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「ナトリウム400mg」は食塩何g? 塩分の5つの疑問に、国の調査と食品表示のルールで答える

約12分で読めます 更新栄養誤解
この記事の要点

VITA Boardは筆者が運営するアプリです。

「うちはうす味だから、塩分は気にしなくていい」。食事を記録していても、塩分だけは空欄のまま、という人は多いと思う。カロリーと違って、アプリにもパッケージにも数字が出にくいからだ。

ところが国の調査を見ると、日本の大人の平均は、国が示す目標量を男女とも2g以上上回っている。しかもパッケージの「ナトリウム○mg」は、食塩の量とは別の数字だ。ここを読み違えると、実際の約2.5分の1に見積もってしまう。

この記事では、塩分についてよく出てくる5つの疑問に、国の基準・調査と研究の数字で答える。

この記事の内容

30秒まとめ#

疑問答えの要点
Q1. 日本人はどれくらい摂っている?目標は?平均は男性10.5g・女性8.9g。目標量は男性7.5g未満・女性6.5g未満
Q2. 「ナトリウム」と「食塩」は同じ数字?別の数字。ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)
Q3. 塩分を摂ると太る?食塩は0kcal。体重計の数字が水分で動く可能性はあるが、研究でも結果が分かれる
Q4. 汗をかけば塩分は抜ける?汗の塩分は人によって数倍違う。大量に汗をかく日の話で、ふだんの食事の言い訳にはなりにくい
Q5. 「減塩」「うす塩」「食塩無添加」の違いは?「減塩」は比べた相手より25%以上少ないこと。「食塩無添加」はナトリウムゼロの意味ではない
30秒まとめ

Q1. 日本人は1日にどれくらい食塩を摂っている?目標は?#

A. 20歳以上の平均は9.6g。国の目標量より、男性は3.0g、女性は2.4g多い。

厚生労働省が2025年12月に公表した「令和6年 国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の食塩摂取量の平均値は9.6gだった。男女別では男性10.5g、女性8.9gだ。

これを、国の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の目標量や、ほかの基準と並べるとこうなる。

比べるもの1日の食塩の量
実際の平均(男性・20歳以上)10.5g
実際の平均(女性・20歳以上)8.9g
食事摂取基準の目標量(成人男性)7.5g未満
食事摂取基準の目標量(成人女性)6.5g未満
高血圧と慢性腎臓病の重症化予防のための量(男女とも)6.0g未満
WHOが成人に推奨する量5g未満
Q1. 日本人は1日にどれくらい食塩を摂っている?目標は?

この目標量の決め方が少し変わっている。食事摂取基準によれば、WHOが勧める5g未満は、今の日本人の摂取量から見ると達成できる人がきわめて少ない。そこで「5g」と「今の日本人の摂取量の中央値」のちょうど中間をとって目標量にした、と報告書に書かれている。目標量は理想値というより、今の食事から現実的に目指せる中間地点だ。

もう1つ、「自分はうす味だから」という感覚が当てにならない可能性を示す数字がある。食事摂取基準の報告書は、尿に出たナトリウムから食塩の量を推定した国内の研究のまとめも紹介している。2010年代の研究の平均から単純に計算すると約10.8g、尿に出るのは摂った量の86%という報告を使って補正すると約12.6gだった。報告書はこれと調査の値(中央値10.1g)に「若干の乖離」があるとしている。食事の記録から見積もった量より、実際はもう少し多い可能性もある。

要旨:平均は目標量より2〜3g多い。目標量そのものも、理想と現実の間をとった数字。

Q2. パッケージの「ナトリウム」は、食塩の量と同じ?#

A. 同じではない。ナトリウムの量に2.54を掛けると、食塩の量(食塩相当量)になる。

食塩は「ナトリウム」と「塩素」がくっついたもので、ナトリウムはその一部にすぎない。食品表示基準では、食塩相当量を「ナトリウムの量に2.54を掛けたもの」と決めている(2.54は、食塩とナトリウムの重さの比 58.5÷23 から来ている)。

ナトリウム表示食塩相当量に直すと
120mg約0.3g
400mg約1.0g
1,000mg約2.5g
2,000mg約5.1g(WHOの推奨の上限とほぼ同じ)
Q2. パッケージの「ナトリウム」は、食塩の量と同じ?

