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朝食を抜いて、昼まではコーヒーだけで耐える。夜は8時までに食べ終える。「16時間は何も食べない」というルールは単純で、始めやすそうに見える。でも3日目に昼前の空腹に負けて、4日目にはやめている。そこで「自分は意志が弱い」と思って終わっている人は、少なくないと思う。
この方法には、「食べる量を数えなくても、時間を絞るだけで痩せる」という期待がついて回る。ところが、人を無作為に2つの群に分けて比べた試験で確かめると、期待ほどの差は出ていない。この記事では、2つの試験の数字を並べて、何が分かっていて何が分かっていないのかを整理する。
この記事の内容
先に結論#
| 試験 | 比べたもの | 体重の変化 | 群の差 |
|---|---|---|---|
| 2020年(米国・116人・12週間) | 食べる時間を8時間に絞る(量は自由)と、1日3食(間食あり) | 8時間群 −0.94kg、3食群 −0.68kg | −0.26kg。統計的に確かめられる差はなかった(P=0.63) |
| 2022年(139人・12か月) | 1日の食事量を制限したうえで、8時間に絞る群と、時間は自由の群 | 8時間群 −8.0kg、時間自由の群 −6.3kg | −1.8kg。統計的に確かめられる差はなかった(P=0.11) |
どちらの試験も、著者らの結論は、食べる時間を絞っても、体重や体脂肪の減りが、時間を絞らない場合より大きくなるとは言えなかった、という趣旨だった。ただし2つ目の試験の差の幅は広く、「差がなかった」と言い切れる数字でもない。その話は後ろで書く。
この説はどこから来たのか#
2020年の試験の論文は、冒頭でこう書いている(要約)。食べる時間を絞ると、マウスの実験では体重の増加が抑えられたという報告がある。一方で、間欠的な断食の効果の多くは、人では十分に確かめられていない。つまり「時間を絞ると痩せる」は、動物の実験から先に広まり、人での確認があとから追いかけた形になっている。
もう1つ、時間を絞ると痩せる理由として思い浮かぶのは「食べる機会が減るので、食べる量が減る」だ。これは理屈としては自然で、実際に食べる量が減れば体重は減る。2つの試験は、この理屈が現実の生活でどこまで通用するかを測ったものとして読める。
試験1:食べる量は自由、時間だけを変えた(2020年)#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文 | Loweら、JAMA Internal Medicine、2020年(TREAT試験) |
| 対象 | 18〜64歳で解析の対象になった116人(平均46.5歳、男性70人)。BMI27〜43の過体重〜肥満。本文によると無作為に分けられたのは141人で、12週間を最後まで終えたのは105人 |
| 期間 | 12週間。専用のスマホアプリと、通信機能つきの体重計で管理 |
| 8時間群 | 12時から20時までは自由に食べ、20時から翌日の12時までは、カロリーのあるものを口にしない(カロリーのない飲み物は可)。量や内容の指示はなし |
| 3食群 | 1日3回きちんと食べる。間食は自由。量や内容の指示はなし |
| 体重の変化 | 8時間群 −0.94kg(95%信頼区間 −1.68〜−0.20、P=0.01)。3食群 −0.68kg(−1.41〜0.05、P=0.07) |
| 群の差 | −0.26kg(−1.30〜0.78、P=0.63)。統計的に確かめられる差なし |
| 食べた量の推定値 | 対面で測定した50人のグループでは、体重の変化などから計算した推定値(実測ではない)に、2つの群で差はなかった |
8時間群の体重は、その群の中では減っていた。ただ、3食群もほぼ同じように減っていて、2つの群を比べると差は確かめられなかった。著者は、減量の研究に参加するだけで、対照の群でも短期的に体重が減る可能性がある、という趣旨のことを考察に書いている。
気になるのは、対面で測定した50人の推定でも、食べた量に群の差が見えなかったことだ。ただしこれは体重の変化などから計算した推定で、食事を実測したものではない。「時間を絞れば食べる量が減る」という理屈が成り立つかどうかは、この試験からは判断できない。
手足の除脂肪量の指標は、8時間群で下がっていた#
この試験には、もう1つ気になる結果がある。参加者のうち、サンフランシスコ近郊に住む50人は、対面での測定も受けている。
| 調べたこと | 結果 |
|---|---|
