介護の言葉って、漢字がかたいよね。こーぎーは「おすわり」ならすぐ分かるけど、「端座位」はちょっと身構えちゃう。今日は飼い主が、新人さんがつまずきやすい言葉を、場面ごとに並べて言い換えるよ。
この記事は、2026年10月31日に開いた4つの公的な資料に載っていた言葉だけで書いています。愛知県と山梨県の用語集、厚生労働省の補助事業で作られた学習テキスト、厚生労働省の通知です。
端座位、臥床、離床、清拭。どれも介護の資料にくり返し出てくるのに、読み方から迷う言葉です。聞き返すのが申し訳なくて、なんとなくうなずいたこと、ありませんか?
この記事の内容
端座位は「ベッドの端に腰かけて、足を下ろした姿勢」#
読み方は「たんざい」です。愛知県の用語集では、端座位を「ベッドの端などに両下肢を垂らして腰かけた姿勢のこと」と説明しています。両下肢は、両足のこと。
山梨県の用語集の説明も、ほぼ同じです。「ベッド等の横に足を下ろし座った体位」。2つの県の説明がそろっているので、新人さんにはこう渡せば十分だと考えています。
ベッドの端に腰かけて、足を下ろした姿勢。
山梨県の用語集の前書きには、ふだん何気なく話している言葉でも、初めて聞く人がいる、と書かれています。分からないのは、聞いたことがないからです。覚えが悪いせいではありません。
姿勢の言葉は、立位・座位・臥位の仲間分けから#
厚生労働省の補助事業で作られた学習テキストは、体位を3つに分けています。立位は立っている体位。座位は座っている体位。臥位は寝ている体位です。
この仲間分けを先に覚えると、ほかの言葉は「どの仲間か」で整理できます。仰臥位・側臥位・腹臥位は臥位の仲間。端座位・椅座位・半座位は座位の仲間です。
仰臥位はあおむけ、側臥位は横向き、腹臥位はうつぶせ。テキストでは、それぞれの言葉の横にこの言い換えが添えてあります。
椅座位は、山梨県の用語集で「椅子に腰掛けた状態の体位」。ファーラー位は「45度に上半身を起こした体勢」と書かれています。テキストでは、ファーラー位は半座位の仲間に入っています。
目印は最後の一文字。この記事で並べた姿勢の名前は、どれも最後が「位」です。漢字が多くて身構えても、最後の「位」を手がかりにすると、姿勢の名前を見つけやすくなります。
離床・移乗・清拭は、動きと清潔の言葉#
離床は「りしょう」と読みます。説明は思ったより長めです。愛知県の用語集の説明では、ベッドや布団で寝ている状態で一定期間過ごした人が、徐々に離れて生活範囲を拡大していくこと。
この説明では、ベッドから出る1回の動きより、寝て過ごす時間から少しずつ起きて過ごす生活へ広げていく流れの方に重きがあります。ただ、職場によっては、ベッドから出る動作そのものを指して離床と言うこともあります。自分の職場でどちらの意味で使っているかは、先輩に聞いてみてください。
移乗は「いじょう」。愛知県の用語集では、ベッドから車椅子、車椅子からトイレの便器など、体を移す動作のことです。体位変換は、自分で体位を変えられない人の体位を変えること。
清拭は「せいしき」。愛知県の用語集では「身体を拭くことで清潔を保つ方法。入浴やシャワー浴ができない人に行う」と説明されています。口腔ケアは、口の中を清潔に保つための手入れです。
臥床は「がしょう」と読みます。実は、臥床だけを説明した項目は、今回開いた用語集には見つかりませんでした。山梨県の用語集にあるのは「安静臥床」で、「心身を安定した状態で布団やベッドに横たわること」。
学習テキストでは、骨がもろくなる病気の原因の1つに「長期臥床」とあります。床ずれの説明には「臥床時間が長くなること」と書かれています。横になって過ごす時間や期間と一緒に使われる言葉だと分かります。
健側と患側、それから様子を表す言葉#
健側は「けんそく」で、体の中で麻痺や障害を受けていない側。患側は「かんそく」で、麻痺や障害がある側です。愛知県の用語集では、この2つが反対の言葉として並んでいます。
この2語が分かると、脱健着患(だっけんちゃくかん)も読めます。服を脱ぐときは健側から、着るときは患側から、という着替えの順序の名前です。学習テキストにも同じ順序が書かれています。
様子を表す言葉も並べておきます。傾眠は、山梨県の用語集で「うとうとして睡眠に陥りやすい状態」。嚥下は口に入れたものをごくんと飲み込む動作で、誤嚥は本来食道に入るものが気管に入ってしまうこと。褥瘡は床ずれのことです。
似ている言葉の違いを、1つの表に#
覚える数を増やすより、似た言葉を取り違えない方が先だと私は考えています。読み違えると、姿勢や動きを別のものとして受け取ってしまうからです。用語集とテキストの説明を並べると、違いは次のとおりです。
| 似た言葉 | 違い |
|---|---|
| 臥位と仰臥位 | 臥位は寝ている姿勢の仲間全体。仰臥位はその中の、あおむけ |
| 臥位と臥床 | 臥位は姿勢の名前。臥床は横になること。「臥床時間」のように時間と組みやすい |
| 離床と移乗 | 離床は、愛知県の用語集では少しずつ起きて過ごす生活へ広げる流れ。職場ではベッドから出る動作を指すこともある。移乗は体を移す1回の動作 |
| 端座位と椅座位 | 端座位はベッドの端に腰かける。椅座位は椅子に腰かける |
| 健側と患側 | 健側は麻痺や障害のない側。患側は麻痺や障害がある側 |
| 清拭と入浴 | 清拭は体をふいて清潔を保つ方法。入浴やシャワー浴ができない人に行う |
| 嚥下と誤嚥 | 嚥下は飲み込む動作。誤嚥は食道ではなく気管に入ること |
臥位と臥床の行は、用語集の説明とテキストでの使われ方から、私が言葉をそろえたものです。臥床を単独で説明した公的な用語集は、今回は見つけられませんでした。
