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明かりやテレビをつけたまま寝ると体で何が起きるか。寝室の光が眠りと体重の数字に届くまでを5ステップで追う

約10分で読めます 更新腸活睡眠
この記事の要点

VITA Boardは筆者が運営するアプリです。

真っ暗だと落ち着かないので、小さな明かりはつけたまま。テレビはタイマーで消える設定にして、そのまま寝落ちする。眠れてはいるし、困っているわけでもない。

ただ、寝ている間の光については、ここ十数年で数字の出た研究がいくつかある。厚生労働省の睡眠ガイド2023も、寝室の明かりについてかなり具体的に書いている。この記事では、光が目に入ってから、眠りの深さや翌朝の血糖の数字、何年か先の体重の記録に届くまでを、5つの段階に分けて確かめる。

先に書いておくと、どの段階も「光をつけて寝たら太る」とまでは言っていない。言えることと言えないことの線を、段階ごとに引いていく。

この記事の内容

先に結論(5ステップの一覧)#

ステップ何が起きるか根拠根拠の強さ
1寝る前の強い光で、眠りを促すホルモンの分泌が抑えられ、寝つきが遅れる厚労省 睡眠ガイド2023国のガイドが研究をもとに説明
2寝ている間は、低い照度の光でも途中で目が覚める時間が増え、睡眠効率が下がる報告がある厚労省 睡眠ガイド2023国のガイドが研究をもとに説明
3天井の照明(100ルクス)をつけて1晩寝ると、心拍が上がり、翌朝のインスリンの効きが悪くなった米国の実験(20人)小さな実験。1晩だけ
4寝室の夜の明るさが平均3ルクス以上の人は、体重・腹囲が少し大きかった奈良の高齢者528人の調査ある時点の比較。原因かは分からない
5部屋の照明やテレビをつけて寝ている女性は、約6年の間に5kg以上増えた人の割合が高かった米国の女性4万3,722人の追跡長い追跡だが、本人の申告による観察
先に結論(5ステップの一覧)

ステップ1:寝る前の光で、眠りのホルモンが抑えられる#

厚労省の睡眠ガイド2023は、「良質な睡眠のための環境づくり」の項で、寝る約2時間前から眠りを促すホルモン(メラトニン)の分泌が始まり、そのあとに照明やスマートフォンの強い光を浴びると分泌が抑えられ、眠りと目覚めのリズムが遅れて寝つきが妨げられる、と説明している。

ガイドは同じ項で、日中に1,000ルクス以上の光を浴びると夜のメラトニンが増えて体内時計が整うこと、日中に光を多く浴びると夜の照明の光による体内時計への悪い影響が小さくなることも書いている。夜の光だけを見るより、昼と夜の明るさの差で考えたほうが、ガイドの書き方に近い。

ステップ2:寝ている間の弱い光でも、途中で目が覚めやすくなる#

次は「寝ている間の光」の話になる。ガイドは、寝ている間は低い照度の光でも途中で目が覚めている時間が増え、睡眠効率(布団にいる時間のうち実際に眠っている割合)が下がるという報告を挙げ、寝室の照明にも配慮したほうがよいとしている。

さらにQ&Aの中で、光の色を変えられるLED照明を暖色にしていれば夜につけていても大丈夫か、という質問に、今のLEDは調光しても短い波長の光(ブルーライト)が多く含まれるので明るすぎないように調節し、寝るときは照明を消すように、と答えている。「オレンジ色の明かりなら平気」という考え方には、ガイドははっきり乗っていない。

ステップ3:100ルクスで1晩寝た20人の実験#

では、光をつけたまま眠ると体の中で何が変わるのか。米国ノースウェスタン大学のMasonらが2022年に発表した実験(PNAS誌)を見る。

健康な若い成人20人を10人ずつ2つの群に分けた。

1晩目2晩目
照明あり群(10人)薄暗い部屋(3ルクス未満)天井の照明をつけた部屋(100ルクス)
薄暗い群(10人)薄暗い部屋(3ルクス未満)薄暗い部屋(3ルクス未満)
ステップ3:100ルクスで1晩寝た20人の実験

1晩目から2晩目への変化を、照明あり群と薄暗い群で比べると、こうなった。

  • 寝ている間の心拍数が高く、心拍の揺らぎ(心拍変動)が小さかった。論文は、眠っている間も体を活動モードにする神経(交感神経)の働きが強まった状態と解釈している
  • 眠りの中身では、薄暗い群と比べて浅めの眠り(N2)の割合が多く、深い眠り(徐波睡眠)とレム睡眠の割合が少なかった。もっとも照明あり群の浅い眠りは2晩でほとんど変わっておらず、薄暗い群のほうが2晩目に深く眠れるようになった分の差が大きい
  • 翌朝、インスリンの効きの悪さを表す指標(HOMA-IR)と、ブドウ糖を飲んだ30分後のインスリン量が、照明あり群でより高くなった
  • メラトニンの値は、2つの群で差がなかった

