求人のページ、夜中につい開いちゃうこと、あるよね。辞めると決めていなくても、見るのは自由だよ。今日は飼い主が、見たあとに迷わないための並べ方を話すね。
この記事は、2026年11月4日に e-Gov 法令検索で開いた労働基準法と職業安定法の条文の範囲で書いています。転職をすすめる記事でも、止める記事でもありません。
求人の月給を見て、今の明細と頭の中で比べる。少し高い。でも決めきれない。そんな行ったり来たりを、何回くり返していますか?
決めきれないのは、気持ちの弱さのせいだけではない、と私は思います。並べている数字の物差しが、そろっていないことがあるからです。
この記事の内容
並べる数字を、年収・休み・夜勤の回数にそろえる#
求人を出す側には、働く人に、仕事の内容や賃金、労働時間などの労働条件を示す決まりがあります(職業安定法 第5条の3)。求人の文は、比べる材料として使ってよいものです。
ただ、どこまで細かく書いてあるかは、求人ごとに違います。だから、比べる数字をこの記事では3つに絞ります。年収、休み、夜勤の回数です。
なぜこの順なのか。お金は年単位で見ないと賞与の差が消えます。休みは、体と気持ちが戻る日数です。夜勤の回数は、お金と体の両方にかかわる数字です。どれか1つだけで決めると、あとの2つで後悔しやすい、というのが私の見方です。
| 数字 | 今の職場で見る所 | 求人で見る所 | 求人に無いとき聞くこと |
|---|---|---|---|
| 年収 | 明細の総支給と賞与 | 月給と賞与の欄 | 賞与は決まった額か、前の年の実績か |
| 休み | 勤務表・就業規則・有給の残り | 年間休日の欄 | 有給休暇がいつ付くか |
| 夜勤の回数 | 勤務表の回数と夜勤手当の行 | 夜勤の回数と手当の欄 | 月の回数と、深夜の割増の払い方 |
年収は、月給×12に賞与を足し、月給に入っている手当を見る#
月の額だけで並べると、賞与の差が見えません。年の合計にそろえます。
今の職場の側は、手取りではなく「総支給」を使います。手取りは、税金や保険料が引かれたあとの額です。求人の月給が引く前と後のどちらで書かれているかは、求人の書き方を見てください。引く前どうしでそろえて並べる、というのが私の提案です。
もう1つ見落としやすいのが、月給の中身です。夜勤の手当や資格の手当が入った額なのか、入る前の額なのか。ここ、地味に差が出ます。
- 今の職場: 総支給の12か月分と、去年の賞与
- 求人: 月給×12と、賞与の欄の数字
- 両方: 月給に入っている手当の名前
休みは「年間休日」と「有給がいつ付くか」を分けて見る#
休みの数字は、2種類あります。職場が決めた休日と、年次有給休暇です。
休日について、労働基準法が定めているのは、毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上です(第35条)。これは最低の線で、実際に年何日休めるかは職場の決まりで変わります。だからこそ、求人の「年間休日」の数字は、そのまま比べる材料。
有給休暇は、入ってからの時期に気をつけたい所です。法律が付けることを義務づけているのは、雇い入れの日から6か月続けて働き、全労働日の8割以上出勤した人に、10労働日です(第39条)。そのあとは、続けて働いた年数に応じて、1年ごとに日数が加えられます。
新しい職場では、この「雇い入れの日」が新しくなります。今の職場で長く働いて積み上がった有給と、入ったばかりの職場の有給は、同じ数字になりません。入ってすぐ有給休暇が使えるかどうかは、職場の決まり次第。聞いておく価値はあります。
週の所定労働日数が少ない働き方の人は、有給の日数が別に決められています(第39条)。パートで働く人は、自分の週の日数で見てください。
夜勤は、回数と1回あたりの手当で見る#
夜勤の数字は、お金の話と体の話が1つになっています。
お金の側は、1回あたりの夜勤手当と、月の回数を、今の職場と求人で並べます。月給が同じくらいでも、夜勤が月に何回かで、月の手当の合計と体の負担が変わります。
深夜の時間について、労働基準法には決まりがあります。原則として午後10時から午前5時までの間に働かせた場合、その時間は、通常の賃金の2割5分以上の率で計算した割増賃金を払う、というものです(第37条第4項)。
明細や求人で、この割増が夜勤手当とどう分かれているかは、書き方が職場で違うことがあります。求人の文で読み取れなければ、払い方を聞いてよい点です。
