1時間の休憩のうち、ちゃんと座れたのは何分だったかな? こーぎーは、散歩の途中でも気が向いたら道ばたで座りこむよ。でも訪問のヘルパーさんは、次のお宅へ向かう時間まで「休憩」に数えられていることがあるんだって。今回は飼い主が、その1時間をほどいて数える話を書くね。
1件目が終わって、記録を書いて、次のお宅へ向かう。着いたら、もう次の時間。
勤務表の上では、その間が「休憩1時間」になっている。でも、お弁当を食べられたのは30分くらい。そんな日、ありませんか?
この記事では、まず自分の休憩1時間をほどいてみます。そのあと、法律と厚生労働省の文書が何を書いているかを原文に沿って並べ、休憩の中身を数えるメモと、管理者に話すときの言い方を置きます。使った資料は4つで、名前と開いた日は最後の出典にまとめました。
この記事の内容
休憩1時間のうち、自由に使えたのは何分?#
最初に、自分の1日をほどいてみます。
たとえば「休憩1時間」の中に、こんな時間が混ざっていないでしょうか。
- 1件目のお宅から、2件目のお宅へ向かう時間
- 次の訪問に遅れないよう、近くで待っている時間
- お弁当を食べたり、トイレに行ったりできた時間
3つめだけが、休憩らしい休憩です。上の2つは、休めた感じがしない時間かもしれません。
休めなかったしんどさは本物です。そのうえで、気持ちとして休めなかったことと、法律上どう扱われるかは、別の話です。そこで次に、法律が「休憩」をどう決めているかを見ます。
法律の休憩は「長さ」と「自由に使えること」の両方で決まる#
労働基準法の第34条は、休憩についてこう決めています。
| 働く時間 | 休憩の長さ |
|---|---|
| 6時間を超える | 少なくとも45分 |
| 8時間を超える | 少なくとも1時間 |
休憩は、働く時間の途中に入れることになっています。
もう1つ大事なのが、同じ条文の3項です。使用者は、休憩時間を「自由に利用させなければならない」と書かれています。
つまり休憩は、長さだけでなく、その時間を自分の好きに使えるかどうかも問われる、ということです。
ここ、地味に大事。「1時間あった」と言われたときに、長さだけを見て納得しなくていいからです。
移動の時間について、厚生労働省の文書が書いていること#
訪問介護の移動については、厚生労働省が平成16年に通達を出しています。題名は「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」です。
その中で、移動時間は「事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間」と定められています。
通達の内容は、次のようにまとめられます。
業務に従事するために必要な移動を命じられ、その時間の自由利用が保障されていない場合は、労働時間に当たると考えられています。
ここまでは、通達の趣旨を短くまとめた文です。通達はさらに、事業所から利用者宅への移動や、ある利用者宅から次の利用者宅への移動で、通常の移動にかかる程度の時間なら、労働時間に当たると考えられる、と例を挙げています。
令和3年1月には、労働基準局と老健局の課長の連名で、この内容を改めて周知する文書も出ました。そこには、移動時間や待機時間を一律に労働時間として扱っていない事業者の存在が、その時点でも指摘されていた、と書かれています。
労働時間に当たる場合、事業主はその時間を把握・管理し、賃金を払う必要がある。これも同じ文書に書かれています。

逆に、労働時間にならない時間もある#
ここは公平に書いておきます。
厚生労働省のパンフレット「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」には、「空き時間」の例があります。
1件目と2件目の間に時間があいたとき、通常の移動にかかる程度の時間なら、移動にかかった分は労働時間に当たると、通達は書いています。それ以外の空き時間はどうか。働く必要がなく、自由に使えると保障されている限り、労働時間として扱う必要はない。パンフレットはそう書いています。
また、自宅から1件目へ向かう時間や、最後のお宅から自宅へ帰る時間は「通勤時間」です。パンフレットは、通勤時間はここでいう移動時間に当たらない、としています。
だから、休憩1時間の中に移動が入っていても、それだけで答えは決まりません。どこからどこへの移動で、何分かかって、残りの時間を自由に使えたのか。中身しだいです。
1時間の中身を、分けて数えてみる#
ここから先は、資料にある方法とは別の、私からの提案です。
相談の前に、休憩の中身をしばらくメモしてみてください。私は訪問介護の現場の人ではないので、ケアマネ・相談員としての見方になりますが、相談を受ける側が先にほしい材料は「いつ、何分、何が起きたか」です。時刻が並んでいると、話が早く進むからです。
| 種類 | 入る時間 | メモに書くこと |
|---|---|---|
| 移動 | 利用者宅から次の利用者宅へ向かう時間 | 出た時刻と着いた時刻 |
| 待ち | 次の訪問に備えて近くで待つ時間 | 待った場所と、待つよう言われたか |
| 自由 | 食事・トイレ・休むことに使えた時間 | 何分くらい使えたか |

