働いている事業所がある県の額を見る#

地域別最低賃金は、パート、アルバイト、臨時、嘱託などの呼び方に関係なく、その都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます(最低賃金特設サイト「適用される対象者は?」)。見るのは事業所がある県の額です。住んでいる県と違う人は、ここで取り違えやすいので気をつけてください。

2. 計算に入れない賃金を外す#

最低賃金の計算に入れない賃金6つ(臨時の賃金、1か月を超える期間ごとの賃金、残業の割増、休日の割増、深夜の割増の部分、精皆勤・通勤・家族手当)を並べた図

最低賃金と比べるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。次の賃金は計算に入れません(最低賃金法第4条3項、施行規則第1条、最低賃金特設サイト「対象となる賃金は?」)。

  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 所定労働時間を超えた労働の賃金(残業の割増賃金など)
  • 所定労働日以外の日の労働の賃金(休日の割増賃金など)
  • 午後10時から午前5時までの労働の賃金のうち、通常の賃金を超える部分(深夜の割増賃金など)
  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

介護職の明細で迷いやすいのは、夜勤手当と処遇改善の分です。

夜勤の深夜割増の部分は、外すものに入っています。一方、1回いくらの「夜勤手当」がどう扱われるかは、名前だけでは決められません。迷う手当は外して計算してみて、それでも県の額を上回るなら、ひとまず安心材料になります。下回るなら、明細を持って労働局か労働基準監督署に聞いてください。

処遇改善の分が年に数回まとめて一時金で払われる職場なら、その一時金は「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」にあたるかを、まず確かめます。毎月の給料に手当として入っているなら、外すものの一覧には載っていません。

3. 時給を出す#

時給で働いている人は、時給と県の額をそのまま比べます。

月給の人は、時間あたりの額に直します。月によって決まっている賃金は、月の所定労働時間数で割ります。月によって所定労働時間数が違う場合は、1年間の1か月平均の所定労働時間数で割ります(施行規則第2条1項3号)。

厚生労働省のセルフチェックシートでは、1か月の所定労働時間数を次の式で出しています。

1日の所定労働時間数 × 年間の総労働日数 ÷ 12

式に入れる「1日の所定労働時間数」と「年間の総労働日数」は、雇用契約書か就業規則に書いてあります。シフト制で日ごとに違う人は、総務に「1か月平均の所定労働時間は何時間ですか」と聞くのが早いです。

4. 発効日の前か後かを見る#

自分の県の発効日より前に働いた分は、前の額と比べます。発効日からの分は、新しい額と比べます。表の「前の額」の列を使ってください。

月給の人が時給を出す順番(計算に入れない賃金を外す、1日の所定労働時間×年間の総労働日数÷12で1か月の時間を出す、割り算して県の額と比べる)と、仮の数字の例(18万5,000円÷約166.7時間=1,110円)を並べた図

仮の数字で計算すると、同じ月給でも県で結果が変わる#

ここからの数字は、すべて仕組みを説明するための仮の数字です。

月給の明細が、次のようだったとします。

  • 基本給 170,000円
  • 資格手当 10,000円(毎月)
  • 処遇改善手当 5,000円(毎月)
  • 通勤手当 8,000円
  • 家族手当 5,000円
  • 残業の割増賃金、深夜の割増賃金

計算に入れるのは、基本給、資格手当、毎月の処遇改善手当の合計で185,000円です。通勤手当、家族手当、残業と深夜の割増は外します。

1日の所定労働時間が8時間、年間の総労働日数が250日なら、1か月の所定労働時間数は8 × 250 ÷ 12で、約166.7時間です。

185,000円 ÷ 約166.7時間で、時給は1,110円になります。

この1,110円を、表の2つの県で比べてみます。

  • 鹿児島(1,090円・10月25日発効)なら、新しい額より20円上
  • 福岡(1,114円・10月4日発効)なら、前の額1,057円より53円上だったのが、10月4日からは新しい額より4円下

同じ明細でも、どの県で働いているか、そして発効日の前か後かで、上か下かが入れ替わります。去年は上だったから今年も大丈夫、とは言えない理由がこれです。

数字を出してみて「思っていたより低い」と感じた人も、「意外と上だった」と感じた人もいると思います。どちらでも、明細から時給を自分の手で出せたなら、次に給料の話をするときに使える数字が1つ増えています。

下回っていそうなときに、法律で決まっていること#

最低賃金額に届かない賃金を決めた労働契約は、その部分が無効になり、最低賃金と同じ定めをしたものとみなされます(最低賃金法第4条2項)。最低賃金特設サイトは、最低賃金未満しか払っていない場合、使用者は差額を支払わなくてはならない、と説明しています。

自分の計算が合っているかに自信がないときは、明細と雇用契約書を持って、都道府県労働局か最寄りの労働基準監督署に問い合わせてください。最低賃金についての問い合わせ先として、特設サイトに案内されています。

計算の途中で迷うのは当たり前です。手当の名前は職場ごとに違い、どれを外すかは名前だけでは決まらないことがあります。

よくある質問#

パートでも最低賃金は関係ありますか。

関係あります。地域別最低賃金は、パート、アルバイト、臨時、嘱託など、雇用形態や呼び方に関係なく適用されます(最低賃金特設サイト)。

試用期間中は、最低賃金より低くてもいいのですか。

試用期間(法令上は「試の使用期間」)中の人は、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に、個別に減額の特例が認められる場合があります(最低賃金特設サイト)。許可が前提なので、気になるときは職場に許可を受けているかを確かめてください。

賞与が多いので、年収で見れば上回っています。それでもいいですか。

最低賃金と比べるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。賞与のように1か月を超える期間ごとに払われる賃金は、計算に入れません(施行規則第1条)。比べる単位は、月ごとの時給です。

次に読む#

明細のどの行が処遇改善なのか分からないときに。明細、計画書、就業規則を見る順番と、そのまま使える聞き方の文例3本を、noteにまとめています。

6月からの処遇改善、自分の明細のどこにある? 国の通知から並べた、確かめる順番と聞き方の文例3本(無料)https://note.com/logical_kaigo/n/n1a62edc44e54

個別の給料が決まりどおりかどうかは、この記事では判断しません。都道府県労働局、労働基準監督署、社会保険労務士に相談してください。

この記事の情報は、2026年10月20日時点のものです。

出典#

出典・参考


この記事を書いた人:ミミ介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護施設で生活相談員・ケアマネジャーとして勤務。現場の職員研修と介護現場でのAI活用の推進に携わっています。記事の数字・制度は一次資料の原文を開いて確認してから書いています。誤りに気づいた方はお問い合わせから教えてください。 運営者情報

この記事の「型」を、現場でそのまま使う。

noteでは、記事で扱ったテーマの文例・チェックリスト・早見表を、印刷して申し送りや研修に使える形で配布しています。看取り・ACPの入門記事は無料です。

noteを見る