「月1.9万円」は、職員一人ひとりに配られる金額ではありません。厚生労働省の資料で内訳を開くと、1.9万円は「介護従事者全体への1.0万円」「生産性向上に取り組む事業者の介護職員への0.7万円の上乗せ」「定期昇給の0.2万円」を足した数字です。定期昇給は加算から出るお金ではないため、加算の拡充にあたるのは差し引き1.7万円分という計算になります。しかも、その原資が自分の給与にいくら回るかは、施設のサービス種別と加算区分、そして配分方針で決まります。
この記事で持ち帰るもの:印刷して使える「処遇改善加算 自己確認シート」1枚。サービス別の加算率早見表、施設に確認する4項目、そのまま口に出せる聞き方の文例4本が入っています。
読了の目安:約17分
読まなくていい人:毎年、賃金改善計画書の内容が職員に配られていて、自分の施設の加算区分と配分方法(基本給・手当・一時金のどれか)をすでに説明されている施設で働いている方には、この記事は不要です。
- 用語の確認:処遇改善加算と加算率
- 「月1.9万円」の中身は3つに分かれている
- サービス別の加算率早見表(2026年6月以降)
- 加算Ⅰロ・Ⅱロは、ほかの区分と何が違うのか
- 基本給に乗ったのに、手取りが増えない仕組み
- 自分の施設を確認する4ステップ
- そのまま言える、確認の文例4本
- よくある質問
用語の確認:処遇改善加算と加算率
介護職員等処遇改善加算とは、介護報酬に上乗せして事業所に支払われ、職員の賃金改善に充てることが決められているお金です。国が職員の口座へ直接振り込む制度ではありません。国から事業所へ、事業所から職員へ、という二段構えになっていて、二段目の配り方には事業所の裁量が残っています。
加算率とは、その事業所が受け取る加算の大きさを決める倍率です。厚生労働省の資料には「介護職員等処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数に上記の加算率を乗じる」と書かれています。つまり、事業所が1か月に稼いだ介護報酬の総額に対して、サービス種別と加算区分ごとに決まった率を掛けた金額が、加算として上乗せされます。率は、サービスごとの常勤換算の職員数に基づいて設定されています。
この2つを押さえると、「うちはいくら受け取っているのか」を自分で見積もれるようになります。
「月1.9万円」の中身は3つに分かれている
1.0万円は、介護職員以外にも広がった分
2026年6月からの改定で、処遇改善加算の対象が「介護職員のみ」から「介護従事者」に広がりました。看護職員、リハビリ職、ケアマネジャー、事務職員なども含めて、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置とされています。これまで加算の配分から外れていた職種の人にとっては、ここが一番大きな変化です。
0.7万円は、生産性向上に取り組む事業者の上乗せ
これに加えて、生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員を対象に、月0.7万円(2.4%)の上乗せ措置が実施されます。この上乗せを受け取るための入れ物が、新しくできた加算Ⅰロ・Ⅱロです。裏返せば、施設がこの取り組みをしていなければ、0.7万円分は最初から自分の職場には来ません。
残りの0.2万円は、加算とは別のお金
厚生労働省の資料には「合計で、介護職員について最大月1.9万円(6.3%)の賃上げ(定期昇給0.2万円込み)が実現する措置」と書かれています。定期昇給は、その施設の賃金表にもとづいて毎年上がる分であり、処遇改善加算から出るお金ではありません。ニュースの見出しになる1.9万円は、加算の効果と定期昇給を足した数字です。
| 内訳 | 金額(月額) | 率 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 対象拡大による引上げ | 1.0万円 | 3.3% | 介護従事者(介護職員以外も含む) |
| 生産性向上・協働化の上乗せ | 0.7万円 | 2.4% | 取り組む事業者の介護職員 |
| 定期昇給 | 0.2万円 | ー | 加算ではなく施設の賃金表による |
| 合計(最大) | 1.9万円 | 6.3% | 上の3つがすべて重なった場合 |
ここを取り違えると話が合わなくなります。1.9万円は「最大」であり、しかも定期昇給を含んだ数字です。上乗せ分を取っていない施設、加算Ⅲ・Ⅳにとどまっている施設では、この金額は最初から自分には関係がありません。「1.9万円もらえるはずだ」と施設に言うと、話がかみ合わなくなります。聞くべきは金額ではなく、区分と配分方法です。
サービス別の加算率早見表(2026年6月以降)
自分の職場の行を1つだけ見る
下の表は、厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」に示された加算率です。2026年4月と5月は従来の区分(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ)、6月以降はⅠイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳの6区分になります。自分の職場のサービス種別の行を探して、区分の列と交わるところが、その事業所の加算率です。
