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虐待防止委員会の議事録の書き方|必須7項目と記入例5本

約8分で読めます2026-09-25 更新制度お金
この記事の要点

虐待防止委員会の議事録は、会議の様子を再現する書類ではありません。運営基準が挙げる検討事項を、その日にどこまで検討したかを示す書類です。だから見出しは、会議の流れではなく検討事項の並びに合わせます。この記事では必須7項目の一覧表、そのまま貼れる記入例5本、悪い例と良い例の対比、開催前チェックリストを置きます。制度の内容は2026-09-25時点のものです。

この記事の内容

議事録に必ず残す検討7項目と、先頭に置く形式6点#

令和6年4月から、介護サービス事業者には虐待の防止の措置が完全に義務づけられました。措置は4つです。委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を決めること。このうち委員会を開いた証拠になるのが議事録です。

運営基準の解釈通知は、委員会で検討する事項を次の7つとして示しています。議事録の見出しをこの7つにそろえると、抜けがその場で目に見えます。

検討項目書く中身抜けると
指針虐待防止の指針の整備状況と見直しの有無指針が形だけと見られる
委員会体制構成メンバーの職種、責任者、役割分担誰が動く組織か不明
研修実施済みの研修内容と次回の計画、受講者数年間計画なしと指摘
相談・報告職員が相談できる窓口と経路の確認抱え込みの温床
通報の手順市町村への通報を誰がいつ行うかの手順確認通報義務への不備
原因分析事案やヒヤリの発生原因の分析と再発防止策反省文で終わる
効果の評価前回決めた防止策が効いたかの確認改善が回らない
議事録に必ず残す検討7項目と、先頭に置く形式6点

この7つの前に、形式として6点を置きます。日時、場所と開催方法、出席者の氏名と職種、責任者と記録者、議題、決定事項と担当者・期限です。オンライン参加でも差し支えありませんが、誰がどの方法で参加したかは書き分けます。

結論。見出しを会議の流れでなく7項目に固定する#

結論から言うと、実地指導で見られているのは開催したかどうかではなく、検討すべき事項を検討したかどうかです。発言を時系列で並べた議事録は、話したのに書き落とした項目が必ず出ます。7項目を見出しとして先に置けば、その日に扱わなかった項目に「今回は扱わず、12月の委員会で検討」と書けます。空欄は未検討に見えますが、次回の予定が入っていれば計画に見えます。

私は施設で相談員やケアマネの立場から記録に関わる側にいます。その立場で言うと、議事録で守られるのは事業所ではなく現場の職員です。「誰が・いつまでに・何をするか」が書かれていない議事録は、次に同じ場面が起きたとき、その場にいた職員個人の判断の問題として処理されます。書類の目的をここに置くと、書く中身が変わります。

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開催から議事録の確定までの5ステップ#

  1. 開催の10分前に、前回の議事録の「次回検討事項」と「期限つきの宿題」を開く。ここが今回の1番目の議題になる。
  2. 7項目の見出しだけが入った雛形に、日時・場所・開催方法・出席者の氏名と職種を先に埋める。会議が始まってから書き始めない。
  3. 会議中に拾うのは、決定事項と担当者と期限の3つだけにする。発言の再現はしない。迷った論点は「両論が出た」と1行で残す。
  4. 事案やヒヤリを扱った日は、発生原因の分析、再発防止策、効果を確認する時期の3点をセットで書く。どれか1つでも欠けると、次の委員会で評価ができない。
  5. 会議の翌営業日までに確定させ、末尾に周知の方法と周知日を書く。回覧、掲示、朝礼での読み上げなど、実際に行った方法を書く。

