20分未満の身体介護は、サービスより先に記録で止まる。運営指導で指摘が集まるのは、①所要時間の実績が読めない、②1日に何度も入る必要性が追えない、③中身が身体介護に見えない、の3点にほぼ集約される。この記事では、記録に入れる6項目と書く順番、場面別の例文12本、訪問後30秒で終わる点検リストをそのまま渡す。制度と単位数は2026年9月22日時点の現行(令和6年度介護報酬改定)に基づく。
この記事の内容
20分未満の記録が運営指導で止まる3つの理由#
20分未満の身体介護は短い。短いから記録も短くなる。そこに指摘が集中する。
1つ目は、所要時間の実績が読めないこと。予定の時刻しか書かれておらず、実際に何時何分から何時何分まで入ったのかが残っていない記録は多い。上の区分との境目は20分しかない。実績の時刻がなければ、区分の正しさを誰も説明できない。
2つ目は、1日に複数回入る必要性が記録から追えないこと。ケアプランに位置づけがあっても、毎回同じ一行が並んでいるだけでは、その必要性がいまも続いているのかが読み取れない。
3つ目は、中身が身体介護に見えないこと。声かけ、見守り、片づけだけが並ぶと、生活援助との線引きを必ず聞かれる。
結論として、記録で守るのは時間・必要性・行為の3つだけでいい。文章のうまさは評価されない。
私は施設のケアマネとして、サービス担当者会議で訪問介護の記録を読む側にいる。20分未満の記録は、他の区分に比べて情報量がはっきり落ちると感じている。短いサービスほど、記録の型を先に決めておく価値が大きい。
20分未満の身体介護の基本(単位数と区分の早見表)#
身体介護は所要時間で区分が分かれる。20分未満はその最も短い区分で、1回あたりの単位数も最も小さい。
| 区分 | 所要時間 | 単位 | 想定場面 |
|---|---|---|---|
| 身体01 | 20分未満 | 163 | 起床時の排泄、服薬の確認 |
| 身体1 | 20分以上30分未満 | 244 | 排泄と更衣 |
| 身体2 | 30分以上1時間未満 | 387 | 入浴介助 |
| 身体3 | 1時間以上1時間30分未満 | 567 | 入浴と食事 |
単位数は令和6年度介護報酬改定による現行のもの。金額は地域区分で変わる。1単位10円の地域もあれば、訪問介護が属する人件費割合70%の区分では、1級地で1単位11.40円になる。自分の事業所の地域区分は、保険者の公表資料で確認しておく。
もう1つ、算定の前提として押さえておきたい考え方がある。所要時間は、実際にかかった時間そのものではなく、訪問介護計画に位置づけられた標準的な時間で区分する、という整理になっている。ただし実績が計画と毎回ずれているなら、それは計画を見直す合図になる。だからこそ、実績の時刻を記録に残す意味がある。
記録に入れる6項目と、この順で書く理由#
20分未満の記録は、次の6項目を上から順に書けば足りる。
- 開始時刻と終了時刻(実績を分単位で)
- 行った身体介護の行為名
- 本人が自分でできた部分と、介助した部分
- 観察した心身の状態(事実のみ)
- 次の訪問者や家族に渡すこと
- 予定と違った場合の理由
| 項目 | 書くこと | 抜けると起きること |
|---|---|---|
| 時刻 | 開始と終了を分単位 | 区分の根拠が示せない |
| 行為名 | 排泄介助、更衣介助など | 生活援助と疑われる |
| 自立と介助 | できた部分と手を出した部分 | 必要性が読めない |
| 観察 | 数値と有無の事実 | 状態変化が追えない |
| 申し送り | 次の人が動ける1行 | 同じ失敗が繰り返される |
| 相違理由 | 予定と違った理由 | 計画と実績の不一致 |
なぜこの順番なのか。読む人が、この順で確認するからだ。
運営指導の担当者が最初に見るのは時刻と行為名で、そこで算定の妥当性を判断する。ケアマネが見たいのは3番と4番で、状態が上がっているのか下がっているのかを追っている。そして次に入るヘルパーは、正直なところ末尾しか読む時間がない。だから時刻を頭に、申し送りを末尾に置く。先頭と末尾は、読み手の違う2人に向けて書いている。
手順を並べるより、この読み手の順番を覚えておくほうが応用が利く。様式が変わっても、書く順番は変えなくていい。
場面別の記録例文12本(そのままコピーできる)#
時刻と数値は自分の訪問のものに置き換えて使う。
排泄に関する4本#
- 6:20〜6:35(15分)身体介護。トイレ誘導。声かけで自力で起き上がり、手すりを使い歩行器でトイレまで移動。排尿あり、中等量。下衣の上げ下ろしのみ一部介助。ふらつきなし。退室時に水分120ml摂取を確認。