| サービス区分 | Ⅰイ | Ⅰロ | Ⅱイ | Ⅱロ | Ⅲ | Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 27.0% | 28.7% | 24.9% | 26.6% | 20.7% | 17.0% |
| 夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 26.7% | 27.8% | 24.6% | 25.7% | 20.4% | 16.7% |
| 訪問入浴介護 | 12.2% | 13.3% | 11.6% | 12.7% | 10.1% | 8.5% |
| 通所介護 | 11.1% | 12.0% | 10.9% | 11.8% | 9.9% | 8.3% |
| 地域密着型通所介護 | 11.7% | 12.7% | 11.5% | 12.5% | 10.5% | 8.9% |
| 通所リハビリテーション | 10.3% | 11.1% | 10.0% | 10.8% | 8.3% | 7.0% |
| 特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護 | 14.8% | 15.9% | 14.2% | 15.3% | 13.0% | 10.8% |
| 認知症対応型通所介護 | 21.6% | 23.6% | 20.9% | 22.9% | 18.5% | 15.7% |
| 小規模多機能型居宅介護 | 17.1% | 18.6% | 16.8% | 18.3% | 15.6% | 12.8% |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 16.8% | 17.7% | 16.5% | 17.4% | 15.3% | 12.5% |
| 認知症対応型共同生活介護 | 21.0% | 22.8% | 20.2% | 22.0% | 17.9% | 14.9% |
| 介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設・短期入所生活介護 | 16.3% | 17.6% | 15.9% | 17.2% | 13.6% | 11.3% |
| 介護老人保健施設・短期入所療養介護(老健) | 9.0% | 9.7% | 8.6% | 9.3% | 6.9% | 5.9% |
| 介護医療院・短期入所療養介護(介護医療院・病院等) | 6.2% | 6.6% | 5.8% | 6.2% | 4.7% | 4.0% |
今回から対象になった3つのサービス
これまで処遇改善加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援などにも、2026年6月から加算が新設されました。長く「加算の枠の外」に置かれていた分野です。
| 新たに対象となるサービス | 加算率 |
|---|---|
| 訪問看護 | 1.8% |
| 訪問リハビリテーション | 1.5% |
| 居宅介護支援・介護予防支援 | 2.1% |
この3サービスは、加算Ⅳに準ずる要件(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱおよび職場環境等要件)か、後述する令和8年度特例要件を満たすことで算定できます。申請時点では2026年度中に対応する誓約でも算定可能とされています。
事業所に入る金額の見積もり方
加算額は、次の式で決まります。
事業所に入る加算額(1か月)= 処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数 × 加算率
仮に、月の総報酬単位数が300万単位、1単位10円の地域にある特別養護老人ホームで、加算Ⅰロ(17.6%)を算定している場合、加算額は月およそ528万円です。これは事業所全体・対象職員全員分の1か月の総額であり、1人分ではありません。1単位の金額は地域区分によって異なるため、実額はこの例と一致しません。
そもそも総報酬単位数は事業所側の数字で、職員個人が見られないことがほとんどです。個人の立場では、金額を推計するより区分と配分方法を聞くほうが早く確実です。
この率を1人あたりの賃上げ幅と読まないでください。表の加算率は、2026年6月改定で引き上げられた分と、それ以前から積み上がってきた処遇改善分を合わせた、改定後の合計値です。厚生労働省の資料でも、今回の措置は既存の加算率に対する「引上げ」「上乗せ」として図示されています。17.6%という数字がまるごと今回増えた分ではない、という点だけは外さないでください。
加算Ⅰロ・Ⅱロは、ほかの区分と何が違うのか
上乗せの条件は「令和8年度特例要件」
新設されたⅠロ・Ⅱロは、Ⅰイ・Ⅱイの要件に加えて、生産性向上や協働化の取り組みを満たした場合に算定できます。2026年度は、次のア・イ・ウのいずれかを満たすことが条件とされています。