所要時間は30分前後で足ります。16時の申し送りの後に30分だけ枠を取り、その場で議事録を8割まで埋める運用が現実的です。

そのまま使える議事録の記入例5本#

事業所名や個人名は伏せています。日付と数字を自分の事業所のものに置き換えれば、そのまま使えます。

そのまま使える議事録の記入例5本5本
  1. 【冒頭・形式部】日時 2026年10月8日(木) 16:00〜16:35/場所 1階相談室開催方法 対面(うち1名はビデオ通話で参加)出席者 施設長、介護主任、看護師、生活相談員、介護支援専門員、介護職員2名 計7名/欠席なし責任者 施設長/記録者 生活相談員/周知 10月9日 朝礼で読み上げ後、休憩室に掲示
  2. 【指針と体制の確認】虐待防止の指針は2026年4月改訂版を使用中。今回の見直しの必要性を確認し、変更なしと決定。担当者は施設長。相談窓口は生活相談員および外部窓口(市高齢福祉課)の2経路であることを再確認した。次回(12月)は、指針のうち通報後の対応の流れを見直す。
  3. 【事案・ヒヤリの原因分析と再発防止策】報告件数 虐待に該当する事案 0件/不適切なケアのヒヤリ報告 2件。事例1 入浴の順番待ちが40分を超え、職員から急かす言葉かけがあった。原因分析 入浴の担当が1名に固定され、待ち時間の把握が誰の役割か決まっていなかった。再発防止策 入浴日は待ち時間の確認を10分ごとに行い、担当を早番に固定する。担当 介護主任/期限 10月31日。
  4. 【前回策の効果の評価】8月委員会で決めた「夜間の居室訪室時の声かけ手順」について評価した。確認方法 9月の記録20件を抽出し、手順どおりの声かけの記載があるかを確認。結果 18件で記載あり、2件は記載なし。記載なしの2件は同一の勤務帯であり、手順の周知漏れと判断。追加策 当該勤務帯のメンバーに個別に再説明する。担当 介護主任/期限 10月20日。
  5. 【研修と次回予告】研修 10月23日に全職員対象の虐待防止研修(60分)を実施予定。内容は不適切なケアと虐待の線引き、通報の手順。欠席者には録画視聴とレポート提出で代替する。受講状況は12月の委員会で報告する。次回開催 2026年12月10日(木)16:00/次回の検討事項 指針の通報後対応の見直し、研修の受講率、今回の再発防止策2件の効果評価。

悪い議事録と良い議事録は、ここが違う#

ビフォー

虐待の事例はなかった。今後も注意していくことを全員で確認した。研修については追って検討する。

アフター

虐待に該当する事案は0件。不適切なケアのヒヤリ報告2件を検討し、入浴の待ち時間の確認手順を変更することを決定した。担当は介護主任、期限は10月31日。効果は12月の委員会で記録20件を抽出して確認する。研修は10月23日に60分で実施する。

違いは表現の丁寧さではありません。アフターには、件数、決めたこと、担当者、期限、確認の方法と時期が入っています。ビフォーには1つも入っていません。読み返したときに次の行動が決まる文章かどうかが、そのまま議事録の価値になります。

つまずきやすい注意点4つ#

他の委員会と一体で開くときは、議題を書き分ける#

虐待防止の委員会は、身体的拘束等の適正化の委員会など他の会議体と一体的に開催しても差し支えないとされています。ただし議事録は、どの委員会としてどの項目を検討したかが分かる形にします。1枚にまとめる場合は、見出しを「虐待防止に関する検討」「身体的拘束等の適正化に関する検討」と分けて書けば足ります。

「該当なし」だけで終える議事録が一番危ない#

ここは間違えやすい

注意したいのは、報告0件をそのまま結論にしてしまう書き方です。0件は良い結果ですが、0件だったという記録だけでは、何を検討したのかが残りません。0件の日ほど、ヒヤリ報告の件数、相談窓口の利用状況、前回の防止策の効果のどれかを検討し、その内容を書きます。

個人が特定できる書き方を避ける#

利用者と職員のいずれも、議事録では氏名を伏せます。利用者はA様、職員は当該職員や夜勤者と書き、居室番号や疾患名など特定につながる情報も避けます。分析に必要なのは、誰がやったかではなく、どんな状況で起きたかです。