最後の点は意外だった。ステップ1の「光でメラトニンが減る」とは別の道筋、つまり寝ている間に神経が休みきれない状態が、翌朝の数字につながった可能性を論文は示している。ただし、1つの群は10人で、照明をつけたのは1晩だけ。毎晩続けたらどうなるかは、この実験からは分からない。

ステップ4:奈良の528人、寝室の明るさを照度計で測った調査#

実験室の100ルクスは、天井の照明をつけたままの明るさだ。家の寝室はもっと暗いことが多い。奈良県立医科大学のObayashiらは、高齢者528人(平均72.8歳)の寝室に照度計を置き、2晩続けて1分ごとに明るさを測った(HEIJO-KYO研究、2013年)。

夜の平均が3ルクス未満だった383人と、3ルクス以上だった145人を比べた結果がこれだ(年齢などの条件をそろえた値)。

3ルクス未満(383人)3ルクス以上(145人)
体重56.6kg58.8kg
BMI22.723.3
腹囲82.8cm84.9cm
中性脂肪99.5mg/dl119.7mg/dl
HDLコレステロール61.3mg/dl57.4mg/dl
ステップ4:奈良の528人、寝室の明るさを照度計で測った調査

3ルクス以上の群は、BMIで見た肥満にあたる人の割合が高く、オッズ比(なりやすさの比)は1.89だった。一方で、夜間の尿中メラトニンと血糖の値には、2つの群で差がなかった。ここでもメラトニンだけでは説明がつかない、という結果になっている。

この研究は、ある時点の体重と寝室の明るさを並べた調査なので、「明るい寝室で寝たから体重が増えた」のか、「別の理由で生活が違う人が明るい寝室で寝ている」のかは区別できない。論文自身も横断研究(ある時点の比較)と明記している。

ステップ5:米国の女性4万3,722人、約6年の追跡#

時間を追った研究もある。米国国立環境衛生科学研究所のParkらが2019年に発表した分析(JAMA Internal Medicine誌)は、35〜74歳の女性4万3,722人に、寝るときの明かりを4つから選んでもらい、平均5.7年後の体重と比べた。

  • 明かりなし
  • 部屋に小さな常夜灯
  • 部屋の外の明かり(廊下など)
  • 部屋の照明かテレビがついている

部屋の照明やテレビをつけていた人の数字はこうなっている。

部屋の照明かテレビをつけて寝ていた人(明かりなしと比べて)相対リスク
5kg以上増えた1.17倍
BMIが10%以上増えた1.13倍
新たに過体重になった1.22倍
新たに肥満になった1.33倍
ステップ5:米国の女性4万3,722人、約6年の追跡

何かしらの明かりがある人全体でも、新たに肥満になるリスクは1.19倍だった。睡眠時間や眠りの質、食事、運動で調整しても結果は保たれた、と論文の要旨は書いている。

ただし、明かりの有無も体重の変化も本人の申告で、照度は測っていない。小さな常夜灯だけの人の数値は、筆者が読んだ要旨には示されていなかった。著者たちも結論で、明かりを減らすことで肥満を防げるかは、今後の介入研究で確かめる必要があると書いている。

この5ステップが言っていないこと#

よく見かける言い方一次情報で言える範囲
電気をつけて寝ると太る太りやすさとの「関連」は2つの観察研究で見られたが、原因だと確かめた研究はまだない
小さな常夜灯でもダメ常夜灯だけの影響を数字で確かめた結果は、今回読んだ範囲には無い。奈良の調査の境目は「夜の平均3ルクス」で、常夜灯の明るさは器具や距離で変わる
暗くして寝れば痩せるどの研究も、暗くした人が痩せたかは調べていない
光の害はメラトニンが減るから寝る前の光でメラトニンが抑えられることはガイドも書いている。ただ、寝ている間の光を扱った2つの研究(ステップ3・4)ではメラトニンに差は出ず、メラトニンだけでは説明しきれない
若い人は気にしなくていいガイドのQ&Aは、10歳代の目のレンズは70歳代より光を5倍近く通すという報告を挙げ、光の影響は若い人で大きいと考えられるとしている
この5ステップが言っていないこと

