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身体拘束適正化委員会の頻度は3月1回|記録4項目と文例

約9分で読めます2026-09-26 更新スキル育成
この記事の要点

身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会は、3月に1回以上の開催が省令で決まっています。年4回です。そして運営指導(令和4年度に実地指導から改称されました)で指摘されやすいのは開催回数そのものではなく、開催したあとの周知と、拘束を行った場面の記録の4項目です。この記事では、根拠になる条文の場所、議事録に残す項目、記録の文例をまとめます。制度の情報は2026-09-27時点のものです。

この記事の内容

結論: 頻度は3月に1回以上。落ちやすいのは回数ではなく周知と記録#

先に要点だけ書きます。

施設系サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護)には、身体的拘束等の適正化のために3つの措置が義務づけられています。

  1. 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催し、その結果を介護職員その他の従業者に周知徹底する
  2. 身体的拘束等の適正化のための指針を整備する
  3. 介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施する

介護老人福祉施設なら、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準の第11条第6項がこの3つの根拠です。介護医療院なら同じ内容が介護医療院の基準の第16条にあります。

ここで見落とされやすいのが1番の後半です。条文は「開催するとともに、その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること」と書いています。開催だけでは要件を満たしません。委員会に出ていない夜勤専従の職員まで結果が届いているか、そこを聞かれます。

身体的拘束等の適正化に必要な三つの措置の全体図

なお委員会はテレビ電話装置等を活用して開催してよいことが条文に明記されています。全員を同じ部屋に集められない施設でも、オンラインで成立します。

委員会の頻度と回数の早見表#

項目決まっていること確認の仕方
委員会の頻度3月に1回以上開催日が3か月以内の間隔で並んでいるか
結果の周知従業者へ周知徹底委員会に出ていない職員が内容を言えるか
指針整備する最終改定日が現在の運用と合っているか
研修定期的に実施(解釈通知で年2回以上+新規採用時)省令に数字は無く解釈通知の側にある。上乗せの有無を指定権者の手引きで確認
記録の保存完結の日から2年間特養なら基準第37条第2項。自治体の条例で5年の場合がある
委員会の頻度と回数の早見表

研修の回数について補足します。省令の文言は「定期的に実施」で、回数の数字が書かれていません。数字は解釈通知の側にあります。運営基準の解釈通知は、定期的な教育を年2回以上開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要であるとしています。まずはこの「年2回以上+新規採用時」を土台に置いてください。そのうえで上乗せの運用があるかどうかを、自分の施設の指定権者(都道府県または市町村)が出している手引きで確認してください。ここを他の施設のやり方に合わせて決めると、指導のときに根拠を示せなくなります。

委員会の議事録に残す7項目#

議事録が「開催しました」の1行で終わっている施設を見ることがあります。それだと、周知したことも、検討の中身も残りません。次の7項目を型にしてください。

委員会の議事録に残す7項目0 / 7

チェックはこの端末に保存されます。印刷して現場に貼る場合はそのまま印刷してください。

7番目が抜けやすいところです。周知したという事実は、周知の記録がないと証明できません。

委員会の議事録に残す七項目のチェック図

記録に必ず書く4項目と文例3本#

拘束を行った場面の記録は、書く項目が条文で決まっています。介護老人福祉施設の基準の第11条第5項は、身体的拘束等を行う場合に次を記録しなければならないと定めています。

  1. その態様
  2. その時間
  3. その際の入所者の心身の状況
  4. 緊急やむを得ない理由

4項目です。このうち3番と4番が抜けた記録をよく見ます。態様と時間だけだと、拘束をした事実の記録にはなりますが、緊急やむを得なかったことの記録にはなりません。

そのまま使える文例を置きます。氏名と時刻、状況の部分を書き換えてください。

記録に必ず書く4項目と文例3本3本
  1. 9月26日 14時10分から15時40分まで、車いすベルトを使用(腰部1点、面ファスナー)。使用中、傾眠なく声かけに応答あり。表情の変化なし。理由: 同日13時台に2回、車いすから立ち上がり前方へ崩れる動作があり、左膝に擦過傷。歩行器での移動は自力では成立せず、職員が居室を離れる間の転倒の危険が高いと判断。15時40分、職員が付き添える体制になったため解除。
  2. 9月26日 21時00分から翌6時00分まで、ベッド柵を4点使用。夜間の睡眠は中断なし。呼びかけに開眼あり。理由: 前夜、ベッドから降りようとして床に座り込んでいるところを2回発見。介助なしでの立位は保持できず、夜間は職員1名がフロア全体を見る体制のため、離床を検知する手段が他にない。センサーマットの導入を9月30日の委員会で検討予定。
  3. 9月26日 10時20分から10時35分まで、点滴中に上肢をミトン型手袋で保護。使用中、痛みの訴えなし。皮膚の発赤なし。理由: 点滴の自己抜去が同日2回あり、主治医より抜去時の出血リスクの説明を受けた。看護職員が付き添える時間帯まで15分間のみ使用。10時35分、看護職員の付き添い開始により解除。

3本とも、4項目がそろっています。時刻に幅を持たせず、開始と終了を書いているところを真似してください。

書き方の対比: これだけで記録の意味が変わる#

ビフォー

転倒リスクが高いため、日中車いすベルトを使用。特に変わりなし。

アフター

14時10分から15時40分まで、車いすベルトを使用(腰部1点)。使用中、声かけに応答あり、苦痛の訴えなし。理由: 同日13時台に立ち上がりからの前方への崩れが2回、左膝に擦過傷。職員が居室を離れる時間帯に代替手段がないと判断。15時40分、付き添える体制になり解除。