計算は「mgの数字×2.54÷1000」。400mgなら 400×2.54=1,016mg、つまり約1.0gだ。

では、なぜパッケージによってナトリウムが書いてあったりなかったりするのか。食品表示基準では、加工食品の栄養成分表示は食塩相当量で書くのが基本になっている。ナトリウムの量も書けるのは、ナトリウム塩を加えていない食品で、食塩相当量に加えて書く場合だ。ナトリウムだけの数字を目にするのは、輸入食品の外国語の表示や、海外のサイト・栄養データ、一部のアプリなどだ。そういう数字を見たときは、2.54倍して読み替える。

もう1つの落とし穴は「何あたりの数字か」だ。100gあたりの表示と、1食・1袋あたりの表示が混ざっている。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の数字(すべて100gあたり)で、食べる量に当てはめるとこうなる。

食品(成分表の名前)100gあたりの食塩相当量例えばこの量なら
角形食パン1.2g60gで約0.7g
ロースハム2.3g20gで約0.5g
こいくちしょうゆ14.5g10gで約1.5g
米みそ(淡色辛みそ)12.4g10gで約1.2g
梅干し(塩漬)18.2g10gで約1.8g
梅干し(調味漬)7.6g10gで約0.8g
Q2. パッケージの「ナトリウム」は、食塩の量と同じ?

同じ「梅干し」でも、成分表の上では塩漬と調味漬で2倍以上違う。名前のイメージで量を決めず、裏面の数字を見る理由はここにある。

要旨:ナトリウムは2.54倍して食塩に直す。数字が100gあたりか1食あたりかも見る。

Q3. 塩分を摂ると、体重が増える?太る?#

A. 食塩そのものは0kcalで、脂肪のもとになるエネルギーはない。体重計の数字が水分で動く可能性はあるが、研究でも結果は一様ではない。

成分表では、食塩のエネルギーは0kcalだ。食事摂取基準によると、ナトリウムは体の細胞の外側にある水分(細胞外液)の量を保つ役割をもつ。「塩分を摂ると水分がたまって体重が増える」という話は、この働きから来ている。

ただ、実際に試した研究の結果は分かれている。

  • 減塩で体重がより減った研究:韓国で肥満の成人85人が登録した2か月の試験(2018年発表)。平日の3食を配り、エネルギー量はそろえたまま、ナトリウム1日2.0g(食塩にして約5.1g)の減塩食と、5.0g(約12.7g)の通常食に分けた。体重の減り方は減塩食のほうが大きかった(減塩食−6.3%、通常食−5.0%。統計的にはぎりぎりの差)。ただし差が出たのは体の水分で、体脂肪や内臓脂肪の変化には差がなかった。研究チームも、体重の差は水分の差によるもので、脂肪が減ったわけではないとまとめている。1つの施設の小さな試験で、体の水分は体組成計(体に弱い電気を流して推定する機械)で測った値だ。
  • 塩を増やしても体重が増えなかった研究:ドイツで健康な男性32人を対象に、食事を管理できる施設で食塩の量を変えた試験(2000年発表)。最も多い群は1日あたり食塩約32gという、ふだんの食事ではほぼない量だった。血液の量は増えたが、体の水分の総量も体重も増えなかったと報告されている(要旨のみ確認)。

どちらの研究も、「食塩で体脂肪が増える」ことを示したものではない。塩辛いものを食べた翌朝に体重が増えていても、それを「太った」と受け取る必要はない、というのが言える範囲だ。体重が日によって上下する理由は、別記事「月曜の体重計で心が折れる人へ」でも扱っている。

