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介護施設の食費・居住費|2026年8月改定の負担限度額早見表

2026年8月1日から、介護保険施設の食費・居住費の負担限度額(補足給付)が見直されました。負担が増えるのは主に「第3段階②」に該当する方で、第1段階から第3段階①までは据え置きです。あわせて第2段階の所得基準が広がり、新たに対象になる方も出ています。

この記事で持ち帰れるもの:段階別の食費負担限度額の早見表2枚(施設入所用・ショートステイ用)、対象者を洗い出す4ステップの確認手順、家族から聞かれたときにそのまま使えるFAQ7問。

読む目安:約14分。

この記事を読まなくていい方:自施設の対象者リストが作成済みで、7月中に利用者・家族への説明が完了している施設の方。この記事の内容はすでに実施済みです。

目次

補足給付(特定入所者介護サービス費)とは何か

補足給付とは、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院などの介護保険施設やショートステイを利用する方のうち、所得や資産が一定以下の方を対象に、食費と居住費の自己負担を軽くする仕組みです。正式名称は「特定入所者介護(予防)サービス費」といいます。

対象になるには、市区町村に申請して「介護保険負担限度額認定証」の交付を受け、それを施設に提示する必要があります。申請しなければ自動では適用されません。ここが最初のつまずきどころです。

認定証には有効期間があり、毎年7月31日で区切られ、8月1日から新しい認定証に切り替わります。今回の見直しは、ちょうどこの切り替えのタイミングに合わせて適用されました。

区分が分かれる3つの条件

補足給付は「世帯全員(世帯を分離している配偶者を含む)が住民税非課税であること」が原則の要件です。そのうえで、年金収入等と合計所得金額、預貯金等の資産額によって、第1段階から第3段階②までの区分に分かれます。区分が上がる(=所得や資産が多い)ほど、負担限度額も高くなります。

現場で押さえておく1点:世帯分離をしている配偶者も判定に含まれます。「世帯を分けたから対象になるはず」という家族からの相談は、ここで行き違いが起きやすいところです。

2026年8月からの変更点|何が上がり、何が据え置かれたか

今回の見直しの根拠は、2026年5月29日に厚生労働省老健局が発出した「介護保険最新情報Vol.1506」(特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼)、および同年3月13日発出の「介護保険最新情報Vol.1481」です。適用開始日は2026年8月1日で、厚生労働省告示第88号として施行されています。

変更点は大きく4つです。

① 「第3段階」が「第3段階①」「第3段階②」に細分化された

これまで一つの区分だった第3段階が、次の2つに分かれました。

  • 第3段階①:年金収入等+合計所得金額が82.65万円超〜120万円以下
  • 第3段階②:年金収入等+合計所得金額が120万円超

このうち、負担限度額が引き上げられたのは主に第3段階②です。第1段階から第3段階①に該当する方の負担限度額は据え置かれています。

② 食費の負担限度額が引き上げられた

食費の基準費用額(施設が徴収できる食費の目安の上限)が日額1,545円(月額換算で約4.7万円)に引き上げられました。段階別の食費の負担限度額は次のとおりです。

施設入所(特養・老健・介護医療院等)の食費負担限度額

段階負担限度額(日額)月額の目安
第1段階300円約0.9万円
第2段階390円約1.2万円
第3段階①680円約2.1万円
第3段階②1,420円約4.3万円

短期入所生活介護(ショートステイ)の食費負担限度額

段階負担限度額(日額)月額の目安(30日利用時)
第1段階300円約0.9万円
第2段階600円約1.8万円
第3段階①1,030円約3.1万円
第3段階②1,360円約4.1万円

施設入所とショートステイで水準が違う点に注意してください。第2段階以上は、ショートステイのほうが日額の負担限度額が高く設定されています。ショートステイの利用が多い方の家族から「同じ第2段階なのに金額が違う」と聞かれることがありますが、制度上そうなっています。

③ 居住費の負担限度額も一部区分で引き上げられた

居住費についても、居室区分(多床室・従来型個室・ユニット型個室など)ごとに負担限度額が設定されており、今回の見直しでは主に第3段階②の方を対象に日額で引き上げが行われました。第1段階から第3段階①の居住費負担限度額は据え置きです。

居住費の具体額は、この記事では断定していません。引き上げ幅は居室区分ごとに厚生労働省告示第88号の別表で定められており、区分によって異なります。自施設の対象者の金額は、告示の最新版か、保険者(市区町村)に直接確認してください。おおよその目安を知りたい場合も、告示に当たらずに数字を伝えるのは避けたほうが安全です。