体の側は、数字にしにくい所です。回数が増えれば、夜に起きて働く日も増えます。お金の差が、その夜の分に見合うか。最後はそこで決めることになる、と私は考えています。
表を埋める順番#
- 今の職場の欄から埋める。明細・勤務表・就業規則を手元に置く
- 求人の文から写す。書いていない所は、推測で埋めずに空けておく
- 空いた欄を、そのまま「聞くこと」の一覧にする
- 内定が出たら、契約を結ぶ前に、示された条件と表を見比べる
4番目には理由があります。労働基準法では、使用者は労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければなりません(第15条)。条件が示されるその時が、自分の表と見比べる機会になります。なお、契約を結んだあとで、明示された条件が事実と違うと分かった場合は、働く人はすぐに契約を解除できる、とも書かれています。
示された条件と、自分の表の数字。違う所があれば、入る前に聞けます。
聞きにくいことを、聞く言い方#
空いた欄は、見学や面接で聞くことになります。聞く理由を先に言う手があります。「今の職場と同じ形で比べたいので」。
- 「夜勤は、月に何回くらいで組まれていますか」
- 「賞与の欄の数字は、決まった額ですか。前の年の実績ですか」
- 「入ってから、有給休暇はいつから使えますか」
- 「深夜の割増は、夜勤の手当とどう分かれて払われますか」
- 「月給の中に、どの手当や残業代まで入っていますか」
比べるために聞くのは、失礼なことではないと思います。聞いたときの答え方も、職場を知る材料の1つです。
辞めなくても、表は作っておける#
この表は、転職を決めた人だけのものではありません。今の職場の欄を埋めるだけでも、自分の年収、休み、夜勤の回数が1枚に並びます。
並べてみたら、思ったより差が小さかった。その場合、迷いの中身が「お金をとるか」から「この差のために夜勤が増えてもいいか」に変わるかもしれません。差がはっきり大きいなら、数字の面での答えは見えています。決めるのは、そのあとの自分です。
今回は調べきれなかったこと#
介護の職場の夜勤の回数や年間休日の平均は、今回は一次資料を開いて読むところまでできませんでした。なので、この記事では相場の数字を使っていません。自分の表の数字だけで並べてください。
よくある質問#
求人の月給と、今の手取りを比べてもいいですか?
比べること自体はかまいません。ただ、そのままだと、引かれたあとの額と引く前の額を並べることになりかねません。求人の月給が引く前の額なら、今の職場の側は総支給を写すと、同じ物差しで並べられます。
転職すると、有給休暇はどうなりますか?
労働基準法で付けることが義務づけられているのは、雇い入れの日から6か月続けて働き、全労働日の8割以上出勤したときの10労働日です(第39条)。それより早く付くかは、新しい職場の決まりによります。
年間休日が少ない求人は、法律違反ですか?
法律が定める休日は、毎週少なくとも1回、または4週間で4日以上です(第35条)。個別の求人が法律に合っているかどうかは、この記事では判断できません。気になるときは、労働基準監督署などの公的な窓口に相談できます。
夜勤が多い職場の方が、年収は上がりますか?
回数が増えれば夜勤手当の合計は増えますが、月給や賞与の決め方は職場ごとに違います。表で年の合計にそろえてから見てください。
転職サイトは使った方がいいですか?
この記事では、特定のサービスや事業所はすすめていません。どこで求人を見る場合も、表の埋め方は同じです。
出典#
- 職業安定法 第5条の3(e-Gov法令検索・2026年11月4日閲覧): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
- 労働基準法 第15条・第35条・第37条・第39条(e-Gov法令検索・2026年11月4日閲覧): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 次の休みに、表の「今の職場」の欄の年収だけ、明細を見ながら書いてみてください。求人を見るのは、その1行のあとでも間に合います。
- こーぎーの物差しは、おやつの数と、お昼寝の回数と、なでてもらった回数だよ。人間の物差しも、3本そろえば、けっこうおとなしくなるみたい。
- この記事の比べ方と聞き方の例は、筆者の提案です。実在の人や職場の話ではありません。