要旨:食塩は0kcal。体重計の上下に水分が絡むことはあっても、脂肪が増えた証拠にはならない。

Q4. 汗をかけば塩分は抜けるから、気にしなくていい?#

A. 汗で出る塩分は、人と状況によって数倍違う。たくさん汗をかく日の補給の話と、ふだんの食事の塩分の話は分けて考える。

食事摂取基準によると、座って仕事をしていて汗をかかない成人では、ナトリウムが体から避けられずに出ていく量はわずかだ。報告書はこの量に個人差を見込んで、成人の推定平均必要量を1日600mg(食塩相当量1.5g)としているが、ふつうの食事で日本人の摂取量がこれを下回ることはない、とも書いている。

一方で報告書は、暑い環境での労働や運動で大量に汗をかくと、かなりの量のナトリウムが失われることがあり、水分補給の際に少量の食塩を加える必要があるとしている。そのうえで、必要以上に摂ることは生活習慣病の予防の面で好ましくないと注意している。

汗の塩分がどれくらいかは、本当に人それぞれだ。運動選手の汗を調べた研究のまとめ(2017年)では、全身の汗のナトリウム濃度はおよそ10〜70mmol/L、汗の量は1時間に約0.5〜2.0Lが一般的だった。これを食塩に直すと、汗1Lあたり約0.6g〜約4.1gになる(筆者の計算)。同じ1Lの汗でも、7倍近い差がある。

汗の量食塩に直した量(全身の汗の濃度の幅から計算)
0.5L約0.3〜2.0g
1.0L約0.6〜4.1g
2.0L約1.2〜8.2g
Q4. 汗をかけば塩分は抜けるから、気にしなくていい?

これは運動選手が練習や試合で汗をかいた場合の数字だ。また、このまとめの著者はスポーツ飲料メーカーの研究所に所属しており、図で紹介されている約500人のデータも同じ研究所で測ったものだ。

要旨:大量に汗をかく作業や運動の日は、水と一緒に塩分も補う。汗をかかない日の食事の塩分を帳消しにする話ではない。

Q5. 「減塩」「うす塩」「食塩無添加」は、それぞれどういう意味?#

A. どれも食品表示基準で条件が決まっている。数字は食品100gあたり(飲み物は100mlあたり)。

表示の例条件食塩に直すと
食塩ゼロ・無塩など(含まない旨)ナトリウム5mg未満約0.01g未満
低塩・塩分ひかえめなど(低い旨)ナトリウム120mg以下約0.3g以下
減塩・食塩○%カット(低減された旨)比べる食品よりナトリウムが120mg以上少なく、かつ25%以上少ない。比べた食品と減らした量か割合も書く約0.3g以上少ない
減塩の例外みそは15%以上、しょうゆは20%以上少なければよい(保存性と品質を保つのが難しいため)みそ・しょうゆに限った特例
食塩無添加(ナトリウム塩を添加していない旨)原則としてナトリウム塩を加えていない。しょうゆや塩蔵魚など、塩の代わりになる原材料も使っていない素材にもともと含まれるナトリウムは残る
Q5. 「減塩」「うす塩」「食塩無添加」は、それぞれどういう意味?

意外なのが言葉の細かい違いだ。消費者庁の通知では、「うす塩味」のように味の感じ方を表す言葉は栄養表示ではないので、この基準の対象外とされている。一方で「うす塩」「あさ塩」「あま塩」は栄養表示として基準の対象になる。「味」の1文字で扱いが変わる。

「減塩」の注意点も1つ。成分表では、こいくちしょうゆが100gあたり食塩相当量14.5g、減塩タイプが8.3gで、約4割少ない。ところが、減塩だからと2倍の量をかけると、減塩しょうゆ20gで約1.7gになり、ふつうのしょうゆ10g(約1.5g)より多くなる。「減塩」は同じ量を使ったときの話だ。

「ゼロ」「オフ」の表示が0を意味しない理由は、別記事「『カロリーゼロ』は0kcalではない」で、同じ食品表示基準の表を使って整理した。ナトリウムの「ゼロ」も、5mg未満という意味で、完全な0ではない。

