休みの日に職場から通知が来ると、開く前から胸がざわっとしない? こーぎーは、ごはんとボールのこと以外は5秒で忘れちゃうほうなんだ。今回は飼い主が、休みの日の頭の中に「考える枠」を小さく作る話を書くね。
休みなのに、気づいたら頭の中で申し送りの続きをしている。あの利用者さん、夜は眠れたかな。あの記録で、ちゃんと伝わったかな。
「休みの日くらい忘れなきゃ」と思った瞬間に、もう考えていた。そんな休日、ありませんか?
考えるのを無理にやめる方法は、ここには書きません。代わりに、考える時間に「枠」を作るやり方を提案します。使った資料は白書や調査、ガイドなど4つで、名前と確認した日は最後の出典にまとめました。
この記事の内容
「仕事を忘れる休み方」には、ちゃんと名前がある#
厚生労働省の「令和元年版 労働経済の分析」、いわゆる労働経済白書に、休み方を扱った節があります。仕事でたまった疲れやストレスから回復する休み方を、白書は「リカバリー経験」と呼んでいます。
白書が紹介する先行研究では、リカバリー経験は4種類に分かれます。
| 種類 | 白書での意味 |
|---|---|
| 心理的距離 | 仕事から体も気持ちも離れ、仕事のことを考えない状態 |
| リラックス | 心と体の活動量をわざと下げて、くつろいでいる状態 |
| 熟達 | 余暇の時間に自己啓発をすること |
| コントロール | 余暇に何をどうするかを、自分で決められる状態 |
休みの日も仕事が頭から離れないのは、このうち1つめの「心理的距離」が取れていない状態です。
白書は、こうした休み方ができていると答えた人のほうが、仕事中の過度なストレスや疲労のスコアが低い、という分析も載せています。
ここまでの4種類を見ると、仕事を考えずにいるのが難しい日でも、くつろぐことや、過ごし方を自分で決めることが、別の入口として残っていると読めます。
離れられないのは、気合いのせいだけではないかもしれない#
白書には、気になる記述がもう1つあります。日本の働く人を対象にした論文で、「心理的距離」と、仕事にいきいきと向かえる度合いとの関係が、それまでの研究と違う結果になったというのです。
その論文は、余暇に精神的に仕事から離れようとしても、実際には離れることに困難が生じていて、活力を回復するのに、より多くの時間が要るのかもしれない、と指摘しています。白書はこの結果を、日本で働く人の「心理的距離」に何らかの課題が生じていることを示唆しているとも解釈できる、とまとめています。
介護の仕事なら、その難しさは、もう一段あると見ることもできます。相手は生活している人で、自分が休んでいる間もその人の一日は続いているからです。
介護労働安定センターの令和7年度「介護労働実態調査」では、働く上での悩みとして「夜間や深夜時間帯に何か起きるのではないかと不安がある」を選んだ人が13.0%いました。「有給休暇が取りにくい」は17.3%です。どちらも、答えた20,675人のうちの割合です。
休みの日に気になってしまうのは、向き不向きの話というより、この仕事の形から来るものだと思います。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、睡眠で休養がとれている感覚を下げる要因の1つに、仕事などによる日中のストレスを挙げています。昼間に抱えたものは、夜の「休めた感じ」にまで響くわけです。
ちなみに、休みの日に仕事のことを考えてしまう介護士の割合は、調べた資料には見つかりませんでした。ここは調べきれなかった部分です。
考えるのを禁止せず、15分の「考える枠」を作る#
ここからは、資料に載っている方法ではありません。白書の「コントロール」、つまり過ごし方を自分で決めるという考え方を借りた、私からの提案です。
「考えちゃダメ」は、守るのが難しい約束です。だから禁止はやめて、考えてよい時間を先に決めてしまう。仕事のことは、その時間にまとめて考えます。
考える枠の進め方#
- 休みの日のどこかに、15分の枠を1つ置く。午前中など、寝る前から離れた時間にする。
- 枠の外で仕事のことが浮かんだら、スマホのメモに1行だけ書く。続きは枠で考えると決めて、そこで止める。
- 枠の時間になったら、仕事のメモを開いて、浮かんだことを下の表の箱に分ける。
- 15分たったら閉じる。お茶をいれる、窓を開けるなど、終わりの合図を1つ決めておく。
寝る前を避けるのには理由があります。睡眠ガイドは、寝る前のリラクゼーションも、睡眠で休養がとれている感覚に影響する要素の1つに挙げています。寝る直前に仕事のメモを読み返すのはやめておく、というのが私の提案です。睡眠ガイドに、そこまで直接書かれているわけではありません。
15分という長さに、根拠になる資料はありません。長すぎれば10分に、足りなければ20分に変えてもかまいません。ただし変えるのは、次の休みの日の枠からにします。決めておきたいのは、長さよりも始まりと終わりです。
ここは提案です。終わりが決まっていると、枠の外で浮かんだときに「あとで」と言える場所ができるので、試す価値はあるかもしれません。
浮かんだことは、箱に分けて置いていく#
枠の中でやるのは、悩み直すことではありません。仕分けです。
| 箱 | 入るもの | 枠の中ですること |
|---|---|---|
| 次の出勤で | 自分が動けば片づくこと | 出勤した日の最初にやることとして1行にする |
| 誰かに渡す | 自分だけでは決められないこと | 誰に何を聞くかを1行にする |
| 今は置く | 今は動かしようがないこと | 「今は置く」と書いて閉じる |
メモの書き方の例を置いておきます。
- 次の出勤で: ◯◯さんの夜間の様子。記録を読んでから、申し送りで聞く。
- 誰かに渡す: 入浴の順番の件。リーダーに「次の会議で話せますか」と聞く。
- 今は置く: あのときの声かけ、もっと良い言い方があった気がする。
いちばん難しいのは、最後の「今は置く」かもしれません。休みの日の自分が一人で答えを出さなくていい話は、メモの中で待たせておけば十分です。
枠を閉じたら、どうでもいいことを1つ#
白書の4種類のうち、「リラックス」と「コントロール」は、考えずにいるのが難しい日でも使える入口だと私は思います。
そこで、枠を閉じたあとにやることを先に1つ決めておく。なるべく、どうでもいいことがいいです。
- コンビニの新しいおにぎりを1つ試す
- 近所の知らない道を1本だけ歩く
- 昔のドラマを1話だけ見る
さっきまで夜勤の段取りを考えていた人が、ツナマヨと明太子の前で真剣に迷っている。ちょっと笑えますよね。でも、悪くない休日だと思いませんか?