今日からできる3つの行動#

  1. 寝るときは照明を消す。テレビはタイマーより先に、寝る前に消す。 ガイドが就寝時の照明について書いているのはこの一点で、色や明るさの調整は「夜に起きている間」の話になっている。
  2. 夜中にトイレに起きるなら、足元灯や間接照明に替える。 ガイドは高齢者向けの文脈で、転ばないように足元灯などを使いつつ、目に入る光の量を減らす工夫をすすめている。真っ暗で歩くのが不安な人も、光の位置を目より低くすれば両立しやすい。
  3. 外の街灯や車の光が入る部屋なら、遮光カーテンか寝床の位置を変える。 ガイドのQ&Aは、幹線道路沿いで照明が室内に入る人に、遮光のカーテンに替える、寝床をできるだけ窓から遠くに移すことを挙げている。

真っ暗だと不安で眠れない人が、無理に全部消す必要まではない。その場合は、光源を顔から遠ざける、目に直接入らない向きにする、くらいから始めると、眠れなさとの引き換えにならない。

アプリで続ける#

VITA Boardでは、ホームの歩数欄から睡眠時間と「ぐっすり/まあまあ/浅い/悪い」の4段階の眠りの質を記録できる(Huawei Healthから取り込むこともできる)。寝室の明かりを記録する専用の欄はないので、明かりを消して寝た日はメモ帳に日付だけ書いておき、1〜2週間後にアプリの睡眠時間・眠りの質と見比べてほしい。1日記録を忘れても、連続記録が2日以上続いていて券が残っていれば、毎週配られる「おやすみ券」が自動で使われて連続記録は途切れない(券は最大2枚まで持てる)。→ VITA Boardを試す

記事同士の会話:以前の記事「寝る前のスマホで眠れないのは『画面の光』のせいだけか」では、寝る前に起きている間の光を扱った。今回は、眠ってからの光の話になる。同じ光でも、寝る前は「寝つき」、寝ている間は「眠りの深さと翌朝の体の数字」と、測られているものが違う。

誤解の墓場#

誤解実際は
暖色の明かりなら、つけたまま寝ても大丈夫厚労省の睡眠ガイドのQ&Aは、今のLEDは調光しても短い波長の光が多く含まれるとし、寝るときは照明を消すように答えている
寝ている間の光の影響は、メラトニンが減ることで全部説明できる100ルクスで寝た実験でも、寝室を測った奈良の調査でも、メラトニンの値には差が出なかった。実験の論文は、寝ている間に交感神経の働きが強まったことを別の道筋として挙げている
誤解の墓場

この記事について#

  • 更新日:2026年10月10日
  • 本記事はAI(Claude)が一次情報を確認しながら執筆し、運営者が公開しています。
  • 読んだ範囲:Masonら(2022年)は論文本文(PMC掲載)の要旨・方法の一部を、Obayashiら(2013年)とParkら(2019年)は論文の要旨(Europe PMC掲載)を確認しました。ObayashiらとParkらは本文を読めていないため、調整した条件の細かい内訳は扱っていません。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は公開PDFの本文で、環境づくりの項とQ&A(PDFの25〜27ページ)を確認しました。
  • 本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりにはなりません。不眠が続く人、睡眠薬などで治療中の人、夜中に何度も目が覚めて日中に強い眠気がある人は、寝室の環境を変える前に医療機関に相談してください。
  • 記事末尾に自社アプリの紹介があります。第三者の広告・アフィリエイトは含みません。

出典・参考

  • 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」2024年2月 https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
  • Mason IC, Grimaldi D, Reid KJ, Warlick CD, Malkani RG, Abbott SM, Zee PC. Light exposure during sleep impairs cardiometabolic function. Proceedings of the National Academy of Sciences. 2022;119(12):e2113290119. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8944904/
  • Obayashi K, Saeki K, Iwamoto J, et al. Exposure to light at night, nocturnal urinary melatonin excretion, and obesity/dyslipidemia in the elderly: a cross-sectional analysis of the HEIJO-KYO study. The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 2013;98(1):337-344. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23118419/
  • Park YM, White AJ, Jackson CL, Weinberg CR, Sandler DP. Association of Exposure to Artificial Light at Night While Sleeping With Risk of Obesity in Women. JAMA Internal Medicine. 2019;179(8):1061-1071. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31180469/


この記事を書いた人:ミミVITA Board 開発者

健康管理アプリ「VITA Board」の開発者。記事の数字は論文・厚生労働省等の公開情報を確認してから書いています。誤りに気づいた方はお問い合わせから教えてください。 運営者情報

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