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毎日体重計に乗ると落ち込んで続かない人へ。91人の試験と若い世代の調査で、結果が分かれた

約11分で読めます 更新継続心理
この記事の要点

VITA Boardは筆者が運営するアプリです。

「昨日あれだけ気をつけたのに、0.6kg増えている」

朝、体重計の数字を見て、そのまま1日の気分が決まってしまう。そんな朝が3日続いて、体重計を洗面所の奥にしまった。記録アプリの体重の欄も、それきり空いたまま。

この記事では、そんな流れをたどった架空の人物「Cさん」の記録をもとに、毎日体重を測ることは、続けるうえで味方なのか、敵なのかを研究で確かめていく。

先に、わかっていることを書いておく。

減量に取り組む大人を対象にした試験では、毎日測ったグループのほうが体重が減り、落ち込みなどの心の悪影響は確認されなかった。一方、思春期や若い女性を対象にした調査では、頻繁に測る人ほど落ち込みや体型への不満が多いという結果も出ている。「毎日測るべき」とも「測らないほうがいい」とも、全員には言えない。

この記事の内容

30秒まとめ#

問い研究の答え根拠
毎日測ると体重は減りやすい?6か月で、毎日測ったグループは体重の6.55%減、比較グループは0.35%減過体重の大人91人のランダム化試験(2013年)
毎日測ると落ち込む?同じ試験では、抑うつ・むちゃ食いなどに差はなく、体型への不満はむしろ減った同じ試験の心理面の解析(2014年)
誰にでも当てはまる?若い女性・思春期では、頻繁に測ることと抑うつ症状・体型への不満の関連が報告されている20本の研究をまとめた総説(2015年)など
日本の保健指導では?行動目標の例に「毎日体重計で体重をチェックしている」厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」
30秒まとめ

Cさんの記録(架空のケース)#

Cさんは、記録アプリで挫折しやすい場面をもとにした架空の人物です。実在の人物ではありません。

  • 1日目:朝の体重を記録。「ここから毎日測る」と決める
  • 2日目:前日より0.4kg減。うれしくて朝食を少し多めに
  • 3日目:外食の翌朝、0.6kg増。「昨日の努力が無駄になった」と感じる
  • 4日目:さらに0.2kg増。仕事中もそのことが頭から離れない
  • 5日目:体重計に乗るのが怖くなり、測らずに出勤
  • 6日目以降:体重計を片づける。食事の記録も、体重の欄が空いているのが気になって開かなくなる

Cさんがやめた理由は、体重が増えたこと自体より、数字が出るたびに「成功か失敗か」を判定されている気がしたことだった。この感覚は、研究でも議論の中心になっている。

研究1:毎日測ったグループは、体重がどう変わったか#

アメリカのSteinbergらが2013年に発表したランダム化試験がある。ランダム化試験は、参加者をくじ引きのように2つのグループに分けて比べる方法で、「測ったから減ったのか」をほかの研究より確かめやすい。

項目内容
対象過体重の大人91人(平均44歳、女性75%)
期間6か月
毎日測るグループ通信機能つきの体重計で毎日測る。体重の推移がウェブ上のグラフで見られ、週1回、個別の助言と減量のレッスンがメールで届く
比較グループ記録用に同じ体重計は受け取るが、測り方はそれまでどおり。グラフや助言のメールはなく、試験のあとで同じ支援を受ける
体重を測った日数週6.1日 対 週1.1日
6か月の体重変化−6.55% 対 −0.35%
体重の5%減を達成した人42.6% 対 6.8%
研究1:毎日測ったグループは、体重がどう変わったか

差ははっきりしている。ただ、この試験で毎日測るグループが受けたのは「測ること」だけではない。グラフで推移を見られて、毎週メールで助言が届いた。体重計に乗る行為だけの効果を取り出した試験ではないことは覚えておきたい。

参加者に聞いた受け止め方(8段階)では、「役に立った」6.9、「簡単だった」6.9に対して、「いらいらした」2.4、「不安になった」3.1だった。不安やいらいらがゼロだったわけではない点も、Cさんの記録と重ねると見逃せない。

研究2:毎日測ると、心はどうなったか#

同じ試験の参加者について、心理面を調べた解析が2014年に出ている。

測った項目結果
抑うつ症状2つのグループで差なし
拒食的な考え方差なし
食べすぎを抑えにくい傾向差なし
空腹への弱さ差なし
むちゃ食い差なし
体型への不満毎日測ったグループのほうが減った
食事を意識して制限する傾向毎日測ったグループのほうが強まった
研究2:毎日測ると、心はどうなったか

