17.3%。介護の仕事をしている人に、労働条件や仕事の負担の悩みを聞いた全国の調査で、「有給休暇が取りにくい」を選んだ人の割合です(介護労働実態調査 令和7年度、2万675人、複数回答)。
有給を申し出ると「その日はシフトが回らない」と返ってくる。申し訳なさが先に立って、そのまま引っ込める。そういう場面で、法律では何が決まっているのか。労働基準法第39条を開いて、書いてあることだけを並べます。
職場ごとの扱いが正しいかどうかの判断はしません。法律で決まっていることと、職場が決めていることを分けるところまでが、この記事の役目です。
この記事の内容
第39条で決まっていること#

| 決まっていること | 条文 |
|---|---|
| 6か月続けて勤め、全労働日の8割以上出勤した人に、10日の有給 | 第39条1項 |
| 有給は、働く人が請求する時季に与える | 第39条5項 |
| 別の時季にずらせるのは、請求された時季に与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」 | 第39条5項ただし書 |
| 10日以上もらう人には、そのうち5日を、会社が1年以内に時季を決めて取らせる | 第39条7項 |
| 介護休業や育児休業、産前産後の休業の期間は、出勤したものとみなす | 第39条10項 |
順に見ていきます。
何日もらえるか#
最初の6か月を続けて勤め、全労働日の8割以上出勤すると、10日です(1項)。そこから1年ごとに加算され、勤め始めて6年6か月以上で20日になります(2項)。
| 勤めた期間 | 有給の日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
前の1年の出勤が8割未満だと、その次の1年は与えなくてよいことになっています(2項ただし書)。
パートなど、週の所定労働日数が少ない人は、条件によって、日数に比例した日数になります(3項。週の所定労働時間が一定以上の人は除かれます)。具体的な日数は厚生労働省令で決まっているので、自分の日数は就業規則か人事で確かめるのが確実です。
「その日はシフトが回らない」と言われたとき#
条文の書き方はこうです。
使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に与えることができる(5項)。
原則は、働く人が「この日に」と言った日です。会社が別の日にずらせるのは、ただし書の場合に限られます。条文が会社に認めているのは、別の時季に「与える」ことです。有給そのものを消すことは書かれていません。
では、介護の職場の「人が足りない日」がこのただし書に当たるのか。ここは条文だけでは決まらず、この記事の材料では判断できません。当たるかどうかで迷ったら、下の相談先に持ち込む話です。
言われた側にできるのは、まず「ずらすなら、いつならいいですか」と聞き返すことです。条文の言い方が「他の時季に与える」なので、ずらすなら別の日が一緒に出てくる話になります。
年5日は、会社の側の義務#
10日以上の有給をもらう人について、会社は、そのうち5日を、基準日(有給が付与される日)から1年以内に、一人ずつ時季を決めて取らせなければなりません(7項)。
ただし、本人が自分で請求して取った日や、労使協定で決めた計画的な付与の日があれば、その分は5日を上限に差し引かれます(8項)。
つまり、自分から1日も言い出せなかった年でも、5日については会社が段取りを組む側です。条文は、5日分の時季を会社に決めさせる書き方になっています。
計画的な付与というのは、労使協定で、有給を取る日をあらかじめ決めておく仕組みです。この方法で割り振れるのは、5日を超える部分だけです(6項)。職場で「この日は全員有給」と決まっているなら、それはこの協定によるものかもしれません。協定があるかどうかは、人事に聞けば分かります。
時間単位の有給#
労使協定があれば、年5日までを時間単位で取れます(4項)。協定がなければ、時間単位の有給はありません。
通院や、家族の用事で2時間だけ抜けたい人には、ここが効きます。自分の職場に協定があるかは、就業規則か人事で確かめます。
全国の数字#
有給の数字が載った全国の調査を、別々に置きます。対象も聞き方も期間も違うので、並べても「どちらが高い」とは言えません。それぞれの数字を、そのまま置きます。

介護労働実態調査(令和7年度)#
全国の介護サービス事業所で働く人に聞いた調査です(令和7年10月1日時点、2万675人)。
- 有給の新しく付与された日数は「20日」が30.8%で最も多い
- 取った日数は「5〜9日」が37.7%で最も多く、平均は7.8日
- 付与された日数に対して取った割合(取得率)の平均は52.9%
- 労働条件や負担の悩みで「有給休暇が取りにくい」は17.3%(複数回答。最も多いのは「人手が足りない」52.3%)
就労条件総合調査(令和7年)#
厚生労働省が、常用労働者30人以上の民営企業(医療法人や社会福祉法人を含む)に聞いた調査です。数字は令和6年の1年間のものです。産業の「医療,福祉」は、1人平均で付与17.7日、取得12.1日、取得率68.4%でした。
こちらは「医療,福祉」という産業全体の数字で、介護だけを取り出した数字ではありません。
自分の職場で確かめる順番#
法律で決まっていることが分かったら、次は職場で決まっていることです。私なら、この順で確かめます。
- 就業規則の年次有給休暇のページを開く。申請の期限(何日前までか)と、申請の方法を見る
- 自分の基準日と、今年もらった日数を人事に聞く
- 時間単位の有給と、計画的な付与の労使協定があるかを聞く
- それでも話が進まないときは、総合労働相談コーナーに相談する
2と3は、こう聞けば角が立ちにくいと思います。
「私の有給の基準日と、今年の付与日数を教えてもらえますか。年5日の分を、どう取る予定になっているかも確認したいです」
「時間単位で有給が取れる協定はありますか。通院で2時間だけ抜けたい日があるので」
申請を断られたときは、こうです。
「その日が難しいのは分かりました。ずらすとしたら、いつなら取れますか」
総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などにある窓口で、利用は無料、予約もいりません。念のため連絡してから行くことがすすめられています。プライバシーの保護に配慮した相談対応を行う、と案内に書かれています。
よくある質問#
介護休業を取った年は、出勤率が下がって有給がもらえなくなりますか。
第39条10項で、介護休業をした期間は、有給の出勤率の計算では出勤したものとみなされます。育児休業、産前産後の休業、仕事中のけがや病気で療養のために休んだ期間も同じです。
パートでも有給はありますか。
あります。週の所定労働日数が少ない人は、条件によって、日数に比例した日数になります(3項)。何日になるかは、就業規則か人事で確かめてください。
「人がいないから」と別の日にされたら、違法ですか。
条文は、請求された時季に与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」に限って、別の時季に与えることを認めています。自分の職場のその日がそれに当たるかは、この記事では判断できません。総合労働相談コーナーや社会保険労務士に相談してください。
この記事の情報は、2026年10月18日時点のものです。
次に読む#
全国の介護で働く2万675人が「いい」と答えたことと「足りない」と答えたことを、同じ調査から並べた無料のノートがあります。有給以外の数字も見たいときに。
他の介護士さんって、どんな感じ? 全国2万675人の答えを並べました【みんなの声 第1回】https://note.com/logical_kaigo/n/n9efbd6772f66
個別の職場の扱いが決まりどおりかどうかは、この記事では判断しません。総合労働相談コーナー、労働基準監督署、社会保険労務士に相談してください。
出典#
- 労働基準法 第39条(e-Gov法令検索。2026年10月18日閲覧) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 公益財団法人介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」(29ページ 図表5-6-1、86ページ 年次有給休暇の新規付与日数と取得日数。2026年10月18日閲覧) https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R7_jittai_chousa_roudousya.pdf
- 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」(調査の概要、年次有給休暇 第5表。2026年10月18日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/dl/gaikyou.pdf
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(2026年10月18日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html