ビフォーには4項目のうち1つしか入っていません。「転倒リスクが高い」は理由の説明ではなく、評価の言葉です。運営指導で聞かれるのは、その評価の元になった出来事です。

ここは間違えやすい

注意。「本人の同意を得た」を理由の欄に書かないでください。身体的拘束等の可否は、入所者または他の入所者等の生命または身体を保護するため緊急やむを得ない場合かどうかで決まります。同意があっても、その判断が省略できるわけではありません。

記録に必ず書く四項目と抜けやすい二項目

3要件を判断する順番#

切迫性、非代替性、一時性の3つは、並列に並んでいるように見えて、実際には確認する順番があります。非代替性を真ん中に置いて整理するやり方があります。ここを飛ばした判断が多いと言われます。

順番要件現場での問い
1切迫性今日か明日に、生命または身体が危険になるか
2非代替性拘束以外の方法を実際に何か試したか。試した記録はあるか
3一時性解除の条件と時刻を、始める前に決めたか
3要件を判断する順番

2番の「実際に試したか」が要点です。頭の中で検討しただけでは、非代替性の記録になりません。センサーの位置を変えた、居室を移した、訪室の間隔を30分にした、といった試した内容が記録に残っていて初めて、他に方法がなかったと言えます。

3番も、始める前に解除の条件を決めるのが順番です。「様子を見て外す」は一時性の記録になりません。

つまずきやすい注意点#

ここは間違えやすい

注意。要件を満たしていないと、身体拘束廃止未実施減算がかかります。減算の率と対象はサービス種別ごとに違い、改定のたびに見直されています。ここでは数字を書きません。自分のサービス種別の最新の単位数表で必ず確認してください。

もう一つ。身体的拘束等の原則禁止と、行った場合の記録は、施設系だけの話ではなくなってきています。どのサービスにどこまで求められているかは、自分のサービス種別の運営基準で確認してください。委員会の開催までは求められていないサービスもあります。記録の考え方についても、施設系と同じように扱っているという話を聞きますが、これも自分のサービス種別の運営基準で確認してください。「うちは施設ではないから関係ない」と先に整理してしまう前に、自分の種別の条文を一度開くところからだと思います。

委員会の名前についても一言。虐待の防止のための対策を検討する委員会とは、別に定められた別の義務です。ただし解釈通知は、関係する職種や取り扱う事項が相互に深く関係する会議体であれば、一体的に設置・運営して差し支えないとしています。分けても一体でも構いません。一体で開くなら、身体的拘束等の適正化について何を検討したのかが記録から読み取れる状態にしてください。指針も、両方に必要な記載事項がそろっていれば1つにまとめて構いません。まとめる場合は、身体的拘束等の適正化について何を定めたのかが読み取れる状態にしてください。

よくある質問#

3月に1回以上とは、3か月ごとということですか。

間隔が3か月以内に収まっていれば要件を満たします。4月、7月、10月、1月のように四半期ごとに固定すると管理が楽になります。前回から3か月を超えると、その年度の開催回数が足りていても指摘の対象になります。

委員会はオンラインで開いてよいですか。

問題ありません。条文にテレビ電話装置その他の情報通信機器を活用して行うことができると明記されています。オンライン参加者の氏名と参加方法を議事録に書いてください。

期間内に身体的拘束が1件もなかったときも開催が必要ですか。

必要です。開催の義務は件数と関係ありません。件数0件の場合は、その期間に拘束の検討が上がった場面があったか、代替手段でしのげた事例は何だったかを議事録に残すと、次の期間に使える記録になります。

虐待防止委員会と一緒にできますか。

できます。解釈通知は、関係する職種や取り扱う事項が相互に深く関係する他の会議体があれば、一体的に設置・運営して差し支えないとしています。ただし一体で開いた場合も、身体的拘束等の適正化について検討した内容が記録から読み取れるようにしてください。指針も、両方に必要な記載事項がそろっていれば1つにまとめて構いません。

記録は何年保存すればよいですか。

介護老人福祉施設なら、基準の第37条第2項で、完結の日から2年間の保存と定められています。ただし自治体の条例で5年とされている地域があります。指定権者の条例を確認してください。

医師の指示があれば身体的拘束はしてよいのですか。

医師の指示は判断の材料の一つですが、それだけで要件が満たされるわけではありません。3要件の検討と4項目の記録は変わらず必要です。医療的な必要性の判断は主治医に確認し、そのうえで記録を残してください。

出典#

出典・参考

まとめ#

  • 委員会の頻度は3月に1回以上。回数より、委員会に出ていない職員まで結果が届いているかを見られる
  • 議事録は7項目を型にする。特に周知の方法と実施日を書く
  • 記録は4項目。態様、時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由。抜けるのは後ろの2つ
  • 3要件は順番がある。非代替性は「実際に試した記録」がないと成立しない
  • 減算の率と記録の保存年数は、自分のサービス種別と指定権者の条例で確認する

次の一歩は1つだけです。直近の委員会の議事録を開いて、上の7項目のうち何が書かれていないかを数えてください。足りない項目が2つ以上あれば、次の開催までに議事録の様式を作り直した方が早いです。

関連記事として「虐待防止委員会の議事録の書き方|必須7項目と記入例5本」も、同じ日に続けて開く委員会の側を扱っています。


この記事を書いた人:ミミ介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護施設で生活相談員・ケアマネジャーとして勤務。現場の職員研修と介護現場でのAI活用の推進に携わっています。記事の数字・制度は一次資料の原文を開いて確認してから書いています。誤りに気づいた方はお問い合わせから教えてください。 運営者情報

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