新人に教えるときの言い換えの例#
私が新人さんに最初に渡したいのは、姿勢の言葉です。理由は、厚生労働省の訪問介護の通知を読むと分かります。起床介助・就寝介助・移乗・体位変換の4か所すべてに、端座位や仰臥位といった姿勢の言葉が出てくるからです。
たとえば起床介助の流れには、ベッドサイドでの端座位の確保、とあります。就寝介助では、ベッド上での仰臥位又は側臥位の確保。姿勢の言葉が分からないと、流れの文そのものが読めません。
ただ、通知には、ここに示した流れは例示で、実際にはその人ごとの体の状態や生活に合わせる、という断りも書かれています。言葉の意味は覚える。動きの順番は、職場の手順とその人の様子で決める。この線は分けておきたいところです。
下の言い換えは、この記事で作った例です。話し言葉で書いたので、相手に合わせて、です・ます調にしてもかまいません。言い換えたあとに、正式な言葉も一緒に言うのがおすすめ。国の通知や学習テキストでは、正式な言葉の方が使われているからです。
- 例: 「端座位になってもらって」→「ベッドの端に腰かけて、足を下ろしてもらって。これを端座位っていうよ」
- 例: 「側臥位で休まれてます」→「横向きで休まれてます。横向きは側臥位ね」
- 例: 「今日は清拭です」→「今日はお風呂じゃなくて、体をふく日です。体をふくのが清拭」
- 例: 「患側に気をつけて」→「麻痺のある側に気をつけて。そっちを患側っていうの」
- 例: 「傾眠気味です」→「うとうとしやすい様子です。これを傾眠っていうよ。いつもと違う眠気は、言い換えで済ませずに看護職に伝えてね」
伝え方の違いも、1組だけ並べておきます。こちらも作った例です。
端座位にしてから移乗ね。
まずベッドの端に腰かけてもらって(端座位)、そのあと車いすに乗り移る(移乗)よ。
新人さんに教える前に、自分で見ておくこと#
チェックはこの端末に保存されます。印刷して現場に貼る場合はそのまま印刷してください。
申し送りでの話し方は、関連記事「申し送りの書き方|介護のSBAR例文12と30秒で話す型」に書きました。
今回は載せなかった言葉#
長座位とセミファーラー位は、学習テキストの姿勢の図に名前が出てきます。ただ、文字での説明は見つかりませんでした。全介助や見守りのような介助の程度を表す言葉も、今回開いた用語集には項目がありません。
この記事では、意味の説明を原文で読めた言葉だけを載せています。ここは調べきれなかったので、公的な説明が見つかったら書き足します。
よくある質問#
端座位の読み方は「たんざい」ですか?
はい。愛知県の用語集と、厚生労働省の補助事業の学習テキストのどちらも「たんざい」と読みを付けています。座位は「ざい」、臥位は「がい」と読みます。
端座位と座位は、何が違いますか?
座位は座っている体位の全体を指します。学習テキストでは、端座位・長座位・椅座位・半座位が座位の仲間として並んでいます。端座位は、その中のベッドの端に腰かけた姿勢です。
離床は、ベッドから出ることだけを言うのですか?
愛知県の用語集の説明では、寝ている状態で一定期間過ごした人が、徐々に離れて生活範囲を拡大していくこと、とあります。1回の動きよりも、少しずつ起きて過ごす生活へ広げていく流れとして書かれています。職場ではベッドから出る動作を指して使うこともあるので、使われ方は職場で聞いてみてください。
清拭は、どんなときにするものですか?
愛知県の用語集には、入浴やシャワー浴ができない人に行う、とあります。その日に清拭にするかどうかは、職場の決まりと看護職や上司の判断に従ってください。
新人に言葉を教えるとき、言い換えだけでは足りませんか?
言い換えと正式な言葉をセットで伝える方がよいのでは、と考えます。国の通知や学習テキストでは、正式な言葉が使われているからです。言い換えだけで覚えると、資料を読むときにまた迷ってしまいます。
出典#
- 愛知県「お役立ち用語集」(愛知県公式介護職情報サイト 介護の魅力ネット・あいち。2026年10月31日閲覧) https://www.pref.aichi.jp/korei/kaigo-net/yougosyu/
- 山梨県介護・医療連携推進協議会「医療と介護連携用語集」(平成26年3月。2026年10月31日閲覧) https://www.pref.yamanashi.jp/documents/53168/yogosyu.pdf
- 公益社団法人 日本介護福祉士会「介護の特定技能評価試験学習テキスト~介護技能・介護の日本語~」(令和6年度 介護の日本語学習支援等事業、令和7年3月発行。厚生労働省ウェブサイト掲載。2026年10月31日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001471473.pdf
- 厚生労働省老健局振興課長通知「『訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について』の一部改正について」(老振発0330第2号、平成30年3月30日。2026年10月31日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/36.pdf
- 明日の申し送りで1つだけ、言い換えのあとに正式な言葉を添えてみてください。
- 漢字がかたい言葉も、仲間分けすると急に読めるようになるんだね。こーぎーの「おすわり」は、たぶん椅座位じゃなくて床の上だから、どの仲間かは用語集でも見つからなかったよ。
- この記事の言い換えと伝え方の例は、説明のために作った例で、実在の人や職場の話ではありません。