枠を作る前に決めておくこと#
チェックはこの端末に保存されます。印刷して現場に貼る場合はそのまま印刷してください。
休みの日にも連絡が来るなら、一人で抱えない#
休みの日でも職場から連絡が来る。それは、一人の工夫だけで片づく話ではありません。
白書は、労働強度が高い人手不足の企業こそ、働く人がきちんと休めるように様々な支援を講じていくことが有用だと考えられる、としています。ここまでが白書の言っていることです。私は、休み方は個人の努力だけでなく職場の段取りの話でもある、と考えています。
リーダーに相談するなら、たとえばこんな言い方があります。
- 休みの日の連絡は、急ぎのものだけにしてもらえると助かります。急ぎでないものは、次の出勤で最初に確認します。
- 休みの前に、気になる利用者さんのことを申し送りに書いておきます。休みの間は、それを見て対応してもらえますか。
眠れない・食べられない日が続くなら#
ここまでの話は、頭の中を少し片づけるための工夫です。治療ではありません。
休みの日も仕事のことばかり浮かんで、眠れない、食べられない日が続く。仕事に行くこと自体がつらい。そこまで来ているなら、枠でなんとかしようとしないでください。誰かに話すほうが先です。
話す先の1つに、厚生労働省の「こころの耳」があります。働く人向けの電話相談・SNS相談・メール相談があり、匿名・無料で使えます。精神科や心療内科を探す「全国医療機関検索」もあります。電話番号や受付時間は変わることがあるので、こころの耳のページで確かめてから使ってください。
よくある質問#
休みの日に仕事のことを考えるのは、悪いことですか?
悪いことだとは思いません。白書が紹介する論文は、日本の働く人が余暇に仕事から離れようとしても、困難が生じているかもしれない、と指摘しています。考えること自体より、休みの日がまるごとそれで埋まらないようにするのが、この記事の考え方です。
15分で終わらなかったら、どうすればいいですか?
終わらなくてかまいません。続きは「次の出勤で」か「誰かに渡す」の箱に入れて閉じます。その日の枠は延ばさないでください。延ばし始めると、休みの日がまた仕事で埋まってしまいます。長さを変えるなら、次の休みの日の枠からにします。
メモを見ると、かえって思い出してしまいます。
メモを読み返すのは枠の時間だけ、と決めてみてください。枠の外では書くだけで、読み返しません。それでもつらいなら、次の休みの日から枠を10分に縮めてもかまいません。
夜勤明けの日も、同じやり方でいいですか?
夜勤明けは、眠るほうを先にしてください。睡眠ガイドは、睡眠で休養がとれている感覚を下げる要因として、睡眠不足を挙げています。枠は、起きて少し落ち着いてからで足ります。
休みの日の職場からの連絡が止まりません。
一人の工夫で片づく話ではないので、リーダーや管理者に相談してください。白書も、労働強度が高い人手不足の企業こそ、休み方への支援が有用だと考えられる、としています。
出典#
- 厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析」第Ⅱ部第3章第4節 リカバリー経験(休み方)と「働きがい」との好循環の実現に向けて (2026年11月1日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3_04.pdf
- 公益財団法人介護労働安定センター 令和7年度「介護労働実態調査」労働者調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」(問22 働く上での悩みや問題。2026年11月1日閲覧) https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R7_jittai_chousa_roudousya.pdf
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会「健康づくりのための睡眠ガイド2023」成人版 (2026年11月1日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
- 厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」相談窓口案内 (2026年11月1日閲覧) https://kokoro.mhlw.go.jp/agency/
- 次の休みの日の予定のどこかに、15分だけ「考える枠」と入れておいてください。時刻だけで足ります。
- こーぎーもね、ボールのことを考えていいのは散歩の時間だけって決めてるんだ。……ほんとは、ずっと考えてる。だから15分で閉じられたら、こーぎーよりえらいよ。
- この記事のメモと相談の言い方は、説明のために作った例です。実在の人や職場の話ではありません。