要旨:「減塩」は比較の話、「食塩無添加」は加えていないという話。どちらも食塩ゼロとは限らない。

今日からできる行動#

高血圧や腎臓病などで治療中の人、食事の指導を受けている人は、この記事の目安より主治医の指示を優先してほしい。食事摂取基準は、高齢の人では極端な減塩が食事量全体の低下につながるおそれがあるとして、健康状態を見ながら柔軟に考えるよう注意している。

  1. よく食べる加工食品3つの「食塩相当量」と「何gあたりか」を書き出す。 朝のパン、昼のカップ麺、夜の総菜など、毎日のように食べるものから選ぶ。ナトリウムしか書いていなければ2.54倍する。
  2. 調味料は1週間だけ量ってかける。 しょうゆ10gで約1.5g、みそ10gで約1.2g。「ひと回し」が何gなのかを一度知っておくと、目分量の感覚が変わる。減塩タイプを使う人ほど、量が増えていないかを見る。
  3. 汗をたくさんかいた日だけ、記録に一言残す。 塩分の補給が必要になるのはこういう日だ。汗をかかない日と分けて振り返れるようにしておく。

アプリで続ける#

VITA Boardでは、食事と体重を記録して、あとから並べて振り返れる。アプリが食塩の量を自動で計算するわけではないので、塩分は「麺類の日」「外食の日」のように食事の中身で見るのが現実的だ。塩辛いものが続いた週の翌朝の体重を見ておくと、Q3の「水分で動く分」なのか、ふだんの増減なのかを考える材料になる。→ VITA Boardを試す

誤解の墓場#

  • 誤解:「パッケージのナトリウム400mgは、食塩0.4gのこと」 → 実際:「食塩相当量に直すと約1.0g。ナトリウムの数字は2.54倍して読む」
  • 誤解:「塩分を摂ると脂肪がつく」 → 実際:「食塩は0kcal。減塩の試験で体重の差が出た例でも、差は体の水分で、体脂肪や内臓脂肪には差がなかった」

この記事について#

  • 更新日:2026年10月7日
  • 本記事はAI(Claude)が一次情報を確認しながら執筆し、運営者が公開しています。数字は記事内に明記した一次情報(国の報告書・調査・法令・通知・成分表・学術論文)で確認したものです。
  • 確認の範囲:食事摂取基準(2025年版)はナトリウムの章(報告書243〜249ページ)を通読し、正誤表で該当ページに数字の訂正がないことを確認しました。国民健康・栄養調査は令和6年の「結果の概要」本文、食品表示基準はe-Gov法令検索の条文(2026年4月1日施行の改正を反映した版)、消費者庁の通知「食品表示基準について」は栄養強調表示の部分を確認しています。成分表の数字は文部科学省が公開している「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」のデータファイルから引きました。
  • 論文は、韓国の減塩試験(Kang 2018)はPubMed Centralの全文で方法・結果・考察・限界の節を、汗の研究のまとめ(Baker 2017)は全文のうち汗の量と濃度のばらつきを述べた節を確認しました。ドイツの試験(Heer 2000)は要旨のみの確認です。汗1Lあたりの食塩量は、Baker 2017の濃度の幅から筆者が計算した値です。
  • 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や個別の栄養指導の代替ではありません。高血圧・腎臓病・心臓病などで治療中の方、むくみなどの症状がある方、妊娠中の方は、医師や管理栄養士にご相談ください。
  • 本記事の末尾近くに、運営者が運営するアプリVITA Boardの紹介があります。第三者の広告・アフィリエイトは含みません。特定の商品・企業を評価するものではありません。

出典・参考


この記事を書いた人:ミミVITA Board 開発者

健康管理アプリ「VITA Board」の開発者。記事の数字は論文・厚生労働省等の公開情報を確認してから書いています。誤りに気づいた方はお問い合わせから教えてください。 運営者情報

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