- ア(訪問・通所サービス等):ケアプランデータ連携システムに加入し、実績の報告を行う
- イ(施設サービス等):生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡを取得し、実績の報告を行う
- ウ:社会福祉連携推進法人に所属していること
事務負担への配慮として、加算の申請時点では、加入または取得の誓約で算定可能とされています。「まだ導入していないけれど今年度中にやります」という誓約でも、申請の段階では通ります。
区分ごとに増える要件
| 要件 | Ⅳ | Ⅲ | Ⅱ | Ⅰ |
|---|---|---|---|---|
| 賃金体系等の整備・研修の実施等(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ) | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 加算Ⅳ相当額の2分の1以上を月額賃金で配分 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 職場環境の改善(職場環境等要件) | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
| 昇給の仕組み(キャリアパス要件Ⅲ) | ー | ○ | ○ | ○ |
| 改善後賃金年額440万円(キャリアパス要件Ⅳ) | ー | ー | ○ | ○ |
| 経験・技能のある介護職員の配置(キャリアパス要件Ⅴ) | ー | ー | ー | ○ |
| 生産性向上・協働化の取り組み(ロ区分の上乗せ) | ー | ー | Ⅱロ | Ⅰロ |
キャリアパス要件Ⅳは、経験・技能のある介護職員のうち1人以上について、賃金改善後の賃金見込額が年額440万円以上であることを求める要件です。「1人以上」なので、これを満たしている施設でも、自分の年収が440万円に近づくとは限りません。ここも読み違えやすいところです。
基本給に乗ったのに、手取りが増えない仕組み
月額賃金改善要件は「配り方」の指定
今回の制度には、加算Ⅳ相当額の2分の1以上を、基本給または決まって毎月支払われる手当の改善に充てるという要件があります。ボーナスでまとめて渡して終わり、という運用から、毎月の給料に乗せる方向への軌道修正です。
「付け替え」が認められている
ただし、厚生労働省の通知には続きがあります。加算を未算定だった事業所が新規に算定を始める場合を除き、この要件を満たすために賃金総額を新たに増加させる必要はない、とされています。基本給等以外の手当や一時金で行っている賃金改善の一部を減額し、その分を基本給に付け替えることでも要件を満たすという書き方です。
これが「明細は変わったのに、年収が変わらない」の正体です。処遇改善手当が減って基本給が上がっていれば、月々の見え方は変わります。それでも年間の総額は同じ、ということが制度上ありえます。なお、この付け替えで残業代が増えると考えるのは誤りです。割増賃金の算定基礎から除けるのは、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金の7つに限られており(労働基準法37条5項、労働基準法施行規則21条)、毎月定額で一律に支給される処遇改善の手当はもともと算定基礎に含まれます。賞与や退職金に影響するかどうかは、事業所ごとの給与規程しだいです。ただし「基本給が上がった=今年増えた」ではない、という区別は必要です。
今回増えた分は、新規の賃金改善が必要
一方で、2026年度に前年度と比べて増えた加算額(新規算定、上位区分への移行、加算率の引上げによる増加分)については、過去の賃金改善の実績にかかわらず、新たに賃金改善を実施しなければならないとされています。しかもその方法は、賃金表を改訂して水準を一律に引き上げるベースアップが基本とされています。
つまり、確認すべき問いは2つに分かれます。この2つを分けて聞くと、話が具体的になります。
- 問い1:うちの事業所は今年、加算額が増えたのか(区分が上がったか、加算率の引上げ分が入ったか)
- 問い2:増えたなら、その分はどこに乗ったのか(基本給、毎月の手当、一時金のどれか)
なお、賃金改善は基本給・手当・賞与等のうち対象項目を特定して行うものとされ、届出を行う場合を除き、特定した項目を含めて賃金水準を低下させてはならないと定められています。配分は事業所の判断で柔軟に行えますが、一部の職員に集中させるなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分は行わないこととされています。
自分の施設を確認する4ステップ
ここからが、印刷して使える部分です。順番に確認していくと、自分の給与に何が起きているかが絞り込めます。
ステップ1:加算を算定しているか
処遇改善加算は自動的に入るものではなく、事業所が申請して要件を満たさなければ受け取れません。未申請の事業所も実在します。