④ 第2段階の所得基準が引き上げられ、対象が広がった

見落とされやすい点ですが、今回はマイナス方向の改定だけではありません。第2段階の所得基準額が80.9万円から82.65万円に引き上げられました

つまり、これまで年金収入等が80.9万円を超えていたために第2段階の対象外だった方の一部が、新たに第2段階の対象になり得るということです。負担が増える方の話が注目されがちですが、条件によっては負担が軽くなる方、あるいは新たに補足給付を受けられるようになる方もいます。説明のときに、ここを落とさないようにしたいところです。

誰が対象で、誰が対象外か|4ステップの確認手順

対象になるかどうかは、次の順で確認します。上から順に見ていけば、どこで外れるかが分かります。

  1. 世帯の課税状況を確認する:本人および世帯全員(世帯分離した配偶者を含む)が住民税非課税かどうか。ここで課税者がいれば、その時点で対象外です
  2. 年金収入等と合計所得金額を確認する:非課税であっても、この金額によって第1段階から第3段階②のどこに該当するかが決まります
  3. 預貯金等の資産額を確認する:段階ごとに単身・夫婦それぞれの資産上限が定められており、これを超えると対象外になります
  4. 市区町村に「介護保険負担限度額認定証」を申請する:施設に認定証を提示して、はじめて軽減が適用されます

第3段階②に該当する方が今回の見直しで負担増の中心になります。第1段階(生活保護受給者や老齢福祉年金受給者で住民税非課税世帯など)・第2段階の方は据え置きです。

ケースで見る負担増のイメージ

金額の感覚をつかむために、簡易的なケースで整理します。実際の金額は施設の居室区分・地域・個別の認定内容によって変わるため、目安としてご覧ください。

ケースA:特養の従来型個室に入所、第3段階②に該当

食費が日額1,420円(月額の目安で約4.3万円)となり、これに居室区分に応じた居住費の引き上げが加わります。合計すると、月あたり数千円規模の負担増になる可能性があります。

ケースB:ショートステイを月10日利用、第3段階②に該当

食費だけで日額1,360円×10日=13,600円。利用日数に比例して増加額が積み上がるため、利用日数が多い方ほど影響が大きくなります。ショートステイを定期利用している方の家族には、日数と金額をセットで伝えると伝わりやすくなります。

ケースC:第1段階・第2段階に該当

今回の見直しでは負担限度額が据え置きのため、直接の負担増はありません。ただし基準費用額そのものは引き上げられているため、施設の説明資料が「一律値上げ」に見えてしまうことがあります。段階ごとの違いを分けて書く必要があります。

施設側・現場側がやっておくこと

制度が変わっても、施設の介護報酬(施設の収入)が直接増えるわけではありません。補足給付はあくまで利用者と保険者(市区町村・介護保険制度)の間の仕組みです。そのぶん、施設側には積極的に周知するインセンティブが構造的に働きにくいという指摘もあります。

しかし説明が遅れるほど、請求書をめぐる問い合わせ対応が現場に集中します。準備しておきたいのは次の3点です。

そのまま使えるチェックリスト

  • 重要事項説明書・契約書類の金額表記を更新する:8月1日施行に合わせて、食費・居住費の記載を新しい金額に差し替える
  • 対象者を洗い出す:自施設の利用者のうち、第3段階①・②に該当する方が何人いるかを台帳で確認する
  • 利用者・家族へ早めに説明する:認定証の切り替えに合わせて、新しい金額と変更理由を分けて伝える

相談員・ケアマネジャーの立場であれば、対象者数を先に把握しておくことで「誰に・いつ・どう説明するか」を具体的に組み立てられます。請求書が届いてから動くと、説明と苦情対応が同時に来ます。

よくある質問

Q1. 補足給付の対象者は全員、負担が増えるのですか

いいえ。今回の見直しで負担限度額が引き上げられたのは主に第3段階②の方です。第1段階・第2段階・第3段階①の方の負担限度額は据え置かれています。また第2段階の所得基準額が広がったことで、新たに対象になる方もいます。

Q2. 自分(家族)がどの段階に該当するか、どこで確認できますか

お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または現在お持ちの「介護保険負担限度額認定証」に記載の区分で確認できます。区分が変わる場合は、市区町村から新しい認定証が郵送されます。