著者は「心の悪影響を心配せずに、毎日の体重測定を減量プログラムに取り入れてよい」と結論づけている。

ただ、論文自身が限界として書いているとおり、参加者の多くは学歴の高い白人女性で、うつや不安、摂食障害の経験がない人たちだった。体型への不満が減ったのも、測ったからというより、体重が減った結果かもしれない(これは後で紹介する総説の著者も指摘している点で、筆者の推測でもある)。

減量治療を受けている大人を対象にした17本の研究をまとめた系統的レビュー(Zhengら、2015年)でも、定期的に体重を測ることは、より多くの体重減少と関連し、抑うつや不安などの悪影響とは関連していなかった、とまとめられている。

研究3:逆の結果が出た人たち#

ここで話は単純ではなくなる。

ミネソタ大学の研究者らが2015年にまとめた総説は、体重測定と心の状態を調べた20本の研究を見渡して、多くの研究で、測ることと心の状態の悪化に関連が見られたと書いている。分野ごとに見ると、気分を調べた10本のうち4本、自尊心の4本のうち3本、体の見た目の評価の10本のうち4本、食行動の13本のうち6本で、悪い方向の関連が出ていた。

対象報告された内容
若い大人2,287人(Project EAT-III)頻繁に測る女性ほど抑うつ症状が多かった。男性では関連なし
思春期の2,516人を5年間追跡(2006年)女子では、測ることが、のちのむちゃ食いや不健康な体重コントロール行動の多さを予測した。男子では見られなかった
思春期の女子356人(2012年)頻繁に測る子ほど体型への満足度が低かった(9か月後の変化とは関連なし)
研究3:逆の結果が出た人たち

研究2の結果と、正反対に見える。

ただ、こちらの研究の多くは、ある時点の状態を調べた観察研究だ(総説の中には、若い女性30人に2週間毎日測ってもらい、自尊心が下がったというランダム化試験も1本ある)。「測るから落ち込む」のか、「もともと体重を気にして落ち込みやすい人ほど、よく測る」のか、向きはわからない。総説の著者も、心への影響が体重の変化によるものか、測ることによるものかははっきりしないとしたうえで、一部の人には悪影響の可能性があると結んでいる。

2つの結果を並べると、こう読める。

研究1・2(減量に取り組む大人)研究3(思春期・若い世代)
測る目的本人が減量のために参加減量目的とは限らない
測った数字の扱いグラフで推移を見て、毎週助言が届く数字だけを見ることが多いと考えられる(筆者の推測)
結果体重減、心の悪影響なし抑うつ・体型への不満との関連(特に女性)
研究3:逆の結果が出た人たち

日本の保健指導では、どう扱われているか#

厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム」には、行動目標の例として「毎日体重計で体重をチェックしている」が挙げられ、記録してセルフモニタリング(自分で自分の状態を記録して確かめること)することが望ましい、と書かれている。同じ資料はアプリなどの活用について「全ての人にとって効果的というわけではない」とも注意している。

日本肥満学会の学会誌に載った2004年の質疑応答記事は、減量治療で使う「グラフ化体重日記」について、もう一歩踏み込んでいる。毎晩寝る直前に体重を記録するときに、その日の体重を線で結び、グラフをよく見直すことをとても大切だとしたうえで、1週間分をまとめてグラフにする人について「体重が減らないと訴えられる時には、まとめてグラフをつけることに原因があります」とまで書いている。さらに、体重が増えて「しまった」と思った時が、一番治療効果が上がる時だという。

Cさんの3日目の「0.6kg増」は、この記事の言い方に従えば、落ち込む材料というより「前の日に何があったか」を読み取る材料になる。増えた点を前の日の点と線でつなぎ、外食の翌朝だった、と書き添える。研究1で毎日測るグループがグラフを見ていたことも、同じ方向の話だ。

とはいえ、「しまったと思った時が好機」と受け止められるかどうかは人による。研究3の若い世代のように、数字を見るたびに落ち込みが深まる人もいる。毎日の線を見ることが役に立つ人と、つらくなる人がいる、というのが今わかっている範囲だと筆者は考えている。

脚注:以前の記事「月曜の体重計で心が折れる人へ」では、体重には曜日による上下(週のリズム)がある、という研究を紹介した。今回の話はその続きで、日々の上下が出ること自体は前提として、その数字とどう付き合うかの話になる。

もしCさんが測り方を変えるなら#

ここからは研究をもとにした筆者の提案で、Cさん本人の結末として書くものではない。

Cさんがつまずいた点研究からの手がかり変えるとしたら
1回の数字で成功・失敗を決めていた研究1は推移のグラフつき。学会誌の記事は毎晩、前日までの線とつないで見直す方法増えた日は「失敗」と判定せず、前日に何があったかを1行書き添える
増えた朝、1日中そのことを考えた若い女性では、頻繁に測ることと落ち込みの関連が報告されている測ってつらくなる日が続くなら、週1〜2回に減らすのも選択肢
体重の欄が空いて、記録全体をやめた研究からの直接の手がかりはない(筆者の提案)体重を測らない日も、食事の記録だけは続けてよい
もしCさんが測り方を変えるなら