| 手足の筋肉の指標(四肢の除脂肪量を身長で調整した値) | 8時間群 −0.22kg/m²(95%信頼区間 −0.30〜−0.14)、3食群 −0.06kg/m²(有意な変化なし)。2群の差は −0.16kg/m²(−0.27〜−0.05、P=0.005) |
| 体脂肪量・体脂肪率、空腹時のインスリンや血糖、HbA1c | 群の中でも群の間でも、統計的に確かめられる変化なし |
| 除脂肪量(筋肉以外の水分や臓器なども含む)の全体と体幹 | 8時間群の中では下がっていた(本文の表)。群の間の差が確かめられたのは、手足の指標 |
50人だけの結果で、群は25人ずつだ。ここから「断食をすると筋肉が減る」と言い切ることはできない。ただ、除脂肪量は筋肉そのものではなく、筋肉以外の水分や臓器なども含む指標なので、「筋肉が減った」と読み替えるのは言い過ぎになる。それでも、体重には差がないのに、手足の指標は8時間群のほうが低かった。体重計の数字だけを見ていると、この種の差は見えない。
試験2:食事量を制限したうえで、時間も絞った(2022年)#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 論文 | Liuら、New England Journal of Medicine、2022年 |
| 対象 | 肥満のある139人 |
| 期間 | 12か月。118人(84.9%)が最後まで参加 |
| 全員への指示 | 食事量の制限。男性は1日1,500〜1,800kcal、女性は1,200〜1,500kcal(試験の参加者に出された値で、読者の目安ではない) |
| 8時間群 | 上の食事量制限に加えて、8時から16時の間だけ食べる |
| 比べた群 | 食事量制限のみ(食べる時間は自由) |
| 体重の変化 | 8時間群 −8.0kg(95%信頼区間 −9.6〜−6.4)、時間自由の群 −6.3kg(−7.8〜−4.7) |
| 群の差 | −1.8kg(−4.0〜0.4、P=0.11)。統計的に確かめられる差なし |
| ほかの項目 | ウエスト周囲径、BMI、体脂肪、除脂肪量、血圧、代謝のリスク指標も、体重と同じ傾向。有害事象の数にも大きな差はなかった |
この試験の時間帯は、朝から夕方にかけての「早い8時間」だ。試験1の「昼から夜8時」とは違う。夜遅くに食べないのが肝心なのか、朝に食べるのが肝心なのか、といった時間帯の細かい違いは、この2つの試験からは分からない。
「差がなかった」の読み方#
1.8kgの差は「確かめられなかった」が、「差がゼロだった」とは言えない。95%信頼区間は −4.0〜0.4kgで、8時間群のほうが4.0kg多く減った可能性から、0.4kg少なかった可能性まで、どちらも残っている。信頼区間がこれだけ広いと、1〜2kgの差があるのかないのかは、この試験の数字からは決められない。論文の結論は、この試験の範囲で、時間を絞ることが食事量の制限より優れているとは言えなかった、というところまでだ。
この研究が言っていないこと#
| 限界 | 何が分からないか |
|---|---|
| 対象は肥満・過体重の成人 | BMIが標準の人、10代、高齢者、妊娠中の人に同じことが言えるかは分からない |
| 期間は12週間と12か月 | 3年、5年と続けたときの体重や健康の変化は分からない |
| 試験1の除脂肪量は50人の測定 | 除脂肪量が下がったという結果は、小さな群のもの。人数を増やした確認は、この記事では見ていない |
| 時間帯が2つの試験で違う | 「昼から夜8時」と「朝から夕方4時」で結果が変わるかは分からない |
| 続けやすさ | 「断食のほうが続けやすい」「食事量の制限のほうが続けやすい」という比較は、この記事では扱っていない |
| 血糖や血圧など | 試験2では、体重以外の指標でも差は確かめられなかった。ただ、対象は肥満のある人で、持病の有無による違いは見ていない |
「効果がない」と言っているわけではない。2つの試験とも、時間を絞った群の体重は実際に減っていた。ただ、時間を絞らない群も同じくらい減っていた。時間を絞るルールのほうが守りやすい人は、その形で食べる量が整うかもしれない。ただ、それは試験で確かめられた話ではなく、憶測です。
今日からできること#
- 時間を絞る前に、いま食べている量を3日間記録して、1日の合計を見る。 試験2では、全員が食事量の制限をしたうえで比べていた。試験1の50人の推定でも、食べた量に群の差は見えなかった。体重を動かしているのが「時間」なのか「量」なのかを考える材料として、まず自分の食べる量の現状を知っておく。