外から確認する手がかりがあります。加算Ⅰ・Ⅱ(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ)を算定する事業所は、職場環境等の改善に係る取り組みについて公表することが要件になっており、具体的には介護サービスの情報公表制度を使って処遇改善加算の算定状況を報告し、実施した取組項目と内容を「事業所の特色」欄に記載することとされています。介護サービス情報公表システムで自分の事業所を検索して、この記載が見当たらない場合、上位区分ではない可能性があります。
ステップ2:区分はどれか
Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳのどれかで、事業所に入る原資の水準はまったく違います。前掲の早見表で、自分のサービス種別の行を見比べてください。訪問介護のⅠロ(28.7%)とⅣ(17.0%)では、同じ売上でも入ってくる加算額が1.6倍以上違います。
ステップ3:自分への反映は、どの形か
基本給・毎月の手当・一時金のどれで受け取っているかを確認します。給与明細に「処遇改善手当」という項目がなくても、基本給に組み込まれている場合があります。前年同月の明細と並べて、基本給の額そのものを比べると気づきやすくなります。
ステップ4:賃金改善計画書の内容が周知されているか
通知では、加算を算定する事業者は、賃金改善を行う方法等について処遇改善計画書を用いるなどにより職員に周知し、就業規則等の内容についても職員に周知することとされています。さらに、職員から賃金改善に関する照会があった場合は、その職員の賃金改善の内容について、書面を用いるなど分かりやすく回答することに努めるよう求められています。
「聞いていいのかどうか」で迷う必要はありません。聞かれた側が分かりやすく答えるように、と国の通知に書かれている事柄です。
処遇改善加算 自己確認シート(印刷して使えます)
- □ 1.自施設は処遇改善加算を算定しているか(情報公表システム、運営規程、重要事項説明書、管理者への確認)
- □ 2.区分はⅠイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳのどれか
- □ 3.早見表で、自分のサービス種別と区分が交わる加算率を書き出したか
- □ 4.自分への反映は基本給・毎月の手当・一時金のどれか
- □ 5.前年同月の給与明細と、基本給の額を並べて比べたか
- □ 6.2026年度に加算額が増えたか、増えた分がどこに乗ったかを確認したか
- □ 7.賃金改善計画書の内容を見たこと、または説明を受けたことがあるか
そのまま言える、確認の文例4本
言い方に迷って先送りになることが多い部分です。角が立たない形にしてあります。どれも、制度上は事業所側が答えることを想定されている内容です。
文例1:区分を聞く(事務・管理者へ)
「処遇改善加算のことで教えてください。うちの事業所は、2026年6月からの区分でいうと、Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳのどれを算定していますか」
文例2:自分への反映の形を聞く
「処遇改善加算の私の分は、基本給・毎月の手当・一時金のどの形で支給されていますか。明細のどの項目に入っているか教えていただけますか」
文例3:今年の増加分について聞く
「2026年度の改定で加算率が上がったと聞きました。うちの加算額も増えていますか。増えている場合、その分はどこに反映されているか教えてください」
文例4:計画書の周知について聞く
「処遇改善加算の賃金改善計画書の内容を確認したいのですが、見せていただくことはできますか。職員への周知が要件になっていると聞きました」
回答が得られない、または説明の内容と実際の支給が食い違うと感じた場合は、次の窓口があります。相談に行く前に、給与明細のコピーと、説明を受けた日時・内容のメモを残しておくと話が早く進みます。
- 都道府県または市区町村の介護保険担当課:事業所を指定し、加算の算定要件を確認する立場にあります
- 労働基準監督署:賃金の不払いにあたる疑いがある場合
- 介護労働安定センター:雇用管理全般の相談窓口
制度のお金の話でいえば、利用者側の負担も2026年に動いています。施設の食費と居住費については介護施設の食費・居住費と2026年8月改定後の負担限度額早見表にまとめました。加算の読み方そのものに慣れたい方は看取り介護加算の単位数と算定要件を早見表で解説した記事が、単位数と要件の関係をつかむ練習になります。人員配置の基準から職場を見直したい場合は夜勤は何人体制が基準かとワンオペ夜勤を解説した記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q1.処遇改善加算は全員が月1.9万円もらえますか
いいえ。1.9万円は、対象拡大分1.0万円、生産性向上等の上乗せ0.7万円、定期昇給0.2万円を合計した最大値です。定期昇給を除くと、加算の拡充にあたるのは1.7万円分という計算になります。実際の配分額は事業所の区分と配分方針で決まります。
Q2.パートや非常勤でも対象になりますか