保存年限と、措置が未実施だったときの減算#

ここは間違えやすい

注意が必要なのは保存です。運営に関する記録は、完結の日から2年間の保存が基準で、自治体の条例により5年とされている地域もあります。自分の市町村の条例を一度だけ確認してください。あわせて、令和6年度の報酬改定で高齢者虐待防止措置未実施減算が設けられました。委員会、指針、研修、担当者のいずれかが未実施の場合、所定単位数の100分の1が減算されます。議事録は、この措置を実施している唯一の証拠になります。

開催前チェックリスト#

会議の前に、この6つだけ確認します。

開催前チェックリスト0 / 6

チェックはこの端末に保存されます。印刷して現場に貼る場合はそのまま印刷してください。

まとめ#

  • 議事録の見出しは会議の流れではなく、運営基準の検討7項目に合わせる
  • 冒頭に形式6点(日時、場所と開催方法、出席者と職種、責任者と記録者、議題、決定事項)を置く
  • 事案を扱った日は、原因分析、再発防止策、効果を確認する時期を必ずセットで書く
  • 報告0件の日ほど、何を検討したかを残す
  • 保存は完結の日から2年が基準、自治体の条例で5年の場合がある。措置の未実施は1%の減算対象

次の一歩は1つだけです。今日のうちに、7項目の見出しだけが入った空の雛形を1ファイル作ってください。次の委員会は、その雛形を開くところから始まります。

よくある質問#

委員会は年に何回開けばよいですか。

運営基準では定期的な開催とされ、回数が一律に示されていないサービスもあります。多くの自治体は年1回以上を求め、実務では他の委員会と合わせて年2回から4回で運用する事業所が目立ちます。自分の市町村の集団指導資料を確認してください。

小規模な事業所で、委員会のメンバーが集まりません。

幅広い職種で構成することが求められますが、全員が対面で集まる必要はありません。ビデオ通話での参加が認められています。訪問系などで人数が少ない場合は、外部の第三者や他事業所との合同開催という選択肢もあるため、指定権者に相談してください。

議事録のひな形は決められた様式がありますか。

国が定めた統一様式はありません。自治体が参考様式を配布している場合があるので、まず市町村のホームページを確認します。様式が無ければ、この記事の7項目の見出しをそのまま使って構いません。

虐待の疑いがある事案が出たとき、議事録に詳しく書いてよいですか。

委員会の議事録には、原因分析と再発防止策を中心に、個人が特定されない形で書きます。事案そのものの詳細な事実確認は別の報告書で扱います。疑いがある段階でも市町村への通報が必要になるため、判断に迷う場合は委員会の結論を待たず、先に市町村へ相談してください。

利用者の状態像から、虐待かケアの一環かの判断がつきません。

身体面の所見が関係する判断は、事業所だけで結論を出さないでください。あざや体重の変化など医学的な評価が必要な点は主治医やかかりつけ医に確認し、その確認結果を議事録に残します。制度上の判断は市町村が行います。

過去の議事録が薄い内容のままです。遡って書き直すべきですか。

過去の議事録の改ざんは行いません。直近の委員会で、これまでの記録の不足を検討事項として取り上げ、今後の様式を変更した旨を記録に残す形にします。改善の経過が残っている方が評価されます。

出典#

出典・参考
  • 厚生労働省「介護施設・事業所等における高齢者虐待防止に向けた手引き」(令和5年3月)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(令和6年2月。高齢者虐待防止措置未実施減算)
  • 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)および同解釈通知のうち虐待の防止に関する規定
  • 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)第21条(養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る通報等)
  • 厚生労働省「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」(各年度公表)


この記事を書いた人:ミミ介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護施設で生活相談員・ケアマネジャーとして勤務。現場の職員研修と介護現場でのAI活用の推進に携わっています。記事の数字・制度は一次資料の原文を開いて確認してから書いています。誤りに気づいた方はお問い合わせから教えてください。 運営者情報

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