誤解の墓場#

誤解実際は
毎日測ると必ず落ち込む減量に取り組む大人91人の試験では、抑うつなどに差はなかった
毎日測れば誰でもうまくいく若い女性・思春期では、頻繁に測ることと抑うつ症状・体型への不満の関連が報告されている
誤解の墓場

今日からできる2つの行動#

先に注意書きを置いておく。摂食障害の経験がある方、体重や体型のことを考えて食事を抜いたり吐いたりしたことがある方、気分の落ち込みが続いている方は、自己判断で毎日の体重測定を始めず、医師や専門家に相談してほしい。成長期の子ども、妊娠中・授乳中の方、高齢でやせ気味の方、意図せず体重が減っている方も、減量目的の測定はすすめない。

  1. 増えた日は、数字の横に「前の日に何があったか」を1行だけ書く。 外食、寝不足、塩辛いもの、など。成功か失敗かの判定はしない。数日分の線とつないで見ると、自分の増え方のくせが見えてくることがある。
  2. 測ったあとの気分を、1週間だけ「◯・△・×」でメモする。 ×が続くなら、測る回数を週1〜2回に減らしてよい。自分にとって毎日がいいのか、週1回がいいのかは、研究では決められない。

アプリで続ける#

VITA Boardでは、体重を記録するとグラフで推移を振り返ることができる。1日ごとの上下に一喜一憂せず、数週間分の流れを眺める道具として使ってほしい。体重の欄が空いた日も、食事だけ記録しておける。1日記録を忘れても、毎週配られる「おやすみ券」を使えば連続記録は途切れない(券は最大2枚まで持てる)。→ VITA Boardを試す

この記事について#

  • 更新日:2026年10月4日
  • 本記事はAI(Claude)が一次情報を確認しながら執筆し、運営者が公開しています。
  • 記事中の「Cさん」は、よくある場面をもとにした架空の人物です。実在の人物の体験談ではありません。
  • 読んだ範囲:Steinbergら(2013年・2014年)とPacanowskiら(2015年)は論文本文を確認しました(2013年の論文は要旨の全体と本文の一部)。Zhengら(2015年)、Neumark-Sztainerら(2006年)、Friendら(2012年)は要旨のみで、本文は読めていません。厚生労働省の保健指導プログラムと日本肥満学会誌の記事は原文を確認しました。肥満症診療ガイドライン2022の該当部分は確認できていません。
  • 本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりにはなりません。体重測定による減量効果を約束するものではありません。
  • 記事末尾に自社アプリの紹介があります。第三者の広告・アフィリエイトは含みません。

出典・参考

  • Steinberg DM, Tate DF, Bennett GG, Ennett S, Samuel-Hodge C, Ward DS. The efficacy of a daily self-weighing weight loss intervention using smart scales and e-mail. Obesity. 2013;21(9):1789-1797. doi:10.1002/oby.20396
  • Steinberg DM, Tate DF, Bennett GG, Ennett S, Samuel-Hodge C, Ward DS. Daily self-weighing and adverse psychological outcomes: a randomized controlled trial. American Journal of Preventive Medicine. 2014;46(1):24-29.
  • Zheng Y, Klem ML, Sereika SM, Danford CA, Ewing LJ, Burke LE. Self-weighing in weight management: a systematic literature review. Obesity. 2015;23(2):256-265.
  • Pacanowski CR, Linde JA, Neumark-Sztainer D. Self-weighing: helpful or harmful for psychological well-being? A review of the literature. Current Obesity Reports. 2015;4(1):65-72. doi:10.1007/s13679-015-0142-2
  • Neumark-Sztainer D, van den Berg P, Hannan PJ, Story M. Self-weighing in adolescents: helpful or harmful? Longitudinal associations with body weight changes and disordered eating. Journal of Adolescent Health. 2006;39(6):811-818.
  • Friend S, Bauer KW, Madden TC, Neumark-Sztainer D. Self-weighing among adolescents: associations with body mass index, body satisfaction, weight control behaviors, and binge eating. Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics. 2012;112(1):99-103.
  • 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」第3章 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001206391.pdf
  • 坂田氏「ワークショップ 肥満症Q&A」肥満研究 2004;10(1):96(日本肥満学会) https://www.jasso.or.jp/data/qa/sa_96.pdf


この記事を書いた人:ミミVITA Board 開発者

健康管理アプリ「VITA Board」の開発者。記事の数字は論文・厚生労働省等の公開情報を確認してから書いています。誤りに気づいた方はお問い合わせから教えてください。 運営者情報

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