Q3. 認定証の更新手続きは必要ですか

基本的には市区町村側で更新処理が行われ、新しい認定証が郵送されるケースが一般的です。ただし資産要件の再確認などで追加の書類提出を求められる場合があります。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

Q4. 基準費用額が上がるということは、施設の収入が増えるのですか

いいえ。基準費用額は「施設が徴収できる目安の上限」であり、補足給付は利用者の自己負担を軽減する仕組みです。施設に支払われる介護報酬そのものが今回の見直しで増えるわけではありません。

Q5. 施設によって金額は違うのですか

食費・居住費の基準費用額・負担限度額は制度上の上限・目安として定められていますが、実際に施設が設定する金額は(基準費用額の範囲内で)施設ごとに差があります。契約内容・重要事項説明書で確認してください。

Q6. 今回の基準はいつまで有効ですか

今回の基準は2026年8月1日から適用されているものです。介護保険制度の見直しは今後も定期的に行われる可能性がありますが、次回改定の時期は現時点で厚生労働省から公表されていません。最新情報は厚生労働省または保険者(市区町村)の発表をご確認ください。

Q7. 自治体によって対応や案内のタイミングは違いますか

制度の基準(負担限度額・所得区分)自体は共通ですが、認定証の発送時期や窓口での案内の丁寧さには市区町村ごとに差があります。認定証が届かない、内容が分からないという場合は、待つのではなく自治体の介護保険担当窓口に問い合わせるのが確実です。特に世帯分離をしているケースは、資産・所得の合算範囲の解釈について窓口ごとの確認が必要になりやすいところなので、早めの相談をおすすめします。

要点サマリー

  • 2026年8月1日から、介護保険施設の食費・居住費(補足給付)の負担限度額が見直された
  • 負担が増えるのは主に第3段階②(年金収入等+合計所得金額120万円超)の方。第1段階〜第3段階①は据え置き
  • 食費の基準費用額は日額1,545円に引き上げ。段階別の負担限度額は施設入所とショートステイで異なる
  • 第2段階の所得基準額は80.9万円→82.65万円に引き上げられ、新たに対象になる方もいる
  • 居住費の居室区分別の金額は告示の別表で定められている。数字を伝える前に告示か保険者に確認する
  • 施設側は対象者の洗い出しと、段階を分けた説明の準備が要る

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対象者ごとの負担増額シミュレーション、施設現場での説明トークの具体例、家族から質問されたときの回答テンプレートは、有料note『食費・居住費、8月から実際いくら上がる?ケアマネが試算した「あなたの施設」のケース』で、施設種別・居室区分ごとに試算しています。

介護職員等処遇改善加算の仕組みと手取りの確認方法は、介護職員等処遇改善加算はいくら?「月1.9万円」の実感がない理由と手取りの確認法で整理しています。

夜勤の人員配置基準については、介護施設の夜勤は何人体制が基準?「ワンオペ夜勤」と人員配置基準をわかりやすく解説をご覧ください。

出典

  • 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1506「令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼」(令和8年5月29日、老健局介護保険計画課・老人保健課)
    https://www.mhlw.go.jp/content/001706483.pdf
  • 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1481(令和8年3月13日、老健局介護保険計画課)
    https://www.mhlw.go.jp/content/001673838.pdf
  • 公益社団法人 全国有料老人ホーム協会「2026年8月から補足給付(食費・居住費)の負担限度額・基準費用額が引き上げへ」(2026年5月29日)
    https://www.yurokyo.or.jp/info/view/6566
  • 厚生労働省告示第88号(居室区分別の居住費負担限度額の別表を含む)

本記事の数値は上記の一次資料に基づいています。居住費の居室区分別の金額は、告示の別表で定められているため本文では断定せず、確認先を示すにとどめています。

執筆者

現役の施設ケアマネジャー兼生活相談員。特養・介護医療院など、医療と介護が混ざる現場での勤務経験があり、初任者研修・現場研修の講師も務めています。制度改定のたびに利用者・家族への説明を担ってきた立場から、現場目線で解説しています。数字は厚生労働省の一次資料に基づいて記載しています。

この記事を書いた人:ミミ介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護施設で生活相談員・ケアマネジャーとして勤務。現場の職員研修と介護現場でのAI活用の推進に携わっています。記事の数字・制度は一次資料の原文を開いて確認してから書いています。誤りに気づいた方はお問い合わせから教えてください。 運営者情報

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