- 16時間断食を試すなら、2週間だけにして、体重より「守れた日数」を数える。 研究の平均は、自分に当てはまるとは限らない。朝の空腹が仕事に響く、夜の食事が遅くなる家庭の事情がある、といった条件は人によって違う。2週間で守れた日が半分に届かなかったなら、憶測ですが、続けにくいルールだったのだと思う。別の形を考える目安にしてほしい。
- 筋トレをしている人、体を動かす仕事の人は、食事の量が減る日に、たんぱく質を含めた食事の中身を記録で確認する。 試験1で、手足の除脂肪量の指標が8時間群で下がっていた。原因が何かは、この試験では確かめられていないので、食事の回数が減って量や内容が足りなくなっていないかを、自分の記録で見ておく。
持病でくすりを使っている人(とくに糖尿病で血糖を下げるくすりやインスリンを使っている人)、妊娠中・授乳中の人、摂食障害の経験がある人は、食べる時間を変える前に主治医に相談してください。
アプリで続ける#
VITA Boardでは、食事を、初期設定では朝食・昼食・夕食・間食の枠ごとに記録できる。食べたものを追加すると、その時点の時刻が自動で入り、あとから直せる。1日のカロリーとPFC(たんぱく質・脂質・炭水化物)の合計が出るので、行動1の「3日間の合計」は、記録を続けるだけで見られる。その枠がまだ空で前日に記録があるときは、前日と同じ食事をボタン1つでコピーできる。「いつもの」として保存した組み合わせも1タップで入る。朝食の枠以外で21時以降に食事を記録すると、クエスト「21時以降は食べない」が達成にならない。一方で、「何時間食べなかったか」を数える断食専用の機能はない。断食の時間は、記録の時刻から自分で見ることになる。1日記録を忘れても、連続記録が2日以上続いていて、忘れた日数ぶんの券が残っていれば、毎週配られる「おやすみ券」が自動で使われて連続記録は途切れない(券は最大2枚まで持てる)。→ VITA Boardを試す
誤解の墓場#
| 誤解 | 実際は |
|---|---|
| 食べる時間を8時間に絞れば、量を数えなくても痩せる | 食べる量の指示を出さなかった12週間の試験(116人)では、8時間群が−0.94kg、3食群が−0.68kg。群の差は確かめられなかった。対面測定の50人の推定でも、食べた量に群の差は見えなかった(実測ではない) |
| 16時間断食は、食事制限より体重が減る | 全員が食事量を制限した12か月の試験(139人)で、8時間群は−8.0kg、時間自由の群は−6.3kg。差は−1.8kg(−4.0〜0.4kg)で確かめられなかった。ただし信頼区間が−4.0〜0.4kgと広く、差がゼロとも言い切れない |
この記事について#
- 更新日:2026年10月11日
- 本記事はAI(Claude)が一次情報を確認しながら執筆し、運営者が公開しています。
- 読んだ範囲:Loweら(2020年)とLiuら(2022年)は、どちらも論文の要旨(Europe PMC掲載)で数値を確認しました。Loweらは、論文本文(PubMed Central掲載)で、対象者の条件(BMI範囲)、指示の内容、除脂肪量の結果(四肢の除脂肪量指数の変化)も確認しました。Liuらの論文本文は読めていないため、対象者の詳しい条件や、食事量の制限が守られた程度は扱っていません。国内のガイドラインや食事摂取基準は確認していないため、国内の基準には触れていません。
- 本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりにはなりません。
- 記事末尾に自社アプリの紹介があります。第三者の広告・アフィリエイトは含みません。
出典・参考
- Lowe DA, et al. Effects of Time-Restricted Eating on Weight Loss and Other Metabolic Parameters in Women and Men With Overweight and Obesity: The TREAT Randomized Clinical Trial. JAMA Internal Medicine. 2020;180(11):1491-1499. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32986097/
- Liu D, et al. Calorie Restriction with or without Time-Restricted Eating in Weight Loss. New England Journal of Medicine. 2022;386(16):1495-1504. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35443107/