賃金改善の対象は「介護職員その他の職員」とされており、雇用形態で一律に除外する定めはありません。事業所内での配分は事業者の判断に委ねられているため、自施設の配分方針を確認するのが確実です。
Q3.ケアマネや事務員ももらえるようになったのですか
2026年6月からの改定で、加算の対象が介護職員のみから介護従事者へ拡大されました。居宅介護支援・介護予防支援には加算率2.1%で加算が新設されています。ただし事業所内の配分は事業者の判断によります。
Q4.うちの施設が加算を取っているか、外から調べられますか
加算Ⅰ・Ⅱを算定する事業所は、介護サービスの情報公表制度で算定状況を報告し、職場環境等要件の取組内容を「事業所の特色」欄に記載することが要件とされています。介護サービス情報公表システムで事業所名を検索して確認できます。
Q5.基本給は上がったのに、年収が変わりません。これは違反ですか
それだけでは違反とは言い切れません。通知では、新規に算定を始める場合を除き、月額賃金改善要件を満たすために賃金総額を新たに増加させる必要はなく、手当や一時金の一部を基本給に付け替えることでも要件を満たすとされています。ただし2026年度に増えた加算額については、新たに賃金改善を実施することが求められています。増加分の行き先を確認するのが次の一手です。
Q6.加算率が高い施設に移れば給料は上がりますか
加算率が高いほど事業所に入る原資は大きくなりますが、職員への配分方法は事業所ごとに異なります。求人票の「処遇改善加算あり」という記載だけでは区分も配分方法も分かりません。面接の場で、区分と、基本給・手当・一時金のどれで支給しているかを確認してください。
Q7.いつから適用されますか
令和8年度介護報酬改定の施行は2026年4月1日で、処遇改善加算の拡充は2026年6月以降の算定分が対象です。4月と5月は従来のⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの区分、6月以降がⅠイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳの6区分になります。
要点サマリー
- 「月1.9万円」は最大値で、対象拡大1.0万円、生産性向上等の上乗せ0.7万円、定期昇給0.2万円の合計。定期昇給を除くと加算の拡充分は1.7万円という計算になる。
- 2026年6月から加算Ⅰロ・Ⅱロが新設され、訪問看護1.8%、訪問リハ1.5%、居宅介護支援・介護予防支援2.1%が新たに対象になった。
- 加算額は「総報酬単位数×加算率」で決まる事業所全体の金額。表の率は改定前からの積み上げを含む合計値で、全部が今回の増加分ではない。
- 加算Ⅳ相当額の2分の1以上を月額賃金で配ることが要件だが、手当・一時金からの付け替えでも満たせるため、基本給が上がっても年収が同じことはありうる。
- 確認は「算定の有無、区分、反映の形、計画書の周知」の4点。職員から照会があれば書面等で分かりやすく回答するよう、通知で求められている。
配分がおかしいと感じたときの動き方、区分ごとの受け取りの目安、施設に説明を求めるときの手順までを踏み込んで整理したものは、有料note『月1万9,000円アップの「真実」処遇改善加算、あなたの施設はちゃんともらえてる?』にまとめています。この記事の続きにあたる内容です。
出典(一次ソース)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00073.html - 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要(介護職員等処遇改善加算の拡充)」2026年
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/download/5_R8_houshuu_kaitei.pdf(内訳1.0万円・0.7万円・定期昇給0.2万円、サービス別加算率、新設3サービスの加算率、令和8年度特例要件、区分別要件) - 厚生労働省老健局長通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」老発0313第6号、2026年3月13日
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/download/6_tsuuchi_kihontekikangaekata_jimushoritejun.pdf(月額賃金改善要件と付け替えの取扱い、賃金水準を低下させない旨、配分の考え方、キャリアパス要件Ⅳ、情報公表制度での公表、賃金改善方法の周知と照会への回答) - 厚生労働省「介護職員の処遇改善」
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/
加算率・要件・施行日は上記の一次資料から引用しています。解説サイトや人材紹介会社の記事は出典に用いていません。
筆者:現役の施設ケアマネジャー。特別養護老人ホームでの介護職経験を経て、施設ケアマネジャーとして勤務。制度・加算の解釈は、厚生労働省の告示・通知の原本に当たって確認しています。