- 13:05〜13:18(13分)身体介護。オムツ交換。尿取りパッド1枚交換、便失禁なし。陰部洗浄を実施。仙骨部の発赤なし。体位を右側臥位に整えて終了。
- 21:40〜21:55(15分)身体介護。就寝前のトイレ誘導。本人からトイレに行きたいと発語あり。移乗は見守りのみで実施できた。排尿少量。ベッド柵を2本に戻し、ナースコールを手元に設置して退室。
- 10:10〜10:22(12分)身体介護。ポータブルトイレでの排泄介助。立ち上がりに一部介助。排便あり、普通便。前回訪問から排便は3日ぶり。腹部の張りの訴えなし。次回訪問者へ排便の有無の継続確認を申し送る。
起床・就寝・移乗に関する3本#
- 7:00〜7:16(16分)身体介護。起床介助。声かけで開眼。ベッド上で座位をとり、上衣の袖通しのみ介助、ズボンは自力で着用できた。立位保持は手すりで安定。車いすへの移乗は見守りで実施。
- 20:30〜20:44(14分)身体介護。就寝介助。車いすからベッドへの移乗を一部介助。声かけで足の位置を自分で直せた。寝衣交換を実施。就寝時の室温24度、加湿器の水を補充。
- 15:00〜15:12(12分)身体介護。体位変換。左側臥位から仰臥位へ。背部にクッションを挿入。腰部の痛みの訴えなし。皮膚の発赤は仙骨部、踵ともになし。
服薬・水分・整容に関する3本#
- 8:10〜8:23(13分)身体介護。服薬介助。朝食後薬1包を本人がテーブルに準備していたため、袋の開封のみ介助。コップの水180mlとともに服用を確認。口腔内に残薬がないことを確認。
- 11:30〜11:42(12分)身体介護。水分摂取の介助。麦茶200mlを準備し、コップを持つ動作を一部介助。むせ込みなし。全量摂取。室温28度のため、扇風機の向きを本人と相談して調整。
- 9:00〜9:15(15分)身体介護。整容と更衣。洗面所まで歩行器で移動、見守り。洗顔は自力、整髪を一部介助。外出予定があり、上着の着用を介助。手指の震えは今日はみられなかった。
予定と違ったときの2本#
- 6:20〜6:38(18分)身体介護。トイレ誘導。入室時、本人がベッドサイドに座ったまま動かず、いつもより起き上がりに時間を要した。声かけを繰り返し、誘導までに約8分かかったため所要時間が予定より延びた。ふらつきや痛みの訴えはなし。サービス提供責任者へ報告済み。
- 19:50〜19:58(8分)身体介護。オムツ交換の予定で訪問したが、訪問時に家族が交換を済ませていた。汚染がないことを確認し、体位の調整と水分の声かけのみ実施。予定した介助が不要となった旨を、サービス提供責任者とケアマネジャーへ連絡した。
11番と12番の2本が、実際には最も重要になる。予定どおりだった記録は誰も疑わない。疑われるのは、予定と違った日の記録が何も残っていない場合だ。
悪い記録と直した記録の対比#
6:20 トイレ誘導。排尿あり。特変なし。
6:20〜6:35(15分)身体介護。トイレ誘導。手すりを使い自力歩行、下衣の上げ下ろしのみ一部介助。排尿あり、中等量。ふらつきなし。退室時に水分120ml摂取を確認。
特変なしという4文字は、観察した結果なのか、見ていないのかを区別できない。何を見て変化がなかったのかを書けば、同じ長さでも意味が変わる。
20:30 就寝の見守り。声かけを行い、部屋を片づけた。お変わりありませんでした。
20:30〜20:44(14分)身体介護。就寝介助。ベッドへの移乗を一部介助、寝衣交換を実施。移乗時の足の位置は声かけで自分で修正できた。
NG側は、見守りと片づけしか書かれていない。同じ訪問でも、身体に直接手を出した行為を書かなければ、身体介護として説明できない。
20分未満だから落としやすい注意点#
注意 前回の訪問から概ね2時間未満の間隔でサービスを行った場合、原則として前後の所要時間を合算して1回分として扱う取り扱いがある。いわゆる2時間ルールで、20分未満の身体介護を1日に複数回入れる場合は必ず関係してくる。
この合算の例外として、頻回の訪問という位置づけがある。ただし、対象となる利用者の要介護度や日常生活自立度、ケアプランと訪問介護計画への位置づけ、緊急時に対応できる連絡体制など、複数の要件が定められている。要件の細部は保険者によって運用の説明が分かれることがある。算定を始める前に、保険者とケアマネジャーの両方に確認しておく。ここを自己判断で進めると、後から過誤調整になる。
落としやすい点をもう3つ挙げる。
1つ目は、生活援助が混ざる場合の扱い。20分未満の枠の中でごみを出した、洗濯物をたたんだという行為が入ると、何を算定しているのかが曖昧になる。ケアプランにない行為は、記録に書いた時点で説明を求められる対象になる。