メモの見本を置いておきます。時刻はすべて例です。
- 12:00 Aさん宅を出る → 12:25 Bさん宅の近くに着く(移動25分)
- 12:25〜12:55 近くの公園でお弁当(自由30分)
- 12:55〜13:00 Bさん宅の前で待つ(待ち5分。待つよう指示があったかも書いておく)
このメモでは、「休憩1時間」のうち自由に使えたのは30分ほど、と見えてきます。待ちの5分の扱いは、指示があったか、自由に使えたかで変わりうるので、メモに残しておくと役に立ちます。
メモは、あくまで自分の記録です。どの時間が労働時間に当たるかを決めるものではありません。それでも、話を始める材料にはなります。
もう1つ見ておきたいのが、勤務表と就業規則です。休憩の時刻がどう書かれているか、移動の時間がどう扱われているか。手元にあれば、メモと並べて置いてください。
管理者に話すときは、責めずに「数字」を渡す#
話すときは、相手を責める言葉から入らないほうが通りやすいと私は考えています。相手が構えてしまうと、事実の確認から先へ進まなくなるからです。
たとえば、こんな言い方があります。
- 休憩のことで相談させてください。ここ2週間、休憩の1時間のうち、移動に使った分と、実際に休めた分をメモしてみました。休めたのは1回あたり30分くらいでした。見ていただけますか。
- 移動の時間は、労働時間と休憩時間のどちらで数えているのか、教えてもらえますか。就業規則(なければ労働条件通知書)のどこに書いてあるかも知りたいです。
- 次のお宅への移動が休憩の時間に入らないように、訪問の組み方を相談できないでしょうか。
1つめは事実を渡す言い方、2つめは扱いを聞く言い方、3つめは組み方の相談です。全部を一度に言う必要はありません。

賃金の話に進むなら、厚生労働省の文書にある線も知っておくと落ち着いて話せます。介護の業務に直接従事する時間と、それ以外の業務に従事する時間。どちらの賃金の水準も、最低賃金を下回らない範囲で、労使の話し合いで決めるもの、と通達にあります。
話しても変わらないとき、どこに聞くか#
違反かどうかは、就業規則の書き方と、働き方の実態で決まります。この記事のメモや言い方だけで、白黒はつきません。
管理者と話しても扱いが変わらない。誰に聞けばいいか分からない。そんなときの相談先は、労働基準監督署と、総合労働相談コーナーです。
総合労働相談コーナーは、都道府県労働局や労働基準監督署の中などにあります。厚生労働省の案内では、相談は無料で予約もいらず、働く人も事業主も使えます。法律違反の疑いがあれば、労働基準監督署などの担当部署に取り次いでくれます。
持っていくなら、種類を分けたメモと、勤務表、給与明細、就業規則の写しがあると話が早いはずです。どの書類が要るかは、行く前に電話で聞いてみてください。
よくある質問#
移動の時間が休憩に入っているのは、違反ですか?
この記事では決められません。厚生労働省の通達は、必要な移動を命じられて自由に使えない時間は労働時間に当たる、としています。ただ、どこからどこへの移動か、残りの時間を自由に使えたかで変わります。違反かどうかは就業規則と実態で決まるので、労働基準監督署か総合労働相談コーナーに聞いてください。
自宅から1件目のお宅へ向かう時間も、移動時間ですか?
厚生労働省のパンフレットでは、自宅から1件目へ直行する時間や、最後のお宅から自宅へ帰る時間は「通勤時間」で、ここでいう移動時間には当たりません。
交通費をもらっていれば、移動時間の分は払われていることになりますか?
通達によると、実費として出ている交通費は、一般的には労働の対価と認められません。最低賃金と比べるときの賃金にも入れません。交通費と、移動の時間の賃金は、分けて考える必要があります。
移動の分の賃金が、毎回同じ額で決まっています。
厚生労働省のパンフレットのQ&Aでは、移動の賃金を定額にすること自体はありうるとしています。条件は、実際の時間に応じた額が定額を超えたら、その分を払うことです。定額にしても、労働時間の把握は必要だと書かれています。
移動の時給が、介護の時給より安いのは問題ですか?
最低賃金を下回れば問題になります。下回らない範囲で安いこと自体が適法かどうかは、実際の取り決めや事情で決まり、ここでは判断できません。通達では、介護の業務に直接従事する時間と、それ以外の業務に従事する時間の賃金の水準は、最低賃金を下回らない範囲で、労使の話し合いで決めるものとされています。最低賃金の額は地域と年で変わるので、都道府県労働局の案内で見てください。
出典#
- e-Gov法令検索「労働基準法」第32条・第34条 (2026年11月2日閲覧) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.912「訪問介護労働者の移動時間等の取扱いについて(周知徹底)」令和3年1月15日 (別添に平成16年8月27日付け基発第0827001号「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」、令和2年3月30日付け事務連絡を収録。2026年11月2日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/000762748.pdf
- 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 パンフレット「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」訪問介護労働者に関する事項 Point3 (2026年11月2日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/090501-1_0004.pdf
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(2026年11月2日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
- 次の出勤から2週間、休憩の時間に何をしていたかを、時刻だけメモしてみてください。感想は書かなくて大丈夫です。しんどい時期は、やらなくても大丈夫です。
- こーぎーの散歩は、においをかいでる時間も全部「散歩」に数えてもらってるよ。ヘルパーさんの1時間も、何に使ったかを並べてみたら、見え方が少し変わるかもしれないね。
- この記事のメモの時刻と相談の言い方は、説明のために作った例です。実在の人や職場の話ではありません。