2つ目は、記録を書く時間の扱い。訪問介護のサービス行為の区分では、サービスの準備や記録は一連の行為に含まれるものとして整理されている。利用者宅までの移動時間とは別の話なので、混同しない。
3つ目は、医療の判断に踏み込まないこと。血圧を測ったなら測った値を事実として書く。その値が高いか低いか、薬を足すか減らすかは記録に書く内容ではない。判断が必要だと感じたら、記録にそのまま書かず、主治医やかかりつけ医に確認する流れを作る。看護職や家族への連絡を先に入れる。
訪問後30秒の自己点検チェックリスト#
訪問車に戻った時点で、この7項目を確認する。全部埋まっていれば、後から聞かれても答えられる。
チェックはこの端末に保存されます。印刷して現場に貼る場合はそのまま印刷してください。
印刷して訪問車に1枚置いておくと、慣れるまでの2週間が楽になる。2週間たてば、見なくても順番で手が動くようになる。
まとめ#
- 20分未満の記録で見られているのは、時間・必要性・行為の3点
- 6項目を、時刻から申し送りまでの順で書く。順番は読み手が確認する順番に合わせている
- 特変なしと見守りだけの記録は、書いていないのと同じ扱いになりやすい
- 予定と違った日の記録こそ残す。そこが後から必ず確認される
- 2時間ルールと頻回の訪問は要件が細かい。算定前に保険者とケアマネに確認する
- 単位数と制度は2026年9月22日時点の現行(令和6年度改定)
次の一歩は1つでいい。明日の訪問1件だけ、6項目の順で書いてみる。書いた記録を、次に入る人が読めるかどうかで判断する。
よくある質問#
20分ちょうどだった場合はどちらの区分になりますか。
20分未満の区分は20分に満たない場合が対象です。20分ちょうどは20分以上30分未満の区分に入ります。境目が1分しかないため、実績の時刻を分単位で残しておくことが、後から説明できるかどうかを分けます。
所要時間は実際にかかった時間で書くのですか。
算定の区分は、訪問介護計画に位置づけられた標準的な時間で判断する整理になっています。ただし記録には実績の時刻を残します。実績が計画と毎回ずれているなら、計画そのものを見直す合図です。ずれた日は、ずれた理由を1行添えてください。
記録を書く時間や移動時間はサービスの時間に含まれますか。
サービスの準備や記録は、訪問介護の一連の行為に含まれるものとして区分されています。一方で、利用者宅までの移動時間はサービスの所要時間とは別の扱いです。ここを混ぜて書くと、時間の根拠が崩れます。
血圧や体温の数値は記録に書いてよいですか。
測定した事実と数値はそのまま書いて構いません。書かないのは評価と判断です。数値が高い、薬を調整したほうがよい、といった記載は記録の役割を超えます。気になる変化があれば、記録に書いて終わらせず、主治医やかかりつけ医、看護職に確認する流れを作ってください。
家族から頼まれて、ついでに少し掃除をした場合はどう書きますか。
ケアプランと訪問介護計画にない行為は、まずその場で引き受けない判断が要ります。やむを得ず対応した場合は、依頼があった事実と対応した内容、サービス提供責任者へ報告したことを記録に残します。黙って書かないのが一番まずい対応です。
記録をスマートフォンの音声入力やAIで作っても問題ありませんか。
入力の手段そのものに制限はありませんが、利用者の氏名や状態を外部のサービスに入力する場合は、個人情報の取り扱いが別の問題になります。判断の基準は関連記事の介護記録のAI活用|個人情報を守る安全な使い方と導入9チェックにまとめています。事業所の方針を先に確認してください。
出典#
- 厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(老計第10号、平成12年3月17日、その後の改正を含む)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(令和6年、訪問介護の基本報酬および算定構造)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(指定居宅サービス介護給付費単位数表)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(記録の整備に関する規定)
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」(令和4年3月)
- 厚生労働省「介護職員処遇改善加算等に関する地域区分および1単位の単価」(令和6年度適用分)